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休職・復職在宅勤務合理的配慮
「在宅勤務なら働ける」診断書と復職可否|在宅勤務の位置づけと休職期間満了の実務
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📌 この記事の要点
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休職期間が満了する間際に「在宅勤務なら可能」という条件付の診断書が提出されることがあります。これが「復職可能な状態」と評価されるか否かで結論が分かれます。復職可能な状態でなければ休職期間満了による自然退職となり、復職可能な状態と評価されれば自然退職の効力は否定されます。さらに、復職を求めたのに会社が認めず復帰が遅れた場合に、その期間の賃金相当額を請求されることもあります。
裁判例は、休職事由の消滅について、原則として、従前の職務を通常程度に行える健康状態になること、または当初軽易作業に就かせればほどなく従前の職務を通常程度に行える健康状態になることを要するとしています。加えて、職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合には、その能力・経験・地位・企業規模・業種・配置異動の実情等に照らして、配置される現実的可能性がある他の業務について労務を提供でき、かつその申出をしているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解されます(片山組事件・最高裁第一小法廷平成10年4月9日判決の枠組み)。
本件(トヨテック事件・東京地裁令和7年8月6日判決)は、脳梗塞の後遺症や骨折による身体障害を抱えて休職していた従業員が、在宅勤務なら働ける状態にあったとして、復帰が約9か月後になったことから、その期間の賃金の支払い等を求めた事案です。休職期間中に身体障害者の認定がなされており、障害者に対する合理的配慮も絡む事案でした。
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本件会社の在宅勤務規程
事案の会社には在宅勤務規程があり、「自己管理・時間管理ができる者」「上司が認めた在宅勤務可能な業務が実施できる者」などの要件が定められ、誰もが自由に在宅勤務できる位置づけにはなっていませんでした。原告については過去の言動等から要件を満たさないと会社が判断し、裁判所も要件を満たしていないと認定しました。そのため、復職可能な状態といえるためには、出社勤務できる状態であることが必要とされました。 |
裁判所は、片山組事件の枠組みを確認したうえで、在宅勤務の要件を満たさない以上、出社を前提に休職事由が消滅したかを判断しました。提出された診断書からは、復帰を求めた時点で公共交通機関を使用しての出社は困難であったと認定しました。
原告は自動車通勤の許可を求めましたが、会社は、運転による過労や事故の危険を考慮し、安全配慮上の理由から自動車通勤を認めていませんでした。裁判所は、この禁止の理由は不合理とはいえず、原告が足に傷病を抱えていることから会社が事故の危険性をより慮るのも不合理ではないとし、加えて会社が通勤ラッシュを避けた時短勤務の許可等の配慮姿勢を示していたことから、会社の対応は不合理とはいえないと判断しました。以上から、復帰を求めた時点で出社は困難であったとして、休職事由は消滅していたとはいえないと結論づけました。
裁判所は、障害者に対する合理的配慮の必要性を踏まえても、原告が出社できる状態にあったといえなければ休職事由の消滅は認められないとしました。重要なのは、合理的配慮を「在宅勤務の要件を除外する」方向で捉えたのではなく、「出社を前提に、時差出勤の検討や通勤方法の相談など、どのような配慮ができるか」という観点で判断した点です。会社が歩み寄る姿勢を見せていたことが評価されています。
在宅勤務は、本来は労務提供の場所の問題であり、会社の業務命令権に属します。従業員から「この業務は在宅でもできる」と言われても、会社は業務命令権に基づきオフィスでの勤務を指示できます(命令権の濫用の問題は別途あります)。一度安易に在宅勤務を認めると、その後も継続的に求められる可能性が高いため、在宅勤務を例外と位置づけるのか通常業務とするのかを会社として決め、要件を明確にしたうえで厳格に運用することをお勧めします。
| 観点 | ポイント |
|---|---|
| 在宅勤務の位置づけ | 例外か通常業務かを会社が決定し、規程に明記する |
| 在宅勤務の要件 | 「自己管理ができる」等の要件を具体化し、厳格に運用する |
| 復職基準 | 原則は従前職務・出社を基準とし、職種限定の有無を確認する |
| 合理的配慮 | 在宅要件を外すのではなく、出社を前提とした配慮を検討・記録する |
在宅勤務の位置づけと要件を明確にし厳格に運用しておけば、要件を満たさない従業員について「在宅勤務しかできない状態は復職可能な状態ではない」と説明しやすくなります。同時に、障害者雇用の場面では、出社を前提に時差出勤・通勤方法の相談などの配慮を検討し、その検討過程を記録に残しておくことが、後の紛争防止につながります。
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休職・復職対応のチェックポイント
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根拠法令・参照判例
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。判例・法令の解釈や個別事案への適用は、事実関係により結論が変わり得ます。実際の対応にあたっては、弁護士・社会保険労務士等の専門家へご相談ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。
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執筆者
三重 英則(みえ ひでのり)
社会保険労務士法人T&M Nagoya/社員
特定社会保険労務士・経営心理士・経営法曹会議賛助会員 当法人の価値観:誠実・Think more・伴走
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