はじめに
2026年10月、社会保険制度が大きく変わります。いわゆる**「106万円の壁」が撤廃**され、これまで社会保険の対象外だった多くのパート・アルバイト従業員が新たに加入対象となります。
特に、中小企業の経営者や人事労務担当者にとっては、事務負担の増加や従業員への説明対応など、早急な準備が求められる大きな制度改正です。
本記事では、2026年の社会保険適用拡大について、実務担当者が押さえるべきポイントをチェックリスト形式でわかりやすく解説します。
📌 2026年社会保険制度改正の全体像
まず、改正の全体スケジュールを確認しましょう。
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時期 |
改正内容 |
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2026年4月 |
「130万円の壁」判定基準の変更(労働契約書ベースへ) |
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2026年4月 |
在職老齢年金の支給停止基準額引き上げ(51万円→62万円) |
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2026年10月 |
「106万円の壁」撤廃(賃金要件の廃止) |
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2027年10月以降 |
企業規模要件の段階的撤廃開始(36人以上→21人以上→11人以上→完全撤廃) |
特に影響が大きいのが、2026年10月の「106万円の壁」撤廃です。これにより、週20時間以上働くパート・アルバイトは、収入額に関わらず社会保険の加入対象となります。
✅ チェックリスト:人事担当者が確認すべき5つのポイント
それでは、実務担当者が今すぐ確認・準備すべきポイントをチェックリスト形式で見ていきましょう。
✅ ポイント1:自社の加入対象者数を把握する
【確認事項】
【実務のポイント】
2026年10月以降は、「月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されます。つまり、週20時間以上働いていれば、月収が5万円でも社会保険に加入することになります。
厚生労働省は、この改正により新たに約200万人が社会保険加入対象になると試算しています。
【注意点】
✅ ポイント2:労働条件通知書の記載内容を見直す
【確認事項】
【実務のポイント】
2026年4月から、健康保険の被扶養者認定(いわゆる「130万円の壁」)の判定方法が変わります。
従来: 過去・現在の収入実績や将来の収入見込みを総合的に判断
改正後: 労働契約書(労働条件通知書)に記載された年収見込みで判定
つまり、労働条件通知書の記載内容が、扶養認定の判断基準として非常に重要になります。
【注意点】
✅ ポイント3:従業員への説明と合意形成の準備
【確認事項】
【実務のポイント】
社会保険への加入は、従業員の手取り額に直接影響を与えます。一般的なケースでは、年収106万円の場合、年間約16万円の社会保険料負担が発生します。
一方で、社会保険加入には以下のようなメリットもあります:
【従業員のメリット】
丁寧な説明と合意形成が、トラブル回避の鍵となります。
【注意点】
✅ ポイント4:社会保険加入手続きの体制を整備する
【確認事項】
【実務のポイント】
社会保険の資格取得届は、「従業員の雇用開始から5日以内」に提出しなければなりません。
対象者が増加する中で、手書きの届出書作成や郵送では期限遵守が困難になる可能性があります。電子申請(e-Gov)の活用を検討しましょう。
【注意点】
✅ ポイント5:労務管理のデジタル化を検討する
【確認事項】
【実務のポイント】
2026年以降の社会保険適用拡大により、人事労務の事務負担は爆発的に増加します。
特に以下の業務が重要になります:
電子契約システムや労務管理ツールを導入することで、以下のメリットがあります:
【注意点】
📊 企業規模別の影響度まとめ
制度改正による影響度を企業規模別に整理しました。
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企業規模 |
2026年4月の影響 |
2026年10月の影響 |
今後の影響 |
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従業員51人以上 |
130万円の壁判定変更 |
106万円の壁撤廃で対象者急増 |
2027年以降、段階的に小規模企業も対象に |
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従業員36〜50人 |
130万円の壁判定変更 |
影響なし |
2027年10月から対象 |
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従業員21〜35人 |
130万円の壁判定変更 |
影響なし |
2029年10月から対象 |
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従業員11〜20人 |
130万円の壁判定変更 |
影響なし |
2032年10月から対象 |
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従業員10人以下 |
130万円の壁判定変更 |
影響なし |
2035年10月から対象 |
💡 企業が得られるメリット
短期的にはコスト増となりますが、中長期的には以下のメリットがあります:
【従業員定着率の向上】
社会保険完備により、従業員の生活が安定し、長期勤務のインセンティブが高まります。
【採用力の強化】
「社会保険完備」は求職者にとって大きな安心材料。人材獲得競争で優位に立てます。
【企業の社会的責任】
従業員の年金記録を充実させることで、企業としての社会的責任を果たせます。
【コンプライアンス強化】
適切な労務管理により、行政指導や法的リスクを回避できます。
🚀 今すぐ始めるべきアクションプラン
【2026年3月まで】 現状把握フェーズ
【2026年4〜9月】 準備・整備フェーズ
【2026年10月】 実施フェーズ
まとめ
2026年10月の「106万円の壁」撤廃は、企業の人事労務管理に大きな影響を与える重要な制度改正です。
人事担当者が押さえるべき5つのポイントを再確認しましょう:
「準備不足で混乱してしまった…」とならないよう、今から計画的に準備を進めることが重要です。
制度改正を機に、自社の労務管理体制を見直し、コンプライアンス強化と従業員の安心につながる環境整備を進めましょう。
【参考資料】
※ 本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づいています。最新の制度内容については、厚生労働省や日本年金機構の公式サイトをご確認ください。