第8条は、不合理な待遇差を禁止した均衡待遇規定、第9条は差別的取扱を禁止した均等待遇規定であり、期間の定めのない従業員(「無期雇用フルタイム社員」を指す。)と期間の定めのある従業員(いわゆる「契約社員」や「パートタイマー」。)との間で、その労働条件に差異が存在する場合においては、これらの対応が求められます。
第8条(不合理な待遇の禁止)
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。
※「不合理の意味」
「労働契約法第20条は、『不合理と認められるものであってはならない』と規定しており、同規定は、労働協約や就業規則、個別契約によって律せられる有期雇用労働者の労働条件が、無期雇用労働者の労働条件に比して、法的に否認すべき内容ないし程度で不公正に低いものであることを禁止すると解される。」(大阪地裁平成30年1月24日 大阪医科薬科大学事件)