トップ
事務所案内
お問合せ
労務コンテンツ一覧
サービス案内
人事労務ニュース
リーフレット
リンク先
IPO労務監査・改善
M&A労務監査
労働問題解決
高難度業務対応
就業規則作成・改定
給与監査顧問
給与計算代行
手続代行・手続監査
裁判例紹介・ブログ
作成日:2026/03/11
【実務】「1週間の所定労働時間」の算定に当たっての留意事項
LABOR PRACTICE / 雇用保険

【実務】「1週間の所定労働時間」の算定に当たっての留意事項
―― 雇用保険未取得状態の労働者について、人事担当者が知っておくべき行政の考え方

雇用保険の適用要件「1週間の所定労働時間20時間以上」の判断基準を、平成28年12月19日付事務連絡に基づき社会保険労務士が解説。契約と実態の乖離、残業の取扱い、シフト勤務者の算定方法まで実務上の留意点を整理します。

📄 平成28年12月19日 雇用保険に未取得状態の労働者における「1週間の所定労働時間」の算定に当たっての留意事項.pdf

📌 本記事の要点

  • 雇用保険の適用判断は、契約書の所定労働時間ではなく実際の勤務時間に基づき行われる
  • 残業が概ね6か月以上常態化している場合は、実際の勤務時間に含めて算定する
  • 未加入が発覚した場合、被保険者資格は確認日の2年前まで遡及する
  • シフト勤務者は週・月ごとに所定労働時間を算定し、その平均値を用いる

1. はじめに|この通知が出された背景

雇用保険の適用要件のひとつに「1週間の所定労働時間が20時間以上」という要件があります。しかし、平成28年3月の会計検査院による実地検査において、この「1週間の所定労働時間」の考え方が労働局ごとに異なっているとの指摘を受けました。

そこで、職業安定局雇用保険課長補佐から各都道府県労働局に対し、統一的な取扱いを求める事務連絡が発出されました。本記事では、人事担当者の皆さまが押さえておくべきポイントを解説します。

■ 本通知の核心

雇用契約書の記載と実際の勤務時間が乖離している場合、実際の勤務時間で雇用保険の適用が判断されます

2. 基本的な考え方|「所定労働時間」とは

「1週間の所定労働時間」とは、雇用契約書等により、その者が通常の週に勤務すべきとされている時間を指します(雇用保険に関する業務取扱要領「20303」)。

雇用保険制度は、労働者が失業した場合に必要な給付を行い、再就職を促進することを目的としています。そのため、雇用実態を勘案し、原則として「適用する」という前提で解釈することが求められています。

3. 実務上の重要ポイント

3-1. 契約と実態が一致している場合

雇用契約書等に記載された1週間の所定労働時間と実際の勤務時間が一致している場合は、契約書の記載に基づいて被保険者資格の有無を判定します。これが最もシンプルなケースです。

3-2. 契約と実態が乖離している場合(最重要)

実務上最も問題となるのが、契約上の所定労働時間と実際の勤務時間が異なるケースです。この場合、実際の勤務時間に基づいて適用要件を判断します。

項目 内容
調査方法 事業主への聴取、タイムカード、賃金台帳等の帳簿書類の確認、必要に応じて労働者への調査
資格取得日 実際の勤務時間が週20時間以上(または未満)と算定した日まで遡及
遡及の上限 被保険者資格の取得日は、確認した日の2年前まで(業務取扱要領20502)
除外期間 年末年始等、特定の週の勤務時間が例外的に短い場合は当該期間を除外して算定

✓ 実務上のポイント

実際の勤務時間が週20時間以上の状態が概ね6か月以上継続している場合、雇用保険の適用要件を満たすものとして雇用保険が適用されます。

3-3. 残業時間の取扱い

残業時間の取扱いは、特に注意が必要です。原則として、残業時間(36協定に基づく法定外労働や臨時の必要による法定内残業)は、実際の勤務時間の算定に含めません。

ただし、残業時間と所定労働時間の合計が週20時間以上となる状態が概ね6か月以上継続している場合は、常態化したものとして実際の勤務時間に含めて算定します。

さらに、法定内の所定外労働時間であっても、所定労働時間との合計が週20時間未満であっても、概ね6か月以上常態化している場合は、実際の勤務時間に含めます。

CONSULTATION A

パート・シフト勤務者の実労働時間管理を一元化

残業の常態化、シフト変動、所定外労働の積み上がり──これらは給与計算の現場で毎月発生する判断ポイントです。当法人の給与計算代行サービスでは、雇用保険の適用要件を満たすボーダーラインを早期に検知し、社会保険・雇用保険の手続漏れを未然に防ぎます。

給与計算代行サービスを見る ▶

3-4. 所定労働時間が変動する場合

雇用契約書等に記載の1週間の所定労働時間が週または月ごとに変動する場合は、1週または月ごとに所定労働時間を算定し、その平均時間を所定労働時間とします。

💡 具体例

就労日が「月・水・金」「火・木」を交互に繰り返す場合(1日7時間)
→ (21時間+14時間)÷2 = 17.5時間(2週間で算定)

3-5. 所定労働時間が明確に定められていない場合

雇用契約書が締結されていない場合や、シフト制などで直前にならないと勤務時間が判明しない場合は、平均の所定労働時間を算定します。

▼ 平均の所定労働時間の算定方法

項目 内容
起算日 確認を行う日の直近の賃金締切日(確認日が締切日の場合はその直前の締切日)
算定期間 雇入れ日から2年以上経過している場合は、確認日から2年以内の締切日の翌日まで
資格取得日 平均の所定労働時間が20時間以上の場合、確認を行う日が起算日となる

4. 資格喪失になるケース

以下のような場合、雇用保険の被保険者資格を喪失します。

状況 取扱い
例2 1日5時間・週5日勤務の契約だが、口頭で1日5時間・週3日勤務に変更 口頭による変更でも実際に勤務した初日に資格喪失
例3 シフト勤務で契約書に「週20時間」と明記されているが、実際のシフトが週20時間未満 資格喪失を行う

✓ 例外:資格継続となるケース

週20時間以上の労働に復帰することを前提に、臨時的・一時的(6か月以内)に週20時間未満となる場合は、被保険者資格を継続させます。また、小学校就学までの養育期間中であることが理由の場合も同様に資格を継続します。

CONSULTATION B

過去2年分の雇用保険未加入リスクを一括点検

雇用保険の未加入が発覚した場合、2年前まで遡って保険料の納付が必要となります。当法人の労務監査では、パート・シフト勤務者の実労働時間と契約上の所定労働時間の乖離を網羅的に洗い出し、適用漏れの是正から遡及手続きまでをワンストップで支援します。

労務手続代行・監査サービスを見る ▶

5. 人事担当者が取るべきアクション

✓ 実務チェックリスト

  1. 雇用契約書の所定労働時間と実際の勤務時間に乖離がないか定期的に確認する
  2. シフト制勤務者の実労働時間を毎月チェックし、雇用保険の適用漏れがないか確認する
  3. 口頭での勤務条件変更があった場合も、速やかに書面化し雇用保険の手続きを行う
  4. 残業が恒常的に発生しているパートタイマー等について、実労働時間が週20時間を超えていないか確認する
  5. 未加入の労働者がいないか、過去2年間に遡って点検する

RELATED TOPIC

2026年10月の社会保険適用拡大と併せて点検を

2026年10月以降、社会保険の適用範囲が段階的に拡大されます。雇用保険の適用判断と社会保険の適用判断は基準が異なりますが、両者を同時に点検することで、パート・シフト勤務者の労務管理を一気通貫で適正化できます。

▶ 2026年10月 社会保険適用拡大の実務解説を読む

6. まとめ

本通知のポイントは、「契約書上の所定労働時間だけでなく、実際の勤務実態に基づいて雇用保険の適用を判断する」という点に尽きます。特に、パートタイマーやシフト勤務の労働者を多く雇用している企業では、定期的な確認が不可欠です。

雇用保険の未加入が発覚した場合、過去に遡って保険料の納付が必要となるほか、労働者からの信頼を損なうことにもなりかねません。早めの実態把握と対応をお勧めいたします。

FREE CONSULTATION

雇用保険・労務管理の適正化を、経営者と共に

雇用保険の適用判断は、契約書の記載と実態の乖離、残業の常態化、シフト変動、養育期間中の取扱いなど、複合的な要素が絡む実務領域です。過去2年遡及というリスクを抱えたまま運用を続けると、ある日突然「未加入の指摘」を受けるリスクがあります。当法人は、現状の点検・適用漏れの洗い出し・遡及手続きの代行・再発防止の運用設計までを一貫してサポートいたします。

── 経営理念「経営者と共に歩き、最善の解を導き出す」のもと、初回相談は無料で承ります ──
無料相談を申し込む ▶

社会保険労務士法人T&M Nagoya|名古屋を拠点に全国対応

RELATED ARTICLES / 関連記事

根拠法令・参考資料

  • 雇用保険法第6条(適用除外)
  • 雇用保険に関する業務取扱要領 20303(所定労働時間)
  • 雇用保険に関する業務取扱要領 20502(遡及加入の上限)
  • 平成28年12月19日付事務連絡「雇用保険に未取得状態の労働者における『1週間の所定労働時間』の算定に当たっての留意事項について」(職業安定局雇用保険課長補佐)
  • 平成28年3月 会計検査院実地検査

免責事項

本記事は、平成28年12月19日付事務連絡「雇用保険に未取得状態の労働者における『1週間の所定労働時間』の算定に当たっての留意事項について」を基に作成した一般的な解説記事であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。雇用保険の適用判断は事業所の実情に応じて個別の判断が必要となるため、具体的なお手続きや判断にお迷いの際は、社会保険労務士、弁護士等の専門家にご相談されることを推奨いたします。記事中の見解は当法人の私見を含み、最終的な判断は読者ご自身の責任において行ってください。

ABOUT THE AUTHOR

三重 英則

社会保険労務士法人T&M Nagoya 社員

  • ・特定社会保険労務士
  • ・経営心理士
  • ・経営法曹会議賛助会員