| 裁判例解説 |
休職しているあいだに、戻るべきポジションがなくなっていた 取締役兼法務部長の解雇を有効とした東京地裁令和8年3月9日判決(JPモルガン証券事件・控訴中)と、中小企業がそのまま当てはめてはいけない理由 |
| 2026年10月28日|社会保険労務士法人T&M Nagoya 三重 英則(特定社会保険労務士) |
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おはようございます。社会保険労務士法人T&M Nagoya(名古屋市中区)の三重英則です。
社員が長期の休職に入ると、会社はその間の業務を誰かに割り振ります。1年以上たって本人が「復職したい」と申し出たとき、代わりの体制で仕事が回っていた。こうした場面は、規模を問わずどの会社でも起こり得ます。そのとき、「元のポジションはもうない」ことを理由に、雇用を終わらせることはできるのでしょうか。
東京地裁は2026年3月9日、外資系証券会社の取締役兼法務部長が、長期の傷病休暇の間に法務部長のポジションが廃止され、復職先が見つからないとして解雇された事件で、解雇を有効と判断しました。ただし、この判決を「休職中にポジションがなくなれば解雇できる」と読むのは誤りです。判決は、年収1億円前後という待遇、ポジションごとに採用し会社が一方的に異動させない雇用慣行、本人が重要な面談を断ったことなど、この事件に固有の事情を一つずつ積み上げて結論を出しています。本記事では、判決文に基づいてその筋道を整理し、一般の中小企業に当てはめる際の注意点を考えます。
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| 📌 この記事でわかること |
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✓ 東京地裁は2026年3月9日、長期の傷病休暇の間に法務部長のポジションが廃止され、復職先が見つからないことを理由とする取締役兼法務部長の解雇を有効とし、地位確認、賃金、慰謝料の請求をすべて棄却したこと。判決は控訴されており確定していないこと
✓ 判決は、整理解雇の4要素を、経営悪化に限らず労働者に帰責事由のない解雇一般を判断する着眼点として、事案の特質に応じて柔軟に使うという枠組みを示したこと
✓ 解雇回避努力の中心は、本人の専門性・職位・待遇に見合う役職の準備であるとし、約3か月の社内外の探索、本人が拒んだ本社幹部との面談の打診、約8,762万円の退職条件の提示などから、努力は尽くされたとしたこと
✓ 職位を下げた復職先を会社から提案しなかった点は、会社の雇用慣行と本人が取締役であったことから、解雇回避努力を否定する事情にならないとされたこと
✓ 職種を限定せず採用し、配置転換を前提に人事を行う一般の中小企業では、休職からの復職の場面で他の業務への配置を検討することが求められ、本判決の結論をそのまま当てはめることはできないと考えられること
「元のポジションがない」は解雇の理由の入口にすぎず、問われるのは、その会社の雇用の仕組みに見合った回避の努力です。
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| 1 本記事の情報源と事案の概要 |
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本記事は、労働判例1354号(2026年8月1日・15日合併号)15頁に掲載された東京地裁令和8年3月9日判決(令和6年(ワ)第11672号、民事第19部、小原一人裁判長)の全文に基づいています。掲載誌には、原告が控訴したことが示されています。控訴審の結果は、本記事の執筆時点で確認できていません。判決文では原告の氏名は仮名で記載されており、本記事でも個人を特定する記載はしません。
判決が認定した事実関係は次のとおりです。
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| 項目 |
判決が認定した内容 |
| 会社の雇用慣行 |
外資系金融グループの日本法人。ポジションごとに職責を特定して人材を採用し、終身雇用やローテーション人事は採らず、従業員を一方的に別のポジションへ異動させることはない。社内異動も、空きポジションへの応募と審査による。ポジションが廃止され同等の空きがない場合は、退職パッケージを示して退職を求めるのが通常 |
| 原告 |
弁護士。2008年に企業内弁護士として入社し、2012年から法務部長、同年から取締役を兼務。グループで最上位の職位(グループ全従業員の1.8%)にあり、年間基本給4,100万円、賞与と株式報酬を含め年収1億円前後 |
| 休職と体制変更 |
2021年6月28日、医師の診断を受けて長期の傷病休暇に入った。法務部長の役割は、下位の職位の2人が共同部長として分担し、業務は問題なく遂行された。原告が復職を希望する時点までに、法務部長のポジションは廃止された |
| 復職の希望と探索 |
2022年9月1日に人事部長らとの面談で復職を希望し、翌年1月の復職の意向を示した。会社は同年12月にかけて、社内のほかアジア太平洋地域の部門まで広げて代替ポジションを探したが、同等の職位の空きはなかった |
| 面談の拒否 |
復職先探しを主導した米国本社の幹部が来日して2022年12月9日に面談することが予定されたが、原告は面談場所がホテルであることなどを理由に断り、その後の連絡にも応答しなかった |
| 退職の提案 |
2022年12月14日、退職日までの給与約1,025万円、特別退職金約5,056万円、有給休暇の買取り約162万円、規程退職金約2,510万円など合計約8,762万円の支払と、権利確定前の株式報酬を失効させない条件で合意退職を提案。原告は経緯の説明や法務部員との面談を求める一方、自ら条件を示すことはなかった |
| 解雇 |
2023年2月20日、同年5月21日付で解雇する旨の意思表示。理由は就業規則の「会社の業務上のやむを得ない事情により社員を解雇しなければならない場合」とこれに準じる場合。解雇当時、グループは多額の純利益を上げ、従業員数も増えていた |
| 判決 |
解雇は有効。地位確認、解雇後の賃金、退職強要などを理由とする慰謝料の請求をいずれも棄却(控訴) |
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| 2 判断の枠組み――「整理解雇の4要素」を柔軟に使う |
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この解雇は、業績悪化による人員削減(狭い意味の整理解雇)ではありません。そこで、整理解雇の4要素、すなわち人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の相当性で判断すべきかが争われました。会社は、原告の私傷病による休職がきっかけであり整理解雇とは違うと主張し、原告は、自分に帰責事由のない解雇は広く整理解雇として判断されるべきだと主張しました。
裁判所はまず、休職が私傷病によるものであっても、解雇は私傷病を理由とするものではなく、就業規則の根拠条項も労働者の帰責事由を前提としないから、原告の帰責性を考慮する余地はないとしました。そのうえで、4要素は事案の特性を捨象して一律に適用すべき準則ではなく、人員削減の必要性も経営悪化などの経済的側面に限って理解する必然性はないとして、4要素は労働者に帰責事由のない解雇一般について、労働契約法16条の要件を過不足なく検討するのに適した着眼点であると述べました。本件では、会社の雇用形態、解雇が検討された経緯、原告の地位と待遇といった事案の特質を踏まえて、4要素を参照しつつ検討するとしています。
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| 3 4要素へのあてはめ――何が解雇を支えたのか |
| 要素 |
裁判所の判断の要旨 |
判断を支えた本件固有の事情 |
| 人員削減の必要性 |
休職中に共同部長体制で業務が問題なく回り、役割を特定の上位役職者に集中させる必要のない体制ができていた。元の職に戻す合理性は乏しく、見合う役職がなければ高待遇の余剰人員を抱え続けることになる。会社が意図的に作り出した状況でもない |
ポジション単位の雇用慣行、最上位の職位と年収1億円前後の待遇、原告自身が法務部長として部下のポジション削減の提案書を作成した経験 |
| 解雇回避努力 |
努力の中心は、専門性・職位・待遇に見合う法務部長以外の役職の準備。社内からアジア太平洋地域まで約3か月探索し、空きがなく打開の見込みもなければ、退職合意に向けた次の段階に移ることは不合理でない |
本社幹部が来日して面談を申し出たのに原告が拒んだ。職位を下げる異動は提案しない雇用慣行があり、原告から職位を下げてでも復職したいとの申出もなかった |
| 人選の合理性 |
原告の復職し得るポジションがないことによる解雇だから、原告が対象となるのは合理的 |
対象者が1人に特定される構造 |
| 手続の相当性 |
探索が実らなかったあとに退職勧奨をし、相当程度に配慮した条件を示した。期限や扱いについて会社の方針に揺れがあり、意思決定の文書も残っていないが、手続の相当性を失わせるほどではない |
特別退職金約5,056万円を含む約8,762万円の条件、株式報酬の維持。原告が自ら条件や対案を示さなかった |
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表の右の列を見ると分かるとおり、判決の結論は、どの要素についても本件固有の事情に支えられています。裁判所は総合評価として、原告は高度の専門人材として最上位の職位と取締役を兼ね、相当に高い待遇を得ていたこと、弁護士資格を持つため解雇による経済的・経歴的な打撃も相対的に高くないことを挙げ、解雇を客観的に合理的で社会通念上相当でないともいえないと判断しました。
手続の面で、裁判所が問題がないとは言っていない点にも注意が必要です。会社は2023年1月25日のメールでは「2月末までに合意できなければ無給休暇とする」としながら、8日後の2月2日のメールでは「2月15日までに合意に達しなければ解雇となる」と伝えていました。裁判所は、より重い措置なのに期限がかえって短くなっており方針が首尾一貫していないと指摘したうえで、原告が自ら条件を示して交渉を進めなかったことにも一因があるとして、相当性を失わせるまでではないとしました。会社に有利な結論の中にも、会社の対応への注文が含まれています。
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| 4 中小企業がそのまま当てはめてはいけない理由 |
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本判決で解雇回避努力の内容を決めたのは、会社の雇用の仕組みでした。ポジションごとに採用し、会社が一方的に異動させないから、探すべきは「同等の職位の空きポジション」になる。職位を下げる異動は提案しない慣行があるから、下位の職位での復職を検討しなくてもよい。この論理は、雇用の仕組みが前提として成り立っています。
一般の中小企業の多くは、職種や勤務地を限定せずに採用し、会社の判断で配置転換を行い、そのぶん長期の雇用を前提にしています。こうした会社では、休職からの復職の場面で、元の業務だけでなく他の業務への配置を検討することが求められます。片山組事件(最高裁第一小法廷平成10年4月9日判決)は、職種や業務内容を特定せずに雇用された労働者について、命じられた業務を十分にできなくても、能力や経験などに照らして配置される現実的可能性がある他の業務について労務を提供でき、本人がそれを申し出ているなら、債務の本旨に従った労務の提供があると判断しています。会社に広い配転命令権がある以上、戻る場所を探す範囲も広くなるということです。
同じ金融機関の事案でも、当法人ブログで取り上げた三菱UFJ銀行事件(東京高裁令和6年12月24日判決)では、職種限定の合意がある専門職の解雇が有効とされましたが、その前提として、グループ会社への雇用の引継ぎの打診や、賃金が大きく下がる他のリサーチ職への配置の打診が行われ、それが解雇回避努力として評価されていました。本判決が下位の職位での復職の提案を不要としたのは、外資系の雇用慣行に加え、原告が取締役を兼ねる最上位の役職者で、本人からの申出もなかったという事情が重なったためです。一般の会社で、より下位の役職や別の職種での復職を示さないまま解雇すれば、解雇回避努力を尽くしていないと評価されるおそれが高いと考えられます。
意思決定の記録についても同様です。本判決は、上位の少数の役職者が口頭で議論して決めたことから文書がなくても不自然ではないとしましたが、これは高位の役職者を対象とする非定型の判断だったからです。一般の会社で解雇の検討経過の記録がないことは、会社にとって不利に働くと考えておくべきです。
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| 比較項目 |
本件の会社(判決の認定) |
職種を限定しない一般の中小企業 |
| 採用と異動 |
ポジションごとに採用。会社が一方的に異動させない |
職種を限定せずに採用し、会社の判断で配置転換する |
| 復職先として探す範囲 |
専門性・職位・待遇に見合う同等の役職 |
配置される現実的可能性がある他の業務を含めて検討 |
| 下位の職位での復職 |
提案しない慣行と本人の地位から、検討不要とされた |
選択肢として示さなければ、回避努力の不足と評価されるおそれ |
| 退職条件 |
約8,762万円(特別退職金約5,056万円を含む) |
条件の水準は、解雇の相当性の評価に影響し得る |
| 解雇による打撃 |
弁護士資格があり、相対的に高くないとされた |
再就職の難しさが、解雇の相当性を否定する方向に働き得る |
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| 5 実務への示唆――休職中の社員の「戻る場所」をどう扱うか |
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以下は、本件の事実関係を離れて、一般的な実務として整理したものです。
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点検1 休職中の代替体制を「暫定」か「恒久」か決め、その理由を記録しているか
休職者の業務を他の社員に割り振るとき、それが復職までの暫定措置なのか、組織として恒久的に変えるのかを決めて記録してください。本判決は、体制の変更が休職中に業務を回すために生じたもので、会社が意図的に作り出した状況ではないことを重視しました。休職を機に、本人を戻さないことを目的として組織を変えたと見られれば、評価は逆になり得ます。
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点検2 復職できるかの判断と、どこに戻すかの検討を分けているか
主治医や産業医の意見による就労可否の判断と、復職先の検討は別の作業です。本件でも、主治医の診断書で復職が許可されたあとに、戻るポジションがないことが問題になりました。職種を限定していない社員であれば、元の業務以外に配置できる業務の一覧を作り、それぞれについて配置の可否と理由を記録してください。
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点検3 役職や賃金が下がる復職先も、選択肢として示したか
下位の役職や賃金の異なる職務での復職を会社から示すことは、退職を迫る圧力と受け取られないかという懸念があり、本判決もその点に触れています。それでも、一般の会社では、選択肢を示したうえで本人が選ばなかったという経過が、解雇回避努力を裏付ける記録になります。提示するときは、退職を求める話と切り離し、本人が選べる形で書面にしてください。
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点検4 退職条件の提示と、その後の措置の方針が一貫しているか
退職の提案をするときは、合意できなかった場合に会社がどうするのか、その期限はいつかを最初に決めてから伝えてください。本件では、無給休暇とするとした8日後に、より早い期限で解雇とする連絡をしたことが、首尾一貫していないと指摘されました。方針の揺れは、交渉の誠実さを疑わせ、紛争になったときの説明を難しくします。
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| 6 当法人の視点 |
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長期休職からの復職の相談を受けたとき、当法人がまず確認するのは、「その社員は、何を約束して雇った人か」という点です。特定のポジションのために採用し、そのポジションに見合う待遇を払ってきた人なのか、職種を限定せずに採用し、会社の都合で配置を変えてきた人なのか。その答えによって、会社が探すべき「戻る場所」の範囲が決まります。
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当法人の見解
当法人は、本判決の意義を、整理解雇の4要素を「会社の雇用の仕組みに見合った回避努力を尽くしたか」を測る道具として使った点に見ています。ポジション単位で採用し、異動を会社が決めない雇用であれば、回避努力の中心は同等のポジションの探索になる。この考え方は筋が通っています。他方で、その論理は裏返せば、会社が配置転換の権限を広く持つほど、回避努力として求められる範囲も広がることを意味します。本判決を、ポジションがなくなれば解雇できるという根拠として引用することは、一般の中小企業にとっては危険だと当法人は考えています。
反対の見方もあります。いわゆるジョブ型の雇用を取り入れる会社が増えるなか、本判決の柔軟な枠組みは、職務を定めて採用した社員について、職務がなくなった場合の解雇の判断を会社に有利な方向へ広げるものだという評価です。当法人も、その可能性は否定しません。ただ、本判決が重視したのは、制度の名前ではなく、採用、異動、待遇の実態でした。職務記述書を作っても、実際には会社の判断で配置を変えてきたのであれば、本判決の論理は使えないと考えられます。また、原告が本社幹部との面談を断り、自ら条件を示さなかったことが判断に影響している点も見落とせません。控訴審の判断も待つ必要があります。
簡易な確かめ方を1つ挙げます。3か月以上休職している社員ごとに、�@休職前の担当業務を今は誰がどう担っているか(暫定か恒久か)、�A復職するとしたら配置できる業務の候補(役職や賃金が下がるものを含む)、�Bそれを本人に伝えたかどうか、の3点を1枚にまとめてください。�Aが空欄の社員について復職の申出があれば、その時点で会社の説明は苦しくなる可能性が高いと考えられます。
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| まとめ |
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東京地裁は2026年3月9日、長期の傷病休暇の間に法務部長のポジションが廃止され、復職先が見つからないとして解雇された外資系証券会社の取締役兼法務部長について、整理解雇の4要素を柔軟に参照して解雇を有効と判断しました。ポジション単位の雇用慣行、年収1億円前後の待遇、約3か月の社内外の探索、本人が拒んだ面談の打診、約8,762万円の退職条件といった本件固有の事情が結論を支えています。判決は控訴されており、確定していません。
当法人は「経営者と共に歩き、最善の解を導き出す」ことを使命としています。休職者の復職は、戻る場所をどこまで探したかが問われる場面です。休職に入った時点から、代替体制と復職先の候補を記録しておくことが、会社と社員の双方を守ります。休職規程の設計と復職手続の運用については休職制度設計・支援、紛争の予防と対応については労働紛争解決支援のページもご覧ください。
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休職中の社員の「戻る場所」、決めていますか
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【根拠法令】
労働契約法16条(解雇)/民法415条(債務不履行)、709条(不法行為)
【参考判例】
本件:JPモルガン証券事件・東京地方裁判所令和8年3月9日判決(令和6年(ワ)第11672号、労働判例1354号15頁、控訴)。控訴審の結果は未確認です。/片山組事件・最高裁判所第一小法廷平成10年4月9日判決/三菱UFJ銀行事件・東京高等裁判所令和6年12月24日判決(労働判例1349号22頁)
【出典・参考資料】
労働判例1354号(2026年8月1日・15日合併号)15頁〜32頁
【免責事項】
本記事は2026年10月時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言を構成するものではありません。本件判決は判例誌に掲載された全文に基づいていますが、控訴されており確定していません。判決にない事実や当事者の心情を補ってはいません。具体的な事案については、弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
なお、紛争性のある事案の交渉代理および訴訟代理は、弁護士法72条により社会保険労務士の業務範囲外です(特定社会保険労務士による個別労働関係紛争のあっせん代理等の法定の例外を除きます)。当法人は、休職規程の整備、復職手続と復職先の検討の記録づくり、退職条件の整理の支援を担い、解雇の効力が争われる局面では提携する弁護士と連携して対応いたします。
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| この記事を書いた人 |
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三重 英則(HIDENORI MIE)
社会保険労務士法人T&M Nagoya 社員(特定社会保険労務士)
特定社会保険労務士/経営心理士/経営法曹会議賛助会員(SRP認証番号第160175号)
法律事務所で約7年間、使用者側・労働者側双方の労働紛争を経験。年間350件以上の相談に対応し、20年以上にわたる紛争解決の実績を持つ。IPO労務監査、M&A労務デューデリジェンス、団体交渉対応など高難度案件を専門とし、「経営者と共に歩き続ける」伴走型の支援を提供している。
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