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作成日:2026/09/29
【直前】【2026年10月1日適用】同一労働同一賃金ガイドライン全解説 第3弾 改正後の指針を第1から第6まで順に読み解く
法改正
【2026年10月1日適用】同一労働同一賃金ガイドライン全解説
第3弾 改正後の指針を第1から第6まで順に読み解く
2026年9月29日|社会保険労務士法人T&M Nagoya 三重 英則(特定社会保険労務士)

おはようございます。社会保険労務士法人T&M Nagoya(名古屋市中区)の三重英則です。

2026年10月1日、改正された「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(平成30年厚生労働省告示第430号。いわゆる同一労働同一賃金ガイドライン。以下「指針」といいます)が適用されます。改正告示(令和8年厚生労働省告示第203号)は令和8年4月28日に公布され、当法人は公布直後に、省令・告示改正の3つの柱を整理した記事を掲載しました。また、改正の背景となった最高裁判所の5つの判決(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件、大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件、日本郵便事件)についても、当法人ブログで判決ごとに解説しています。

本稿は、10月1日に施行・適用される制度改正を解説する連載の第3弾です。第1弾ではカスタマーハラスメント関係の厚生労働省Q&Aを、第2弾では求職者等に対するセクシュアルハラスメント関係のQ&Aを取り上げます。第3弾となる本稿では、改正後の指針の全文を、第1「目的」から第6まで順に読み解きます。改正で加わった箇所だけを拾うのではなく、変わらなかった原則も含めて、指針の全体を1本で確認できる記事にすることが狙いです。何が変わったのかは、厚生労働省が公表した「新旧対照表(解説付き)」と「同一労働同一賃金ガイドライン及び雇用管理指針のQ&A(令和8年改正)」で照合しています。

📌 この記事でわかること

✓ 改正指針は2026年10月1日から適用されること。指針は第1「目的」、第2「基本的な考え方」、第3「短時間・有期雇用労働者」、第4「派遣労働者」、第5「協定対象派遣労働者」、新設の第6の6部構成であり、本稿はその全てを順に解説すること

✓ 新たに6つの待遇(退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、褒賞)が加わり、賞与に注が付いたこと。厚生労働省のQ&Aによれば、褒賞を除く5つは最高裁判決を、褒賞はメトロコマース事件の東京高裁判決を踏まえたものであること

✓ 「その他の事情」に、待遇差の説明を十分に行わなかったことや、労働者の意向を考慮せず一方的に待遇を決定したことが含まれると明記され、「正社員としての人材の確保・定着」という目的だけでは待遇差が不合理でないとは当然には認められないと明記されたこと

✓ 第2で、正社員の労働条件を不利益に変更することなく非正規の待遇を改善することが原則であり、正社員の待遇引下げによる解消は基本的に望ましくないと明記されたこと

✓ 新設の第6により、パートタイム・有期雇用労働法の対象外である無期雇用フルタイム労働者、勤務地限定・職務限定・短時間正社員、無期転換後の労働者についても、指針の趣旨を考慮することが求められること

今回の改正は、新しい義務を課すというより、「待遇ごとに、その性質と目的に照らして理由を説明できるか」を問う判断枠組みを、行政が指針の本文に書き込んだものです。

出典について

本記事の指針の内容は、令和8年厚生労働省告示第203号による改正後の指針全文(2026年10月1日適用)に基づいています。改正前後の異同と改正理由は、厚生労働省が同一労働同一賃金特集ページで公表している「同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)」の解説欄と、「同一労働同一賃金ガイドライン及び雇用管理指針のQ&A(令和8年改正)」に基づいています。本文中で「踏まえた判決」として挙げる判例名は、この新旧対照表の解説欄とQ&Aに記載されたものです。

指針の項目番号(「第3の(注)1」「第3の4(9)」など)は改正後のものです。各項目の「原則」は当法人が要旨を整理したものであり、原文の引用ではありません。「実務上の含意」と「当法人の視点」は当法人の見解であり、行政の見解ではありません。原文は記事末尾に掲げるURLからご確認ください。

1 指針の位置づけと改正の経緯、そして全体像

指針は、その第1「目的」が述べるとおり、パートタイム・有期雇用労働法(正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」。指針では「短時間・有期雇用労働法」と略されています)8条および9条と、労働者派遣法30条の3および30条の4に定める事項に関し、雇用形態または就業形態にかかわらない公正な待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に向けて定められたものです。8条は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で、待遇のそれぞれについて不合理と認められる相違を設けてはならないとする均衡待遇の規定、9条は、職務の内容と職務の内容・配置の変更の範囲が同一の場合に差別的取扱いを禁じる均等待遇の規定です。派遣法30条の3はこれを派遣先の通常の労働者と派遣労働者との間に適用する規定(派遣先均等・均衡方式)、30条の4は労使協定によって待遇を決定する方式(労使協定方式)の規定です。

指針は、厚生労働省のQ&A(問1-1)が整理するとおり、「原則となる考え方」、「具体例」(問題とならない例と問題となる例)、そして令和8年改正で位置づけが明確にされた「留意すべき事項」の3つの層で構成されています。指針は告示であって、裁判所を拘束する規範ではありません。しかし、第2「基本的な考え方」は、事業主が第3から第5までに記載された原則となる考え方等に反した場合には待遇の相違が不合理と認められる等の可能性があるとし、指針に原則となる考え方が示されていない待遇や具体例に該当しない場合であっても同様であると述べています。行政は指針を基準に助言、指導、勧告(パートタイム・有期雇用労働法18条1項)を行い、裁判でも指針の考え方が参照されることがあります。経営者にとって指針は、「守れば安全」というものではなく、「反していれば行政指導と紛争の入口に立つ」ものと理解するのが正確です。

改正の経緯を確認します。指針は平成30年12月28日に告示され、大企業と派遣については2020年4月1日、中小企業については2021年4月1日から、それぞれの法の施行に合わせて適用されてきました。働き方改革関連法に置かれた施行後の検討規定に基づき、労働政策審議会の同一労働同一賃金部会が令和7年に見直しの審議を進め、令和7年12月25日に部会報告「雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組の強化について」を取りまとめました。これを受けて令和8年3月に労働政策審議会への諮問と答申が行われ、4月28日に改正省令(令和8年厚生労働省令第87号)と改正告示(雇用管理指針の改正である告示第202号、本指針の改正である告示第203号)が公布され、いずれも2026年10月1日から施行・適用されます。省令改正による雇入れ時の労働条件明示事項の追加(待遇の相違の内容・理由等の説明を求めることができる旨)と雇用管理指針の改正については、冒頭で挙げた当法人の記事をご参照ください。本稿は告示第203号、すなわち指針本体の改正に絞ります。

改正後の指針の構成は、第1「目的」、第2「基本的な考え方」((1)から(4)の留意事項)、第3「短時間・有期雇用労働者」(1 基本給、2 賞与、3 退職手当、4 各種手当(退職手当を除く。)、5 福利厚生、6 その他)、第4「派遣労働者」(第3と同じ6項目)、第5「協定対象派遣労働者」(1 賃金、2 福利厚生、3 その他)、第6「所定労働時間が通常の労働者と同一であり、かつ、事業主と期間の定めのない労働契約を締結している労働者等」です。改正の全体を、改正前と改正後の対照で示すと次のとおりです。

箇所 改正前(2026年9月30日まで) 改正後(2026年10月1日適用) 踏まえた判決等(厚労省の解説による)
第1 目的 同一労働同一賃金の目的と方向性を記載 均等・均衡待遇は個々の待遇ごとに、その性質と目的に照らして適切な事情を考慮して判断されるべき旨が法に明確化されていることを踏まえて対応する、という一文を追記 平成30年法改正の趣旨の明確化
第2 基本的な考え方 留意事項に見出しなし。「示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇」も解消が求められる旨。賃金の決定基準・ルールの相違の取扱いは第3・第4の基本給の注に置かれていた (1)から(4)の見出しを付記。「留意すべき事項」を示す旨を明記。示されていない待遇一般に拡張。決定基準・ルールの相違の取扱いを(2)として第2に移し、賃金以外の待遇にも及ぶことを明確化。労働者の意向を十分に考慮すべき旨を追記。(3)に、通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく改善を図ることが求められる旨を追記 労使コミュニケーションの重要性、法の目的(非正規の待遇改善)の明確化
第3・第4 柱書 8条・9条(派遣法30条の3)の規定内容を記載 職務の内容等の相違に応じた均衡のとれた待遇とすることが求められている旨を追記 ハマキョウレックス事件(最高裁第二小法廷平成30年6月1日判決)
第3(注)1/第4(注)1 その他の事情 「その他の事情」の内容は施行通達に記載 職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経緯や結果等を例示。説明義務(14条2項、派遣法31条の2第4項)に基づく十分な説明を行わなかった場合や、労働者の意向を十分に考慮せず一方的に待遇を決定した場合も「その他の事情」に含まれ、不合理と認められることを基礎付ける事情として考慮されうる旨を明記 施行通達の記載等を指針に取り込み
第3(注)2 定年後継続雇用 基本給の注に記載 第3の総論部分に移設。定年後継続雇用であることは「その他の事情」に当たりうるが、それぞれの待遇について性質と目的に照らして判断され、定年後であることのみで直ちに不合理でないとは認められない旨を明確化 個々の待遇ごとの判断の明確化
第3(注)3/第4(注)2 人材確保・定着の目的 記載なし 「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があることのみをもって、直ちに待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない旨を新設 いわゆる「正社員人材確保論」の明確化
賞与の(注) 注なし 賞与の性質・目的が非正規にも妥当するのに均衡のとれた賞与を支給せず、その見合いとして労使交渉を経て基本給を高く支給している等の事情もない場合、不合理と認められるものに当たりうる旨を新設 長澤運輸事件(最高裁第二小法廷平成30年6月1日判決)
3 退職手当 項目なし(第2で「示されていない待遇」の例に挙げるのみ) 独立の項目として新設。賞与の注と同じ構造で、不合理と認められるものに当たりうる旨を記載 メトロコマース事件(最高裁第三小法廷令和2年10月13日判決)
4 各種手当 10項目(役職、特殊作業、特殊勤務、精皆勤、時間外、深夜・休日、通勤・出張旅費、食事、単身赴任、地域) 13項目。無事故手当、家族手当(配偶者手当の見直しの注付き)、住宅手当(転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの)を新設 無事故手当・住宅手当はハマキョウレックス事件、家族手当は日本郵便(大阪)事件(最高裁第一小法廷令和2年10月15日判決)
5 福利厚生 福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)、転勤者用社宅、慶弔休暇・健康診断、病気休職、法定外の休暇 福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件も8条の対象と明記。病気休職に「療養への専念を目的として付与する病気休暇を含む」ことと、病気休職期間の給与の保障を追記。夏季冬季休暇と、一定期間勤続した労働者に付与する褒賞を新設 病気休職の給与保障は日本郵便(東京)事件、夏季冬季休暇は日本郵便(佐賀)事件(いずれも最高裁第一小法廷令和2年10月15日判決)、褒賞はメトロコマース事件(東京高裁平成31年2月20日判決)
第4・第5 派遣 第3と並行する構成 第3と同様の見直し。派遣元の通常の労働者と協定対象派遣労働者との間の待遇(賃金を除く)にも人材確保論の注が及ぶ旨を記載 第3と同じ
第6 なし 無期雇用フルタイム労働者等について、労働契約法3条2項の均衡考慮に当たり指針の趣旨が考慮されるべきこと、無期転換前の点検と解消、有期労働契約基準5条の説明の努力義務、勤務地限定・職務限定・短時間正社員にも同様であることを新設 部会報告を踏まえた新設
2 第1「目的」と第2「基本的な考え方」――待遇ごとの判断、労使の話合い、正社員の待遇引下げ

第1「目的」は、我が国が目指す同一労働同一賃金を、同一の事業主に雇用される通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間、および派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の、不合理と認められる待遇の相違と差別的取扱いの解消と定義します。協定対象派遣労働者については、その待遇が労使協定で決定された事項に沿って運用されていることを目指すとされています。第1は、賃金等の待遇は労使の話合いによって決定されることが基本であるとしつつ、我が国では欧州と比較して通常の労働者と非正規との間に大きな待遇の相違があること、各事業主において職務の内容や職務に必要な能力等の内容を明確化し、その内容と待遇との関係を含めた待遇の体系全体を、非正規を含む労使の話合いによって確認し共有することが肝要であることを述べ、賃金のみならず福利厚生、キャリア形成、職業能力の開発・向上等を含めた取組が必要であるとして、我が国から「非正規」という言葉を一掃することを目指す、と結んでいます。

改正で第1に加わったのは、不合理と認められる待遇の相違の解消等に当たっては、8条および派遣法30条の3第1項において、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨が明確化されていること等も踏まえ、指針に基づき客観的および具体的な実態に照らして対応することが求められる、という一文です。厚生労働省の解説は、平成30年の法改正で規定された均等・均衡待遇が個々の待遇ごとに判断されるべきものであることを明確化する記載だと説明しています。「待遇ごと」「性質と目的」「客観的・具体的な実態」の3語は、改正後の指針全体を貫く語であり、以後の各項目はこの3語の具体化として読むと理解しやすくなります。

第2「基本的な考え方」は、指針が、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものであり、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方と具体例、そして留意すべき事項を示したものであると述べます。事業主が第3から第5までに記載された原則となる考え方等に反した場合には、待遇の相違が不合理と認められる等の可能性があります。ここで重要なのは、改正前の指針が「原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇」についても解消が求められるとしていた箇所が、これらの手当が第3に取り込まれたことに伴い、「原則となる考え方が示されていない待遇や、具体例に該当しない場合であっても」不合理と認められる等の可能性があり、その場合についても解消等が求められる、という一般的な表現に改められた点です。指針に書かれていない待遇であれば安全だ、という読み方は改正前から成り立ちませんでしたが、改正後はそのことが待遇の種類を問わない形で明記されました。

第2にはもう1つ、労使コミュニケーションに関する追記があります。各事業主において労使により待遇の体系について議論していくことが望まれるとしたうえで、その議論に当たっては、短時間・有期雇用労働者および派遣労働者の意向を十分に考慮した上で取組を進めることが望ましいこと、その取組が当該労働者の自らの待遇に対する納得性の向上にも資することに留意すべきであるとされました。この「意向を十分に考慮」という語は、後述する第3の(注)1で「意向を十分に考慮せず一方的に決定した場合」が不合理性を基礎付ける事情になりうる、という形で再び現れます。第2の望ましい取組と(注)1の不利益な考慮要素は、同じ事実の表と裏です。

第2の留意事項は4つです。(1)は、雇用管理区分が複数ある場合や職務の内容等を分離した場合の取扱いで、事業主が新たな雇用管理区分を設け、そこに属する通常の労働者の待遇の水準を他の通常の労働者よりも低く設定したとしても、当該他の通常の労働者と非正規との間でも解消等を行う必要があること、通常の労働者と非正規との間で職務の内容等を分離した場合であっても解消等を行う必要があることを述べます。いわゆる「比較対象を低い正社員区分に寄せる」対応や「職務を分けて比較を封じる」対応が、指針上は解消義務を免れる手段にならないことの確認です。

(2)は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に賃金その他の待遇の決定基準・ルールの相違がある場合等の取扱いです。厚生労働省のQ&A(問1-2)によれば、この項目は改正前は第3と第4の基本給の注に置かれていたものを、賃金に限らず待遇全般に関する内容であることを明確化するために第2に移したものです。内容は、基本給、賞与、各種手当等の賃金その他の待遇に相違がある場合において、その要因として決定基準・ルールの相違があるときであっても、当該待遇の相違は8条の適用を受けるものであり、「通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で将来の役割期待が異なるため、待遇の決定基準・ルールが異なる」等の主観的または抽象的な説明では足りず、決定基準・ルールの相違は8条に基づき客観的および具体的な実態に照らして不合理と認められるものであってはならない、というものです。派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間についても同様です。「正社員は総合職だから」「期待する役割が違うから」という説明だけで待遇の体系の違いを正当化することはできない、という趣旨であり、後述する(注)3の人材確保論とともに、改正後の指針が最も明確に否定している説明の型です。

(3)は、不合理と認められる待遇の相違の解消等に当たり、就業規則の変更により労働条件を変更する場合の留意事項です。改正後の(3)は、まず、法に基づく解消等の目的は短時間・有期雇用労働者および派遣労働者の待遇の改善であり、その目的に鑑みれば、通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく、非正規の労働条件の改善を図ることが求められると原則を明記しました。厚生労働省の解説は、この一文が今回の改正で追記されたものだと説明しています。そのうえで、事業主が解消等に対応するため、やむを得ず就業規則の変更により通常の労働者の労働条件を不利益に変更する場合には、労働契約法9条に基づき原則として労働者と合意する必要があり、合意することなく変更する場合には同法10条に基づき当該変更に係る事情に照らして合理的なものである必要があるとし、ただし、基本的にこうした対応は望ましい対応とはいえないことに留意すべきであると結んでいます。Q&A(問1-3)は、この(3)が労働契約法9条・10条の内容を変更するものではなく、法の目的に鑑みれば基本的にそのような対応は望ましくないことを明確化したものだと説明しています。

(4)は「その他」で、8条・9条および派遣法30条の3・30条の4は、通常の労働者と非正規との間の不合理と認められる待遇の相違等を対象とするものであり、指針は実際に待遇の相違が存在する場合に参照されることを目的としているため、そもそも客観的にみて待遇の相違が存在しない場合は指針の対象ではない、というものです。

第1・第2の実務上の含意

正社員の手当を廃止して原資を非正規に配分する「原資の組替え」による解消は、改正後の指針では明確に「望ましくない対応」の側に置かれました。指針は労働契約法9条・10条の規律を変えるものではないので、合意または合理性があれば法的に無効になるわけではありませんが、行政指導の場面では、正社員の待遇を引き下げていないかがまず確認されると考えるべきです。原資の組替えを選ぶ場合は、それが「やむを得ない」ことを示す経営上の事情と、労使協議の経緯を、就業規則の変更手続とは別に記録として残しておく必要があります。

(2)の「将来の役割期待が異なるため」という説明では足りないという指針の文言は、待遇差の説明義務(14条2項)の場面でそのまま基準になります。自社の説明資料にこの型の文章しかない待遇があれば、そこが改正後の最初の点検対象です。

3 第3「短時間・有期雇用労働者」の総論と賃金――(注)1〜3、基本給、賞与、退職手当

第3の柱書は、8条が、待遇のそれぞれについて、業務の内容および当該業務に伴う責任の程度(指針ではこれを「職務の内容」といいます)、当該職務の内容および配置の変更の範囲、その他の事情のうち、当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないと定めていることを述べ、改正でここに、職務の内容等のうち待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた待遇とすることが求められている、という一文が加わりました。Q&A(問1-4)は、8条は職務の内容が異なる場合であってもその違いを考慮して両者の待遇が均衡のとれたものであることを求めるものであることを、ハマキョウレックス事件(最高裁第二小法廷平成30年6月1日判決)を踏まえて明確化したものだと説明しています。柱書はあわせて、9条が、職務の内容が同一で、雇用関係が終了するまでの全期間において職務の内容および配置の変更の範囲も同一と見込まれる短時間・有期雇用労働者について、短時間・有期雇用労働者であることを理由とする差別的取扱いを禁じていることを述べています。

(注)1 8条における「その他の事情」の取扱い
「その他の事情」は、職務の内容や職務の内容・配置の変更の範囲に関連する事情に限定されるものではなく、職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合や過半数代表者等との間の交渉といった労使交渉の経緯や結果等の諸事情が想定され、考慮すべきその他の事情があるときに考慮すべきものであるとされました。Q&A(問1-5)によれば、これは施行通達で示していた内容を指針で明確化したものです。そのうえで(注)1は、事業主が14条2項に基づき待遇の相違の内容および理由について十分な説明を行わなかったと認められる場合や、待遇の体系に係る議論において短時間・有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず一方的に待遇を決定した場合には、当該事実も「その他の事情」に含まれ、待遇の相違が不合理と認められることを基礎付ける事情として考慮されうると明記しました。説明の不十分さと決定過程の一方性が、待遇差そのものの不合理性を判断する際の不利な要素になる、ということです。

(注)2 定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者の取扱い
定年後に継続雇用された有期雇用労働者にも法の適用があり、通常の労働者との間に実際に職務の内容等の相違がある場合には、その相違に応じた待遇の相違は許容されます。さらに、定年後に継続雇用された者であることは、待遇の相違が不合理と認められるか否かを判断するに当たり「その他の事情」として考慮される事情に当たりうるとされています。ここまでは改正前と同じ考え方ですが、改正後は、定年後に有期雇用労働者として継続雇用する場合のそれぞれの待遇について、当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる様々な事情が総合的に考慮されて判断されるものと考えられる、と書き改められ、定年後継続雇用された者であることのみをもって直ちに不合理ではないと認められるものではない、と結ばれています。Q&A(問1-2)は、この注が改正前は基本給の注にあったものを、待遇全般に関するため第3の総論に移し、個々の待遇ごとの判断であることを明確化したものだと説明しています。当法人の見方では、定年後再雇用であることを「その他の事情」として考慮した長澤運輸事件(最高裁第二小法廷平成30年6月1日判決)と、基本給や賞与についてその性質と目的を待遇ごとに検討することを求めた名古屋自動車学校事件(最高裁第一小法廷令和5年7月20日判決)の流れを、指針の文言に反映したものと読めます。

(注)3 「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的で待遇を行う場合の取扱い
新設の(注)3は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に基本給、賞与、各種手当等の待遇の相違がある場合において、その要因として当該待遇を行う目的に「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があったとしても、待遇の相違が不合理と認められるか否かは、職務の内容等のうち、当該待遇の他の性質および当該待遇を行う他の目的にも照らして適切と認められるものの客観的および具体的な実態に照らして判断されるものであり、その目的があることのみをもって直ちに不合理ではないと当然に認められるものではない、と述べます。厚生労働省の解説はこれを、いわゆる「正社員人材確保論」のみをもって待遇差が不合理ではないと当然に認められるものではない旨を明確化する記載だと説明し、Q&A(問1-6)は、その目的があること自体を否定するものではないとしています。大阪医科薬科大学事件およびメトロコマース事件(いずれも最高裁第三小法廷令和2年10月13日判決)で、最高裁は賞与や退職金の目的として正職員の人材確保・定着を認めたうえで、その他の事情と併せて相違を不合理でないと判断しました。指針は、この目的を否定はしないが、それを掲げるだけで待遇差が正当化される訳ではなく、待遇の他の性質・目的も含めた客観的な実態を見る、という線を引いたものです。

1 基本給
基本給の項目は改正前から変わっていません。基本給を、(1)労働者の能力または経験に応じて支給するもの、(2)業績または成果に応じて支給するもの、(3)勤続年数に応じて支給するもの、(4)昇給であって勤続による能力の向上に応じて行うものの4類型に分け、いずれについても、通常の労働者と同一の能力・経験、業績・成果、勤続年数、能力の向上がある短時間・有期雇用労働者には、その部分につき同一の基本給を支給し(同一の昇給を行い)、一定の相違がある場合にはその相違に応じた基本給を支給しなければならない、という原則です。問題となる例として、通常の労働者が多くの経験を有することを理由に基本給を高くしているが、その経験が現在の業務に関連性を持たない場合、通常の労働者が販売目標を達成した場合に行う支給を、所定労働時間が半分の短時間労働者にも同一の販売目標を設定して達成しない限り行わない場合、有期雇用労働者の勤続年数を当初の契約の開始時から通算せずその時点の契約期間のみで評価する場合が挙げられています。問題とならない例には、キャリアコースの選択や登用の結果としての能力・経験の差に応じた支給、就業の時間帯や土日祝日か否かの違いによる時間当たりの基本給の差(通常の労働者と短時間労働者に共通の基準を設定している場合)が含まれます。

2 賞与
会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給する賞与について、通常の労働者と同一の貢献である短時間・有期雇用労働者には貢献に応じた部分につき同一の賞与を、一定の相違がある場合にはその相違に応じた賞与を支給しなければならない、という原則と、生産効率・品質の目標値に対する責任の有無との見合いで賞与に差を設けることは問題とならないが、通常の労働者には職務の内容や貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているのに短時間・有期雇用労働者には支給していない場合は問題となる、という具体例は改正前からあります。改正で加わったのは(注)です。賞与には、労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲の向上等の様々な性質および目的が含まれうるところ、通常の労働者と同様に短時間・有期雇用労働者にもその性質・目的が妥当するにもかかわらず、職務の内容等の相違に応じた均衡のとれた内容の賞与を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、賞与の性質・目的が妥当しない他の短時間・有期雇用労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該賞与の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである、というものです。厚生労働省の解説は、これを長澤運輸事件最高裁判決を踏まえて追記したもので、同判決は賞与に関して不合理と認められる相違を具体的に判示したものではないが、賞与の性質・目的について言及しており、その内容を留意すべき事項として記載したものだと説明しています。賞与の不支給が直接争われた大阪医科薬科大学事件と併せて読む必要があります。

3 退職手当
新設の「3 退職手当」は、賞与の(注)と同じ構造です。退職手当には労務の対価の後払い、功労報償等の様々な性質および目的が含まれうるところ、通常の労働者と同様に短時間・有期雇用労働者にもその性質・目的が妥当するにもかかわらず、職務の内容等の相違に応じた均衡のとれた内容の退職手当を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、退職手当の性質・目的が妥当しない他の短時間・有期雇用労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該退職手当の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである、とされました。厚生労働省の解説は、メトロコマース事件最高裁判決を踏まえたもので、同判決も退職手当に関して不合理と認められる相違を具体的に判示したものではないが、退職手当の性質・目的について言及しているため留意すべき事項として記載したと説明しています。Q&A(問1-9)は、この「当たりうる」という記載と、法が「待遇のそれぞれについて」判断することとの関係について、待遇の決定に係る労使交渉で十分な話合いがなされ、ある待遇が他の待遇を踏まえて決定された場合など、当該待遇の相違が不合理ではないと判断されることもあり得る、と答えています。「見合い」の事情は、待遇ごとの判断を否定するものではなく、その判断の中で考慮される事情だという整理です。

総論・賃金部分の実務上の含意

賞与と退職金を正社員限定にしている企業は、指針の(注)と「3 退職手当」の文言どおりに、3段階で点検することになります。第1に、自社の賞与・退職金の性質と目的(後払い、功労報償、生活費補助、労働意欲の向上、人材の確保・定着など)を1つずつ言葉にし、それが非正規にも妥当するかどうか。第2に、妥当するなら、職務の内容等の相違に応じた均衡のとれた支給をしているか。第3に、していないなら、その見合いとして基本給を高く設定している等の事情があり、それが労使交渉を経ているか。第3段階の「労使交渉を経て」は、非正規を含む労使の話合いの記録がなければ主張できません。就業規則を変更した事実だけでは足りないと考えるべきです。

定年後再雇用については、(注)2により、「定年後だから一律に減額」という設計そのものが点検対象になります。基本給、賞与、各手当のそれぞれについて、定年前と何が変わったのか(職務の内容、責任、配置の変更の範囲、労働時間)を書き出し、変わっていない待遇の減額理由を待遇ごとに説明できるかを確認します。

4 第3の各種手当(13項目)――新たに加わった無事故手当・家族手当・住宅手当を中心に

改正前の指針の「手当」は10項目でしたが、改正後の「4 各種手当(退職手当を除く。)」は13項目になりました。Q&A(問1-7)によれば、追加されたのは無事故手当、家族手当、住宅手当の3つで、いずれも最高裁判決を踏まえたものです。13項目の原則を一覧にすると次のとおりです。

号 手当 原則(要旨) 改正
(1) 役職手当(役職の内容に対して支給するもの) 同一の内容の役職に就く者には同一の役職手当。役職の内容に相違があれば相違に応じた支給。所定労働時間に比例した支給は問題とならない例 変更なし
(2) 特殊作業手当(業務の危険度・作業環境に応じるもの) 同一の危険度・作業環境の業務に従事する者には同一の支給 変更なし
(3) 特殊勤務手当(交替制勤務等の勤務形態に応じるもの) 同一の勤務形態で業務に従事する者には同一の支給。採用時に交替制勤務を明確にし基本給に負荷分を盛り込んでいる場合は問題とならない例 変更なし
(4) 精皆勤手当 業務の内容が同一の者には同一の支給。欠勤のマイナス査定との見合いの範囲で支給しないことは問題とならない例 変更なし
(5) 時間外労働に対して支給される手当 通常の労働者の所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った者には、その超えた時間につき同一の割増率等で支給 変更なし
(6) 深夜労働・休日労働に対して支給される手当 同一の深夜・休日労働を行った者には同一の割増率等で支給。それ以外の労働時間が短いことを理由に単価を低く設定するのは問題となる例 変更なし
(7) 無事故手当 業務の内容が同一の者には同一の無事故手当を支給 新設(ハマキョウレックス事件)
(8) 通勤手当・出張旅費 同一の支給。店舗採用者への上限設定、所定労働日数が少ない者(例えば週3日以下)への日額支給は問題とならない例 変更なし
(9) 家族手当 労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる者には同一の家族手当を支給。配偶者手当は働き方に中立的な制度への見直しが望まれる(注) 新設(日本郵便(大阪)事件)
(10) 住宅手当(転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの) 同一の転居を伴う配置の変更がある者には同一の住宅手当を支給。転居の有無にかかわらず支給される住宅手当も8条の対象(注) 新設(ハマキョウレックス事件等)
(11) 食事手当(労働時間の途中に食事のための休憩時間がある者への食費補助) 同一の支給。昼食のための休憩時間がない勤務(例えば午後2時から5時)の者に支給しないことは問題とならない例 変更なし
(12) 単身赴任手当 同一の支給要件を満たす者には同一の支給 変更なし
(13) 地域手当(特定の地域で働く者への補償) 同一の地域で働く者には同一の支給。地域採用で基本給に物価を盛り込んでいる場合は問題とならない例、全国一律の基本給で転勤もあるのに支給しない場合は問題となる例 変更なし

(7) 無事故手当
通常の労働者と業務の内容が同一の短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の無事故手当を支給しなければならないとされました。具体例はありません。厚生労働省の解説はハマキョウレックス事件最高裁判決を踏まえて追記したものと説明しています。同判決は、運送会社の契約社員に無事故手当を支給しないことについて、安全運転と事故防止の必要性は職務の内容が同一である以上変わらないとして、不合理と判断しています。

(9) 家族手当
労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給しなければならないとされました。問題とならない例は、労働契約の更新を繰り返していない等、相応に継続的な勤務が見込まれない有期雇用労働者に支給していない場合、問題となる例は、更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる有期雇用労働者に支給していない場合です。厚生労働省の解説は日本郵便(大阪)事件最高裁判決を踏まえたものと説明しています。「相応に継続的な勤務が見込まれる」の具体的な勤続年数について、Q&A(問1-10)は、具体的な期間の明示は困難であるとしつつ、有期雇用労働者については契約期間、更新回数、事業所内の他の有期雇用労働者の同様の条件等の諸事情を踏まえて判断されるとしています。家族手当の(注)は、配偶者の収入要件があるいわゆる「配偶者手当」について、特に女性の短時間労働者の就業調整の要因となっていると指摘されていることから、各事業主において労使の話合いによって働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる、としています。Q&A(問1-11)は、対応の例として配偶者手当の収入要件の撤廃等を挙げ、見直しに当たっては労働契約法9条・10条による制約に留意する必要があるとしています。

(10) 住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの
通常の労働者と同一の転居を伴う配置の変更がある短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の住宅手当を支給しなければならないとされました。問題とならない例は、転居を伴う配置の変更が見込まれる通常の労働者に支給し、見込まれない有期雇用労働者には支給しない場合です。問題となる例は、転居を伴う配置の変更が見込まれることを理由に通常の労働者に支給し、見込まれないことを理由に有期雇用労働者に支給していないが、実態として通常の労働者に対しても転居を伴う配置の変更を命じていない場合です。「転勤があるから」という説明が、規程上の建前ではなく実態を伴っているかどうかが問われます。さらに(注)は、転居を伴う配置の変更の有無にかかわらず支給される住宅手当についても、職務の内容等のうち待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないことに留意すべきであるとしています。転勤の有無と無関係な住宅手当を正社員にだけ支給している場合は、この(注)の対象になります。厚生労働省の解説は、ハマキョウレックス事件最高裁判決等を踏まえたものと説明しています。同判決は、正社員に転居を伴う配転が予定されていることを理由に、契約社員に住宅手当を支給しないことを不合理でないと判断しており、指針の(10)本文はその裏返しです。

改正のない10項目のうち、実務で見落とされやすいのは(1)役職手当の「所定労働時間に比例した役職手当」が問題とならない例とされている点です。Q&A(問1-8)は、改正で追加された待遇について「同一」の支給が求められる場合に、所定労働時間が短い短時間労働者にも全く同額を支給しなければならないのかという問いに対し、指針は原則を示したものであり、待遇の性質・目的が所定労働時間の長短にかかわらず妥当するか等から検討し、労使で議論することが望まれると答えています。家族手当や褒賞のように性質上時間に比例しない待遇と、役職手当のように比例的な設計が許容される待遇とを、性質・目的から区別することになります。

各種手当の実務上の含意

家族手当と住宅手当は、正社員限定の手当として最も多く残っている2つです。改正後は、家族手当については「相応に継続的な勤務が見込まれるか」、住宅手当については「転居を伴う配置の変更が実態としてあるか」が、支給の有無を分ける基準として指針に書かれました。契約を何度も更新しているパート・有期社員に家族手当を支給していない会社、転勤の実績がほとんどないのに転勤を理由に住宅手当を正社員に限っている会社は、10月1日以降、指針の「問題となる例」にそのまま当てはまります。

配偶者手当の見直しは義務ではありませんが、指針が「望まれる」と明記した以上、賃金制度を改定する機会に、収入要件の撤廃や子ども手当への組替えを検討する材料になります。正社員の配偶者手当を減額する場合は労働契約法10条の合理性が問われるため、代替措置と経過措置の設計が必要です。

5 第3の福利厚生とその他――病気休職の給与保障、夏季冬季休暇、褒賞、福利厚生施設の利用条件

「5 福利厚生」は7項目、「6 その他」は2項目です。福利厚生は、賃金と違って就業規則の適用範囲の書き方によって正社員限定になっていることが多く、改正の影響が大きい部分です。

(1) 福利厚生施設
通常の労働者と同一の事業所で働く短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の給食施設、休憩室および更衣室の利用を認めなければならないとする原則は改正前からあります。改正で加わったのは、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても8条の適用を受けるものであり、職務の内容等のうち待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない、という一文です。Q&A(問2-1)は、パートタイム・有期雇用労働法12条が給食施設、休憩室、更衣室の3施設について利用の機会を与えることを義務づけているのに対し、3施設以外の施設は8条の対象であり、指針はその利用条件に不合理な相違を設けてはならないことを明確化したものであること、雇用管理指針は3施設以外の施設(改正後の雇用管理指針は物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設、駐車場等を挙げています)について利用の便宜供与に配慮するよう求めていることを整理しています。

(2) 転勤者用社宅
通常の労働者と同一の支給要件(例えば、転勤の有無、扶養家族の有無、住宅の賃貸または収入の額)を満たす短時間・有期雇用労働者には、同一の転勤者用社宅の利用を認めなければならないとされています。改正はありません。

(3) 慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除および有給の保障
短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与、健康診断に伴う勤務免除、健康診断を勤務時間中に受診する場合の受診時間に係る給与の保障(指針はこれを「有給の保障」と定義しています)を行わなければならないとされています。問題とならない例として、通常の労働者と同様の出勤日が設定されている短時間労働者には同様に慶弔休暇を付与しているが、週2日勤務の短時間労働者には勤務日の振替での対応を基本としつつ振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している場合が挙げられています。

(4) 病気休職(療養への専念を目的として付与する病気休暇を含む)
短時間労働者(有期雇用労働者である場合を除く)には通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならず、有期雇用労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて病気休職の取得を認めなければなりません。労働契約の期間が1年の有期雇用労働者について病気休職の期間を契約期間が終了する日までとすることは、問題とならない例です。改正で加わったのは2点です。1つは、見出しに「療養への専念を目的として付与する病気休暇を含む」と明記されたことで、Q&A(問1-12)は、名称が病気休暇であっても一定期間の療養への専念を目的として付与するものは病気休職と性質・目的が同様である場合があるため含めたと説明しています。もう1つは、通常の労働者に病気休職期間に係る給与の保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の給与の保障を行わなければならないという文と、それに対応する問題となる例(相応に継続的な勤務が見込まれる有期雇用労働者に病気休職期間の給与の保障を行っていない)の追記です。厚生労働省の解説は、日本郵便(東京)事件最高裁判決が有給の病気休暇に関するものであることから、病気休職の項目に追記する形で記載したと説明しています。

(5) 夏季冬季休暇
新設です。短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならないとされ、問題となる例として、繁忙期に限定された短期間の勤務ではない有期雇用労働者に通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与していない場合が挙げられています。厚生労働省の解説は日本郵便(佐賀)事件最高裁判決を踏まえたものと説明しています。裏を返せば、繁忙期に限定された短期間の勤務である者には付与しないことが直ちに問題となるわけではない、という読み方ができます。

(6) 法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇であって、勤続期間に応じて取得を認めているもの
慶弔休暇、療養への専念を目的とする病気休暇、夏季冬季休暇を除く法定外の休暇のうち勤続期間に応じて取得を認めているものについて、通常の労働者と同一の勤続期間である短時間・有期雇用労働者には同一の休暇を付与しなければならず、有期労働契約を更新している場合には当初の契約の開始時から通算して勤続期間を評価することを要するとされています。長期勤続者を対象とするリフレッシュ休暇について、業務に従事した時間全体を通じた貢献に対する報償という趣旨で、通常の労働者に勤続10年で3日、20年で5日、30年で7日を付与し、短時間労働者には所定労働時間に比例した日数を付与している場合は、問題とならない例です。改正はありません。

(7) 褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するもの
新設です。通常の労働者と同一の期間勤続した短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の褒賞を付与しなければならないとされました。Q&A(問1-7)によれば、6つの追加待遇のうちこれだけは最高裁判決ではなく、メトロコマース事件の東京高裁判決(平成31年2月20日)を踏まえ、労働政策審議会の議論を経て記載されたものです。永年勤続表彰の記念品や金一封を正社員に限っている会社は、勤続期間が同じ非正規にも付与する設計に改めることになります。

6 その他
(1)は、現在の職務の遂行に必要な技能または知識を習得するために実施する教育訓練について、通常の労働者と職務の内容が同一である短時間・有期雇用労働者には同一の教育訓練を実施し、職務の内容に一定の相違がある場合にはその相違に応じた教育訓練を実施しなければならないとするもの、(2)は、通常の労働者と同一の業務環境に置かれている短時間・有期雇用労働者には同一の安全管理に関する措置および給付をしなければならないとするものです。いずれも改正はありません。

福利厚生・その他の実務上の含意

就業規則の休職規定と休暇規定の適用範囲を確認してください。多くの会社では、正社員就業規則に病気休職と有給の病気休暇、夏季冬季休暇、永年勤続表彰があり、パート・有期社員就業規則にはこれらがそもそも置かれていません。改正後の指針は、この「置かれていない」状態を、契約更新を繰り返している非正規について問題となる例として明示しました。有期雇用労働者の病気休職は契約期間の終了日までとする設計が認められている一方で、休職中の給与保障を正社員だけに行うことは、継続的な勤務が見込まれる有期雇用労働者との関係で問題になります。

福利厚生施設については、給食施設・休憩室・更衣室の利用機会(12条)だけでなく、社員食堂の料金や社内割引の率といった利用条件が8条の対象になることが明記されました。正社員価格と非正規価格を分けている制度は、性質と目的からその差を説明できるかを確認する必要があります。

6 第4「派遣労働者」、第5「協定対象派遣労働者」、新設の第6

第4の柱書は、派遣法30条の3第1項が、派遣元事業主に対し、派遣労働者の待遇のそれぞれについて、派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間で、職務の内容等のうち待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して不合理と認められる相違を設けてはならないと定めていること(改正でここにも、相違に応じた均衡のとれた待遇とすることが求められている旨が加わりました)、同条2項が、職務の内容と職務の内容・配置の変更の範囲が派遣先の通常の労働者と同一の派遣労働者について、正当な理由なく不利な待遇としてはならないと定めていること、30条の4第1項が、過半数労働組合等との労使協定により同項各号の事項を定めたときは協定の範囲に属する派遣労働者の待遇について30条の3を一部の待遇を除き適用しないこと、ただし協定で定めた事項を遵守していない場合や公正な評価に取り組んでいない場合はこの限りでないことを述べています。

第4の(注)1は第3の(注)1と同じ構造で、その他の事情の例示に続けて、派遣元事業主が派遣法31条の2第4項に基づき比較対象労働者(同法26条8項)と派遣労働者との間の待遇の相違の内容および理由について十分な説明を行わなかったと認められる場合や、派遣労働者の意向を十分に考慮せず一方的に待遇を決定した場合には、当該事実も30条の3第1項および30条の4第1項第4号におけるその他の事情に含まれ、不合理と認められることを基礎付ける事情として考慮されうると明記しました。(注)2は人材確保論に関するもので、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の待遇(協定対象派遣労働者については派遣法40条2項の教育訓練と同条3項の福利厚生施設に限る)の相違について、「派遣先に雇用される通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があることのみをもって直ちに不合理ではないと当然に認められるものではないとし、さらに、派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)と協定対象派遣労働者との間に待遇(賃金を除く)の相違がある場合も同様であるとしています。

第4の各論(1 基本給から6 その他まで)は第3と並行する構成で、主語が「派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の…派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の…を支給しなければならない」という形になっています。具体例には派遣先であるA社と派遣元事業主であるB社が登場し、例えば無事故手当、家族手当(労働者派遣契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる派遣労働者)、住宅手当、病気休職期間の給与の保障、夏季冬季休暇、褒賞(当該派遣先における派遣就業の継続)が第3と同じ内容で追加されています。派遣に固有の点として、福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)と教育訓練については派遣先が直接の義務を負うこと(派遣法40条2項・3項)を前提に、派遣元事業主についても30条の3に基づく義務を免れるものではなく、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても不合理と認められる相違を設けてはならないと明記されたことが挙げられます。また、病気休職の(注)は、短時間労働者である派遣労働者については派遣就業期間の終了後も派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならないこと、有期雇用労働者である派遣労働者についても労働契約が終了するまでの期間を踏まえて認めなければならないこと、給与の保障についても同様であることを述べています。

第5「協定対象派遣労働者」は、賃金については労使協定方式の規律を確認する内容です。派遣法30条の4第1項第2号イにより、協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法は、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものでなければならず、同号ロにより、職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものでなければならず、同項第3号により、派遣元事業主はこれらの事項を公正に評価して賃金を決定しなければなりません。福利厚生とその他については、比較対象が「派遣元事業主の雇用する通常の労働者」になる点を除き、第3・第4と同様に、福利厚生施設の利用条件、病気休職期間の給与の保障、夏季冬季休暇、褒賞の見直しが反映されています。

第6「所定労働時間が通常の労働者と同一であり、かつ、事業主と期間の定めのない労働契約を締結している労働者等」は、今回の改正で新設されました。いわゆる無期雇用フルタイム労働者は、パートタイム・有期雇用労働法2条3項の短時間・有期雇用労働者に該当せず、8条の適用はありません。第6は、それでも次の4点に留意する必要があるとします。第1に、労働契約法3条2項により、労働契約は、労働者および使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、または変更すべきものとされていること。第2に、その均衡の考慮に当たっては、この指針の趣旨が考慮されるべきであること。第3に、有期労働契約から無期労働契約への転換後の労働条件の決定に当たっては、転換に係る有期雇用労働者と通常の労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の有無をあらかじめ点検し、相違がある場合には確実に解消することが求められること。第4に、有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)5条により、使用者は、労働基準法15条1項に基づき労働基準法施行規則5条5項に規定する事項(無期転換後の労働条件)を明示する場合において、労働契約法3条2項の趣旨を踏まえて均衡を考慮した事項について当該労働者に説明するよう努めなければならないとされていること。そして第6は末尾で、均衡の考慮に当たって指針の趣旨が考慮されるべきこと等は、勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員(いずれも期間の定めのない労働契約を締結している労働者であって、通常の労働者と同等の待遇を受けるものをいうと定義されています)についても同様であるとしています。Q&A(問1-13)は、これらの労働者と他の通常の労働者との間の不合理な待遇の相違は8条違反にはならないが、労働契約法3条2項により指針の趣旨を考慮する必要があること、無期転換者については転換前に点検し、相違がある場合は転換前に解消することが求められることを確認しています。

第4・第5・第6の実務上の含意

派遣元事業主にとっては、(注)1により、派遣労働者からの求めに応じた待遇差の説明(31条の2第4項)を書面と記録で残すことが、不合理性判断の防御そのものになりました。労使協定方式を採る派遣元も、協定の遵守と公正な評価の実施を怠れば30条の3の適用除外を失うこと、福利厚生・教育訓練については協定方式でも派遣元・派遣先双方に義務が残ることを、改めて確認する必要があります。

第6は、無期転換社員を「正社員ではない無期社員」として有期時代の待遇のまま据え置いている会社に最も影響します。指針は、転換前に待遇差を点検し解消することを求めているので、転換後に「もう有期ではないから8条の対象外」という説明は、指針上は通らないことになります。無期転換の申込権が発生する契約更新時の労働条件明示(労働基準法施行規則5条5項)と併せて、均衡を考慮した事項を説明する努力が求められます。

7 当法人の視点

指針を第1から第6まで通して読むと、改正の重心が「どの待遇を追加したか」ではなく「待遇差をどう決め、どう説明したか」に置かれていることが分かります。追加された6つの待遇はいずれも既に最高裁または高裁が判断を示したものであり、判決を読んで対応していた企業にとって新しい結論はありません。これに対し、第2の(2)が「将来の役割期待が異なるため」という説明を退け、(注)1が説明義務違反と一方的な決定を「その他の事情」に含め、(注)3が「正社員の人材確保・定着」という目的だけでは足りないとし、第2の(3)が正社員の待遇引下げによる解消を望ましくないとした、この4つは、いずれも待遇差の結果ではなく決定の過程と説明の質を問うものです。

当法人の見解

当法人は、改正後の指針の下では、待遇差の実体が同じであっても、決定過程と説明の記録がある会社とない会社とで、行政指導と紛争における評価が分かれると考えます。(注)1は、説明の不十分さを不合理性を「基礎付ける事情」としています。これは説明が不十分なら直ちに不合理になるという意味ではありませんが、待遇差の理由を尋ねられて「役割期待が違う」「正社員の確保のため」としか答えられない会社は、実体の均衡を主張する前に、説明の不十分さという不利な事情を自ら作っていることになります。逆に、非正規を含む労使の話合いを経て、待遇ごとの性質と目的を文書にし、見合いの措置とその経緯を記録している会社は、賞与や退職金を正社員限定にしていても、指針の(注)と「3 退職手当」が示す「等の事情もない場合」に当たらないと主張する足場を持ちます。

この見解には、根拠が十分でない前提が1つあります。指針は告示であり、裁判所を拘束しません。大阪医科薬科大学事件とメトロコマース事件の最高裁判決は今も判例として存在し、指針の(注)3がそれを覆すことはできません。裁判所が改正後の指針をどの程度考慮するかは、今後の裁判例の蓄積を待つ必要があります。したがって当法人の見解は、まず行政指導(助言、指導、勧告)と、待遇差の説明義務をめぐる労使の交渉の場面について妥当するものであり、訴訟における結論を予測するものではありません。

最も強い反論は、追加された事項の多くが「留意すべき事項」であって「原則となる考え方」ではなく、指針自身も第2で両者を区別している以上、留意事項に反しただけで不合理と認められる訳ではない、というものです。Q&A(問1-1)もその区別を認めています。この反論は正当ですが、留意事項に反する状態、例えば説明が不十分で決定が一方的であるという事実は、(注)1により「その他の事情」として不合理性の判断に持ち込まれます。留意事項だから守らなくてよい、とは読めない構造になっています。

重大な失敗要因は3つあると考えます。第1に、正社員の手当を削って非正規に配分する原資の組替えを、労使協議の記録なしに就業規則の変更だけで実施することです。第2の(3)の「望ましくない対応」に該当し、労働契約法10条の合理性も問われます。第2に、賞与・退職金を正社員限定にしたまま、「見合い」の基本給設定も労使交渉の記録もない状態で10月1日を迎えることです。第3に、定年後再雇用の一律減額を、待遇ごとの理由を用意せずに続けることです。(注)2は、定年後であることを理由の1つとして認めつつ、待遇ごとに性質と目的を見ると明記しました。

簡易な検証方法として、当法人は次のことをお勧めしています。契約更新を3回以上繰り返しているパート・有期社員を1人想定し、その人から14条2項に基づく説明を求められたと仮定して、正社員との待遇差のある項目ごとに、理由を1文で書いた説明書を作ってみてください。「役割期待が異なる」「正社員の確保のため」以外の言葉で理由を書けない項目、あるいは書いた理由が実態(転勤の実績、責任の違い、労働時間)で裏付けられない項目が、改正後の指針で最初に問題になる待遇です。この作業は1日で終わりますし、そのまま10月1日以降の説明資料の下書きになります。

まとめ

2026年10月1日から適用される改正後の同一労働同一賃金ガイドラインは、第1で待遇ごとに性質と目的に照らして判断する枠組みを確認し、第2で労使コミュニケーションの重要性と正社員の待遇引下げによらない解消の原則を明記し、第3で「その他の事情」に説明義務違反と一方的決定を含め、人材確保論のみでは足りないとし、賞与の注と退職手当の項目を新設し、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、褒賞を加え、病気休職期間の給与保障と福利厚生施設の利用条件を明記し、第4・第5で派遣について同様の見直しを行い、第6で無期雇用フルタイム労働者、多様な正社員、無期転換者にも指針の趣旨を及ぼしました。連載の第1弾(カスタマーハラスメント関係Q&A)、第2弾(求職者等に対するセクシュアルハラスメント関係Q&A)と併せてご覧ください。

当法人は「経営者と共に歩き、最善の解を導き出す」ことを使命としています。待遇ごとの点検、説明資料の作成、労使協議の設計、就業規則と賃金規程の改定まで、改正後の指針の文言に耐えられる形に、経営者と一緒に整えてまいります。

「役割期待が違う」以外の言葉で、待遇差を説明できますか

賞与・退職金・各手当・休職休暇の待遇差点検、14条2項の説明資料の作成、非正規を含む労使協議の設計、就業規則・賃金規程の改定まで、
社会保険労務士法人T&M Nagoya がご相談をお受けします。

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【根拠法令・指針】

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)2条3項、8条(不合理な待遇の禁止)、9条(差別的取扱いの禁止)、12条(福利厚生施設)、14条2項(待遇の相違の内容および理由等の説明義務)、18条1項(報告の徴収並びに助言、指導および勧告)/労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)26条8項、30条の3(派遣先に雇用される通常の労働者との均等・均衡待遇)、30条の4(労使協定方式)、31条の2第4項(待遇の相違の内容および理由等の説明義務)、40条2項・3項(教育訓練、福利厚生施設)/労働契約法3条2項(均衡考慮の原則)、9条・10条(就業規則の変更による労働条件の不利益変更)/労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条5項/有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)5条/短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(平成30年厚生労働省告示第430号。令和8年厚生労働省告示第203号による改正後のもの。2026年10月1日適用)/事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第202号による改正後のもの)/労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則及び短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第87号)

【参考判例】(厚生労働省の新旧対照表の解説およびQ&Aに「踏まえた」と記載されたものと、本文で言及したもの)

ハマキョウレックス事件・最高裁判所第二小法廷平成30年6月1日判決(柱書の均衡待遇、無事故手当、住宅手当)/長澤運輸事件・最高裁判所第二小法廷平成30年6月1日判決(賞与の注)/大阪医科薬科大学事件・最高裁判所第三小法廷令和2年10月13日判決(賞与、人材確保の目的)/メトロコマース事件・最高裁判所第三小法廷令和2年10月13日判決(退職手当、人材確保の目的)/メトロコマース事件・東京高等裁判所平成31年2月20日判決(褒賞)/日本郵便(東京)事件・最高裁判所第一小法廷令和2年10月15日判決(病気休職期間の給与の保障)/日本郵便(大阪)事件・最高裁判所第一小法廷令和2年10月15日判決(家族手当)/日本郵便(佐賀)事件・最高裁判所第一小法廷令和2年10月15日判決(夏季冬季休暇)/名古屋自動車学校事件・最高裁判所第一小法廷令和5年7月20日判決(定年後継続雇用における待遇ごとの性質・目的の検討。当法人の解説として言及)

【出典・参考資料】

厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html(改正告示第203号の本文、令和8年改正の概要、リーフレット、モデル労働条件通知書、施行通達等を掲載)/厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)」https://www.mhlw.go.jp/content/001695906.pdf/厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン及び雇用管理指針のQ&A(令和8年改正)」https://www.mhlw.go.jp/content/001716915.pdf/厚生労働省「令和8年改正の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/001695902.pdf/労働政策審議会職業安定分科会・雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会「雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組の強化について(報告)」(令和7年12月25日)/当法人記事「【重要】同一労働同一賃金ガイドライン、令和8年10月1日から大幅改正」https://www.mh5.jp/announce_95449.html

【免責事項】

本記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言を構成するものではありません。各項目の「原則」は改正後の指針の要旨を当法人が整理したものであり、原文の引用ではありません。「実務上の含意」および「当法人の視点」は当法人の見解であり、行政の見解ではありません。指針は行政の定める告示であって裁判所を拘束するものではなく、個別の事案における待遇の相違の不合理性は、事実関係に即して別途判断されます。法令・指針・Q&Aは今後改正や追加が行われる可能性があります。具体的な事案については、弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

なお、紛争性のある事案の交渉代理および訴訟代理は、弁護士法72条により社会保険労務士の業務範囲外です(特定社会保険労務士による個別労働関係紛争のあっせん代理等の法定の例外を除きます)。当法人は、待遇差の点検、待遇ごとの性質・目的の整理と説明資料の作成、労使協議の設計と記録化、就業規則・賃金規程・派遣労使協定の改定を担い、労働者や労働組合から待遇差の是正を求める請求や団体交渉の申入れがあった場合など法的措置が必要な局面では、提携する弁護士と連携して対応いたします。

この記事を書いた人

三重 英則(HIDENORI MIE)

社会保険労務士法人T&M Nagoya 社員(特定社会保険労務士)

特定社会保険労務士/経営心理士/経営法曹会議賛助会員(SRP認証番号第160175号)

法律事務所で約7年間、使用者側・労働者側双方の労働紛争を経験。年間350件以上の相談に対応し、20年以上にわたる紛争解決の実績を持つ。IPO労務監査、M&A労務デューデリジェンス、団体交渉対応など高難度案件を専門とし、「経営者と共に歩き続ける」伴走型の支援を提供している。