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作成日:2026/07/11
令和8年8月1日から育児休業等給付の申請手続きが見直されます

育児休業等給付 申請手続き見直し 令和8年8月1日

令和8年8月1日から
育児休業等給付の申請手続きが見直されます

― 出生時育休・出生後休業支援・育児時短就業給付、実務担当者が押さえる3つの変更点 ―

2026年7月(令和8年7月)|社会保険労務士法人T&M Nagoya

📌 この記事の要点

● 令和8年8月1日から、育児休業等給付の申請手続き(事務取扱い)が見直されます。雇用保険法そのものの改正ではなく、申請をより行いやすくするための取扱変更です。

● 変更は大きく3点。@出生時育児休業給付金で申告する賃金の考え方、A出生後休業支援給付金の配偶者確認書類、B育児時短就業給付の支給要件の確認方法です。

● いずれも会社(申請代行を行う事業主)側の事務を簡素化・早期化する方向の見直しです。育休給付を数多く扱う企業ほど、様式・記入方法の切替えを事前に確認しておく必要があります。

● 特に育児時短就業給付の証明書(様式例)は令和8年8月1日以降版が公表されており、提出時期をまたぐケースでどちらの様式を使うかの確認が実務上のポイントになります。

育児休業に関する給付は、令和4年10月の産後パパ育休(出生時育児休業)、令和7年4月の出生後休業支援給付・育児時短就業給付の創設と、この数年で種類が増え、申請手続きも複雑になってきました。そうした中で厚生労働省は、申請手続きを行いやすくするため、令和8年8月1日から事務取扱いを見直すことを公表しています。本稿では、実務を担う人事・労務担当の視点から、変更点と対応のポイントを整理します。

1. 出生時育児休業給付金 ― 申告する賃金の考え方が変わります

1点目は、出生時育児休業給付金(産後パパ育休の給付金)を申請する際に申告する賃金についてです。申請の早期化を図るため、申告対象となる賃金の捉え方が次のとおり見直されます。

従来(令和8年7月31日まで) 見直し後(令和8年8月1日から)
出生時育児休業期間を対象として支払われた賃金を申請時に申告 出生時育児休業期間中に支払日のある賃金を申請時に申告

対象となるのは、出生時育児休業期間(育児休業期間を含みます)を対象とした賃金です。また、出生時育児休業を分割して取得する場合は、その間の就労期間に支払日のある賃金が含まれます。「支払われた賃金」から「支払日のある賃金」へと基準が切り替わることで、賃金額の確定を待たずに申請できる場面が広がり、申請の早期化につながります。

▶ 実務のポイント

給与の締め・支払サイクルによっては、これまで「賃金額が確定してから申請」としていた運用を「支払日基準」に組み替えられます。給与計算部門と申請担当が申告賃金の集計ルールを共有し、社内の申請フローを見直しておくとスムーズです。

2. 出生後休業支援給付金 ― 配偶者の確認書類が広がります

2点目は、出生後休業支援給付金における配偶者の確認書類です。母親が申請する場合の配偶者確認書類について、父親が申請する場合と同様に、母子健康手帳の写し(出生済証明のページで、配偶者の氏名・生年月日が記載されたものに限る)を提出できるようになります。

従来は申請者の立場によって求められる確認書類の運用に差がありましたが、この見直しにより、母親・父親いずれの申請でも母子健康手帳の写しで配偶者を確認できる場面が広がります。用意する書類の負担軽減につながる変更です。

▶ 留意点

母子健康手帳の写しでは配偶者を確認できない場合には、世帯全員について記載された住民票等の確認書類の提出を求められることがあります。従業員に案内する際は、母子健康手帳の写しで足りるケースと、追加書類が必要になり得るケースの両方を伝えておくと、後日の差戻しを防げます。

3. 育児時短就業給付 ― 支給要件の確認方法が簡素化されます

3点目は、令和7年4月に創設された育児時短就業給付です。支給要件の確認について、次のとおり複数の簡素化が行われます。

(1) 育児休業給付を受給済みなら母子健康手帳の写し等は再提出不要

同一の子について既に育児休業給付を受給している場合は、育児時短就業給付の申請にあたり、改めて母子健康手帳の写し等を提出する必要はありません。同じ子について重複して確認書類を求めない取扱いです。

(2) 賃金証明書の一部欄の記載省略

育児休業給付に係る育児休業の終了後、同一の子について初回の育児時短就業を開始した場合であって、育児休業を開始した後、育児時短就業を開始するまでの間に賃金の支払いがないことを賃金証明書および添付書類で確認できるときは、賃金証明書のA欄・B欄およびC欄(育児休業開始前の賃金支払状況)の記載を省略することができます。

(3) 週所定労働時間の計算方法の一部見直し

フレックスタイム制・変形労働時間制・シフト制の適用を受ける被保険者について、週所定労働時間の計算方法が一部見直されます。制度ごとの計算方法は次のとおりです。

労働時間制度 週所定労働時間の計算方法
フレックスタイム制 清算期間における総労働時間の算出基礎となった1日の労働時間 × 週所定勤務日数
変形労働時間制 対象期間における1週間の平均労働時間
シフト制 該当期間の労働時間を週数(暦日数÷7日)で除して計算。
(短縮前)育児時短就業を開始した日前の3か月間における実際の労働時間
(短縮後)支給対象月に支払われた賃金の算定対象期間における実際の労働時間
※賃金が月末締め・翌月支払いの場合は、支給対象月における実際の労働時間

※フレックスタイム制・変形労働時間制の場合は、週所定労働時間の確認書類で上記の内容が確認できる場合に限ります。

(4) 証明書様式の改訂と照合省略

育児時短就業期間等に係る証明書(様式例)が改訂され、育児時短就業開始日および週所定労働時間の確認書類として提出できるようになります。あわせて、時短前後の週所定労働時間の確認書類について、賃金台帳等と同様に、照合省略対象事業主等については関係書類との照合を省略できるようになります。

✓ 令和8年8月1日に向けた社内チェックリスト

出生時育休給付金の申告賃金を「支払日基準」に切り替える社内フローの確認(給与計算部門との連携)
出生後休業支援給付金の配偶者確認書類として母子健康手帳の写しを案内する運用への更新
育児時短就業期間等に係る証明書について、令和8年8月1日以降版の様式を入手・差替え
フレックス・変形・シフト制の対象者について、週所定労働時間の算定根拠となる確認書類の整備
提出時期が施行日をまたぐ申請について、どちらの様式・取扱いによるか管轄ハローワークへ事前確認

4. 企業に求められる対応 ― 給付実務と社内制度の整合

今回の見直しは、いずれも申請事務を行いやすくする方向のものであり、対応を誤って不利益が生じる性質のものではありません。もっとも、育休・時短の給付を数多く扱う企業では、様式や記入方法の切替え時期に申請が集中しやすく、社内の運用ルールを事前に整えておくことがトラブル防止につながります。

また、給付実務の見直しは、育児・介護休業規程や社内の申請フローとも密接に関わります。給付の取扱いが変わるタイミングは、育児休業規程の記載や従業員への周知文書を点検する好機でもあります。制度周知の不足は、後日の「会社の説明が不十分だった」といった申立てを招きかねないため、規程と実務の整合をあわせて確認することをお勧めします。当法人でも、就業規則・育児介護休業規程の作成・改訂や、労務手続の代行・監査を通じて、給付実務と社内制度の両面からご支援しています。

🔎 本記事の情報の確からしさについて

本記事は、厚生労働省リーフレット「令和8年8月1日から育児休業等給付の申請手続きを見直します」(LL080708保01)および厚生労働省「育児休業等給付について」の公表情報に基づき作成しています。本件は雇用保険法そのものの改正ではなく、申請事務の取扱い見直しである点にご留意ください。個別の申請における様式の選択や添付書類の要否は、施行時期や事案により取扱いが異なる場合があります。実際の申請にあたっては、最新の様式・案内および管轄のハローワーク・育児休業等給付コールセンター(0570-200-406/平日8:30〜17:15)にてご確認ください。

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根拠資料・免責事項

【根拠資料】厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「令和8年8月1日から育児休業等給付の申請手続きを見直します」(LL080708保01)/厚生労働省「育児休業等給付について」(雇用保険法・同施行規則に基づく育児休業給付、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付、育児時短就業給付の取扱い)。

【免責事項】本記事は令和8年7月時点で公表されている情報に基づく一般的な解説であり、特定の事案に対する助言ではありません。実際の申請手続き・様式の適用は、施行時期・事案の内容により異なる場合があります。個別のご判断にあたっては、管轄のハローワークまたは専門家にご確認ください。本記事の内容に基づく判断・行動により生じた結果について、当法人は責任を負いかねます。

執筆者

三重 英則(社会保険労務士法人T&M Nagoya 社員)

特定社会保険労務士・経営心理士・経営法曹会議賛助会員(SRP認証番号 第160175号)