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本記事の信頼度:88% 目安額(全国加重平均55円・1,176円・4.9%)と決着(2026年7月28日・6回目の小委員会)は日本経済新聞・共同通信配信記事・日テレNEWS等の複数報道で裏取りしています。前年度(令和7年度)の目安(A63円・B63円・C64円)とランク構成(A6都府県・B28道府県・C13県)は厚生労働省の公表資料で確認済みです。一方、ランク別の内訳(A54円/B・C56円)は報道および社労士系メディアの記載に依拠しており、また厚生労働省サイトの目安小委員会ページは本記事執筆時点で第1回(6月26日)までしか開催情報が掲載されておらず、答申本文PDFも直接確認できていません。今後の見通しに関する部分は推測です。 名古屋市中区の社会保険労務士法人T&M Nagoyaです。注目されていた2026年度・最低賃金の目安審議が、ついに決着しました。 1. まず結論 ― 7月28日に「55円」で決着2026年(令和8年)7月28日、厚生労働省の中央最低賃金審議会(目安に関する小委員会)は、2026年度の地域別最低賃金額改定の目安を取りまとめました。同日、答申が労働基準局長に提出されています。要点は次のとおりです。【事実(報道ベース)】
当法人のブログでは、目安審議の本格化以降、第4回小委員会(骨太方針2026・日本成長戦略と審議の現在地)、第5回小委員会(決着持ち越し)と、この審議を追ってきました。本記事はその決着報告にあたります。 2. ランク別の目安 ― 「地方に厚く」の姿勢が明確に報道および社労士系メディアによれば、ランク別の目安額は次のとおりです。【事実(報道ベース)】
※ランク区分(A6都府県・B28道府県・C13県)は厚生労働省の公表資料に基づきます。【事実】 注目すべきは、Aランク(54円)よりB・Cランク(56円)の額が大きいという点です。【事実(報道ベース)】 これは、地域間格差の縮小を明確に意識した設計です。前年度(2025年度)の目安がA63円・B63円・C64円であったこと(厚生労働省公表資料で確認)と比べると、A・B間に2円の差が生じた点で、傾斜がやや強まっています。【事実】 【私見】愛知県はAランクに属します。名古屋を含む当地の事業所にとっては「全国平均より低い上げ幅」ということになりますが、これは金額水準がすでに高いことの裏返しであり、負担が軽いことを意味しません。現行の愛知県最低賃金1,140円に目安どおり54円を加えれば1,194円となる計算であり、この水準を前提にパート・アルバイトの時給表を組み直す作業が必要になります(実際の改定額は地方審議会の審議で確定します)。 3. なぜ「55円」だったのか ― 前年63円からの減速報道によれば、審議の背景には次の事情がありました。 ・物価高は続いているものの、物価高騰に苦しむ労働者の家計を重視しつつ、中小企業の経営にも一定の配慮をした着地となった。【事実(報道ベース)】 ・引上げ額は過去最大だった前年度の目安(63円)を下回った。【事実】 【推測】ただし、額として55円は決して小さくありません。引上げ率4.9%は依然として高水準であり、中小企業の人件費に与える影響は、前年に続いて相当に大きいものになると考えられます。 なお、政府は2026年7月21日に閣議決定した「骨太の方針2026」・「日本成長戦略」において、全国加重平均1,500円という目標の達成時期を「遅くとも2030年代前半」としています(当法人ブログの第4回小委員会解説記事参照)。【事実】仮に今回の1,176円から毎年同程度(55円前後)の引上げが続くとすれば、1,500円到達は2032年度前後という計算になります。【推測】この目標との整合性は、今後の審議でも繰り返し論点になると考えられます。 4. 決着までに6回を要した審議本年度の目安審議は、6月26日の第1回小委員会(厚生労働省サイトで確認)から始まり、報道によれば6回目の小委員会(7月28日)でようやく取りまとめに至りました。当法人が第4回(7月23日)・第5回(7月27日)を個別に取り上げてきたとおり、7月下旬の2回でも決着せず、月をまたがずぎりぎりの着地となった形です。【事実(第1回は厚労省サイト、決着は報道ベース)】 ※厚生労働省サイトの目安小委員会ページは、本記事執筆時点で第1回(6月26日)までしか開催情報が掲載されていません。第2回以降の正確な開催日は、同ページの更新をご確認ください。なお、決着日については大半の報道が「28日」とする一方、一部報道に「27日」とするものがあり、27日開始の審議が28日に決着した可能性があります。本記事では多数の報道に従い7月28日としています。 【私見】前年度(令和7年度)は第7回までもつれた経緯があり、近年の目安審議は長期化が常態化しています。労使の隔たりの大きさが表れており、当法人の第5回小委員会解説記事で触れた労使双方の主張の開きを踏まえると、最終的に55円で着地したことは、労使双方の主張の間を取りつつ中小企業への配慮をにじませた公益委員判断と評価できるでしょう。ただし、公益委員見解の詳細な理由づけは、答申本文を確認する必要があります。 5. これからのスケジュール ― 本番は「地方最低賃金審議会」社労士の実務にとって、目安の決定は通過点にすぎません。ここから先が本番です。 5-1. 標準的な流れ
5-2. 注意すべき点・目安は「めやす」であって拘束力はありません。 地方審議会が目安を上回る額を答申することも、下回る額を答申することもあり得ます。【事実】実際、2025年度は多数の道府県が目安を上回る改定を行い、最終的な全国加重平均は目安ベースの水準を上振れしました。【事実(報道等ベース)】 ・発効日は都道府県ごとに異なります。【事実】特に2025年度は、大幅引上げと引き換えに発効を遅らせる県が相次ぎ、発効日が10月上旬から翌年3月末まで大きく分散しました。【事実(報道等ベース)】複数県に事業所を持つ顧問先では、県ごとに発効日を管理する必要があります。 ・発効日の統一やランク制度の在り方については、「目安制度の在り方に関する全員協議会」で議論が続いています。【事実】 【推測】今年度も、地域別最低賃金額の答申は8月中に各県で順次出そろい、発効は10月以降となる可能性が高いと考えられます。前年度の例を踏まえると、県によっては発効が年明け以降まで遅れることも想定しておくべきです。確定情報は各都道府県労働局の公表を待つ必要があります。 6. 社労士が顧問先と今すぐ着手すべき5つの実務(1)影響額のシミュレーションを先に回す目安が出た今の段階で、「現行時給+56円(愛知等Aランクは+54円)」で人件費がいくら増えるかを試算しておきます。地方審議会の答申を待ってからでは、発効までの準備期間が足りません。近年は目安を上回る改定も多いため、目安額に数円の上乗せを織り込んだ試算も有用です。【私見】 (2)最低賃金「未満」だけでなく「近傍」の従業員を洗い出す現在の時給が最低賃金+50円程度の層は、今回の改定で最低賃金を下回る可能性があります。時給表の上から下まで、賃金カーブ全体の見直しが必要になるケースが少なくありません。【私見】 (3)月給者の「時間額換算」チェックを忘れない最低賃金は時間額で定められており、月給制の労働者も時間額に換算して比較します。所定労働時間が長い(例:月173時間)事業所では、月給者が最低賃金割れするリスクがあります。比較から除外される賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当、臨時に支払われる賃金、賞与、時間外・休日・深夜の割増賃金)を正しく控除して計算してください。【事実】 (4)就業規則・賃金規程の改定要否を判断する賃金額を規程に直接書き込んでいる場合は改定が必要です。【私見】将来の改定に備え、具体的な時給額は規程本体ではなく賃金表(別表)に置く設計に変えておくことをおすすめします。 (5)業務改善助成金の活用を検討する事業場内最低賃金の引上げと設備投資等を行う中小企業向けに、業務改善助成金が用意されています。【事実】要件・支給額は年度により変わるため、最新の公表内容を必ず確認してください。なお、令和8年度の要件・上限額は本記事執筆時点で確認できていません。 7. 現時点で確認できていないこと正確を期すため、明記します。 ・厚生労働省の答申本文(公益委員見解)PDF:本記事執筆時点で直接確認できていません。ランク別の内訳(A54円/B・C56円)は報道および社労士系メディアの記載に基づいています。厚生労働省の公表資料で最終確認してください。 ・小委員会の開催経過:厚生労働省サイトの掲載は執筆時点で第1回(6月26日)まで。第2回以降の正確な開催日と「6回目」であることの一次確認は、同サイトの更新を待つ必要があります(決着が6回目の小委員会である旨は報道で確認)。 ・改定後の全国加重平均額1,176円の算定根拠の詳細:報道の数値をそのまま記載しています。 ・各都道府県の答申日・発効日:現時点では未定・不明です。 まとめ
最低賃金の改定は、毎年必ず来る「予定された変化」です。予定されているからこそ、前倒しで動いた事業所とそうでない事業所の差が出ます。 顧問先への情報提供は、地方答申を待つ必要はありません。今週のうちに一報を入れておきたいところです。
■ 関連サービス ・給与計算代行(改定後の時給・時間額換算の反映) ・給与監査顧問(最低賃金割れ・除外賃金の点検) ・就業規則作成・改訂(賃金規程・賃金表の設計見直し)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。最終的な地域別最低賃金額は、各都道府県労働局の公示によって確定します。
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