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HOME > サービス > IPO準備企業が労務監査で必ず指摘される3つの落とし穴
IPO LABOR AUDIT

IPO準備企業が労務監査で
必ず指摘される3つの落とし穴

主幹事証券が入る前に知っておくべき、上場審査の労務リスク

IPO準備を進める中で、「労務の問題で上場が延期になった」という話を耳にされたことはないでしょうか。

近年、東証による上場審査では労務コンプライアンスの確認が年々厳格化しており、主幹事証券会社・監査法人による労務デューデリジェンスで重大な指摘を受け、申請スケジュールの見直しを余儀なくされる企業が少なくありません。

本稿では、IPO労務監査の実務において頻繁に指摘される3つの論点を整理し、上場準備の早い段階で着手すべき対応の方向性をお示しします。

目次 / CONTENTS
01.  IPO審査における労務の位置づけ
02.  落とし穴1:未払残業代と労働時間管理の実態乖離
03.  落とし穴2:就業規則と実態運用の不整合
04.  落とし穴3:固定残業代・管理監督者・業務委託の誤運用
05.  T&M Nagoyaが提供する「プレ労務監査」

IPO審査における労務の位置づけ

上場審査では、財務の健全性や事業の継続性とともに、「法令遵守体制」の一環として労務コンプライアンスが審査対象となります。主幹事証券会社による引受審査、監査法人によるデューデリジェンス、そして東京証券取引所による上場審査のいずれの段階でも、労務に関する詳細な質問が投げかけられます。

特に近年は、上場後の不祥事(過労死・未払残業代集団訴訟・ハラスメント告発等)が企業価値を大きく毀損した事例が相次いだことを背景に、審査基準は年々厳格化しています。

▸ 実務上の傾向

N-2期(申請2期前)の労務監査で重大な指摘があった場合、規程改定・実態運用の是正・過去分の精算等に相応の期間を要するため、申請スケジュールの後ろ倒しが発生するケースが少なくありません。このため、N-3期以降の早い段階で労務体制の点検に着手することが実務上推奨されています。

落とし穴1:未払残業代と労働時間管理の実態乖離

PITFALL 01
労働時間管理の「実態」と「記録」の乖離

IPO労務監査において最も高頻度で指摘されるのが、労働時間管理の適正性に関する論点です。

具体的には、タイムカードやPCログ、入退館記録等の客観的記録と、申告された労働時間との間に乖離が見られるケース。いわゆる「サービス残業」の疑義が生じると、監査法人は過去にさかのぼって未払残業代の算定・引当計上を求めることがあり、財務インパクトが極めて大きくなります。

監査で確認される主な論点
客観的記録(PCログ・入退館・メール送信履歴等)と勤怠申告の整合性
申告・自己申告制の運用実態と、使用者による確認の記録
持ち帰り残業・早朝出勤・休憩時間中の業務対応の扱い
36協定の締結・届出状況と、実労働時間の適合性

労基法第32条・第37条の遵守状況は、厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)に沿って確認されるのが一般的です。自己申告制を採用している場合は、ガイドラインが求める複数の措置(実態調査・必要に応じた補正等)を講じているかが論点となります。

落とし穴2:就業規則と実態運用の不整合

PITFALL 02
規程が「実態」を反映していない

就業規則そのものの体裁は整っていても、実際の運用と規程内容が乖離しているケースが多く見られます。

典型的には、以下のようなパターンが挙げられます。

CASE A
規程上は「時差出勤制度なし」だが、実際には一部社員が個別合意で柔軟な勤務時間を適用されている
CASE B
賃金規程の計算式と、実際の給与計算ロジックが異なっている
CASE C
慶弔休暇・特別休暇の運用が、規程記載と実運用で異なる
CASE D
ネットの雛形を流用したまま、自社の実態に合わせた改定がされていない

労契法第7条により、合理的な内容の就業規則は労働契約の内容を規律します。一方、実態が規程と乖離している場合、労働者に有利な実態が「労使慣行」として成立している可能性があり、規程の文言だけで会社側の主張を通すことは困難となります。

IPO審査では、こうした規程と実態の齟齬が「コンプライアンス体制の不備」として指摘される傾向にあり、規程改定に伴う不利益変更の同意取得プロセスまでを含めた整備が求められます(労契法第9条・第10条)。

落とし穴3:固定残業代・管理監督者・業務委託の誤運用

PITFALL 03
「形式」と「実態」が一致しない3類型

IPO労務監査で特に厳しく見られるのが、形式上の取扱いと実態が一致しない以下の3類型です。

(1) 固定残業代(みなし残業代)の有効性

固定残業代が有効と認められるためには、最高裁判例(日本ケミカル事件・最判平30.7.19等)により、通常の労働時間の賃金に相当する部分と、割増賃金に相当する部分とが判別できることが求められます。また、想定時間を超えた場合の追加支払い運用も必要です。

「月給◯◯万円(固定残業代含む)」という記載のみで、内訳・想定時間数が明示されていないケースは、固定残業代制度そのものが無効とされ、全額が通常賃金として再計算される可能性があります。

(2) 管理監督者該当性

労基法第41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」に該当するかは、役職名ではなく、(i)職務内容・責任と権限、(ii)勤務態様、(iii)賃金等の待遇を総合的に判断します(日本マクドナルド事件・東京地判平20.1.28等)。

課長・マネージャー等の役職者を一律に管理監督者として扱い、残業代を支給していない運用は、IPO労務監査において高頻度で指摘される論点です。該当性が否定された場合、過去2年〜3年分の未払残業代が一気に表面化するリスクがあります。

(3) 業務委託契約の労働者性

業務委託契約を締結していても、実態が労働者性(労基法第9条)を帯びる場合、労働基準法・労災保険法等が適用されます。判断基準は、昭和60年労働基準法研究会報告の「労働者性の判断基準」に沿って、使用従属性(指揮監督下の労働・報酬の労務対価性)および労働者性を補強する要素が総合的に検討されます。

近年はフリーランス保護法(令和6年11月1日施行)の影響もあり、業務委託の取扱いに関する審査の目線は一段と厳格化しています。

T&M Nagoyaが提供する「プレ労務監査」

社会保険労務士法人T&M Nagoyaでは、主幹事証券会社・監査法人による本格的な労務デューデリジェンスが開始される前の段階で、自社の労務リスクを可視化する「プレ労務監査」を提供しています。

OUR APPROACH
4つの視点から、上場審査に耐えうる労務体制を構築します
01
労働時間管理の実態調査
客観的記録と勤怠申告の突合、自己申告制の運用適合性の点検
 
02
規程と実態の整合性診断
就業規則・賃金規程・各種社内規程と実運用の齟齬を特定し、改定の方向性を提示
 
03
3類型(固定残業代・管理監督者・業務委託)の適法性検証
判例・行政解釈に照らした該当性判断と、必要に応じた契約形態の見直し提案
 
04
改善計画の策定と運用定着までの伴走
指摘事項を一覧化するだけでなく、優先順位付け・実行計画策定・運用定着までを継続支援

当法人が選ばれる理由

▸ 経営法曹会議賛助会員としての視点

使用者側の法的論点に精通した立場から、判例・裁判実務を踏まえた実効性のあるリスク評価を行います。

▸ 20年以上の紛争解決実務経験

年間350件以上の労務相談、20年を超える紛争解決の実務経験から、「どこが争点になるか」を事前に見抜き、リスクの芽を早期に特定します。

▸ 「点の仕事」ではなく「線の仕事」

監査指摘事項のリストアップだけで終わらせず、改善計画の策定から運用定着、上場後のコンプライアンス体制維持まで、経営者と共に歩き続けます。

OUR PHILOSOPHY

耳障りの良い言葉だけではなく、時に耳の痛い現実も率直にお伝えします。
経営者が最善の判断を下せるよう、誠実に、深く考え、伴走する
それが私たちの仕事のあり方です。

プレ労務監査のご相談

主幹事証券会社が入る前に、自社の本当の現在地を把握しておくことは、上場準備の精度を大きく左右します。まずは現状をお聞かせください。貴社の労務体制について、専門家の視点から率直なご意見を差し上げます。

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052-265-6521
受付時間:平日 9:00 〜 18:00
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※ 本稿は一般的な論点の整理を目的としたものであり、個別事案への法的助言を行うものではありません。個別の具体的なご相談については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。
※ 記載の法令・判例等は執筆時点のものです。
社会保険労務士法人 T&M Nagoya
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