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📌 この記事の要点 ● 国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は477万5000円(前年比3.9%増)で過去最高・4年連続の増加。男性586万7000円、女性333万2000円と大きな男女差があります。 ● 年収600万円を超える給与所得者は全体の24.9%。男性36.2%に対し女性は9.7%にとどまります。 ● 企業規模による差も大きく、資本金2000万円未満の株式会社の平均403万円に対し、資本金10億円以上では673万円と約270万円の開きがあります。 ● 中小企業経営者にとってこの統計は、自社の賃金水準の「立ち位置」を採用市場・同業種と比較する物差しです。2026年4月からは従業員101人以上の企業に男女間賃金差異等の公表義務も拡大されており、賃金データの点検は待ったなしの経営課題となっています。 |
国税庁が毎年公表している「民間給与実態統計調査」は、統計法に基づく基幹統計であり、民間事業所の給与実態を給与階級別・業種別・企業規模別・男女別などの切り口で示す、日本の賃金を語るうえで最も基本的なデータの一つです。2025年9月に公表された令和6年分の結果は、賃上げの潮流を裏付ける一方、男女間・業種間・企業規模間の大きな格差も浮き彫りにしました。本稿では調査結果の要点を整理したうえで、中小企業の経営者・人事担当者がこのデータをどう自社の賃金戦略に活かすべきかを解説します。
令和6年(2024年)の1年を通じて勤務した給与所得者5137万人の平均給与は477万5000円(報告書上の表記は478万円)で、前年から18万円・3.9%の増加となりました。平均給与の増加は4年連続で過去最高を更新し、3.9%という伸び率は平成3年分調査(5.0%増)以来の大きさです。内訳は平均給料・手当が403万円(同3.8%増)、平均賞与が75万円(同4.5%増)でした。
| 区分 | 平均給与 | 対前年伸び率 |
|---|---|---|
| 全体 | 477万5000円 | +3.9% |
| 男性 | 586万7000円 | +3.2% |
| 女性 | 333万2000円 | +5.5% |
| 正社員(正職員) | 545万円 | +2.8% |
| 正社員(正職員)以外 | 206万円 | +2.2% |
給与階級別分布(報告書第16表)から年間給与額600万円超の構成割合を合算すると、全体では24.9%。男女別では男性36.2%に対し、女性はわずか9.7%にとどまります。「年収600万円」というラインは、給与所得者全体でみれば約4人に1人、女性に限れば約10人に1人しか到達していない水準です。
| 区分 | 年収600万円超の割合 | 最も人数が多い給与階級 |
|---|---|---|
| 全体 | 24.9% | 300万円超400万円以下(16.1%) |
| 男性 | 36.2% | 400万円超500万円以下(16.9%) |
| 女性 | 9.7% | 200万円超300万円以下(19.0%) |
※600万円超の割合は、報告書第16表(給与階級別給与所得者数・構成割合)の「600万円超700万円以下」から「2,500万円超」までの構成比を当法人で合算した値です。
年齢階層別にみると、男性は60歳未満までは年齢が上がるにつれて平均給与も上昇し、55〜59歳の735万円がピークとなります。一方、女性は年齢による差があまり顕著ではなく、25歳から59歳までの各年齢階層の平均給与はいずれも300万円台にとどまり、ほぼ横ばいで推移します(報告書第14図)。25〜29歳時点では男女差は比較的小さいものの、30歳代以降、加齢とともに格差が拡大していく構造です。
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背景として指摘される要因 女性の給与カーブが横ばいとなる背景には、出産・育児等のライフイベントによるキャリアの中断、時短勤務や非正規雇用への移行、管理職登用の男女差などが一般に指摘されています。実際、本調査でも正社員(正職員)の女性の平均給与は430万円と、女性全体(333万2000円)を大きく上回っており、雇用形態の構成差が男女差の一因であることがうかがえます。 |
業種別(全14業種)の平均給与は、最上位の「電気・ガス・熱供給・水道業」832万4000円と最下位の「宿泊業,飲食サービス業」279万3000円との間に553万1000円もの差があります。
| 順位 | 業種 | 平均給与 |
|---|---|---|
| 1位 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 832万4000円 |
| 2位 | 金融業,保険業 | 702万3000円 |
| 3位 | 情報通信業 | 659万5000円 |
| 12位 | サービス業 | 389万1000円 |
| 13位 | 農林水産・鉱業 | 347万9000円 |
| 14位 | 宿泊業,飲食サービス業 | 279万3000円 |
企業規模(資本金階級)別にみると、資本金2000万円未満の株式会社の平均給与403万円に対し、資本金10億円以上の株式会社は673万円と、約270万円の開きがあります。個人の事業所は266万円で、大企業との差は400万円超に及びます。
| 企業規模 | 全体 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 資本金2000万円未満の株式会社 | 403万円 | 488万円 | 277万円 |
| 資本金10億円以上の株式会社 | 673万円 | 789万円 | 426万円 |
| 個人の事業所 | 266万円 | 305万円 | 248万円 |
この統計は「日本の平均」を眺めるためのものではなく、自社の賃金水準を客観的に位置づけるための物差しとして使ってこそ価値があります。当法人が推奨する活用の視点は次のとおりです。
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✅ 賃金データ活用チェックポイント 1. 同業種・同規模の水準と自社を比較する──全国平均477万5000円との比較には意味が薄く、自社が属する業種・企業規模の水準と、自社の等級別・年齢層別の実支給額を突き合わせることが出発点です。 2. 採用市場での「見え方」を点検する──賃上げ局面では、既存社員の昇給より先に初任給・中途採用オファー額の相場が動きます。統計上の伸び率(全体+3.9%)を下回る据え置きは、実質的な採用競争力の低下を意味します。 3. 自社の男女間賃金差異を把握する──2025年6月公布の改正女性活躍推進法により、2026年4月1日から常時雇用労働者101人以上の企業に「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化されました(100人以下は努力義務)。全国統計で男女差が可視化されるほど、自社の数値も採用候補者から比較されます。 4. 賃金体系の歪みを監査する──最低賃金の上昇や中途採用者の高額オファーにより、勤続者との逆転現象(賃金カーブの圧縮)が生じていないか、諸手当・固定残業代の設計が法的に有効かを定期的に点検することが、紛争予防と定着の両面で有効です。 |
令和6年分の調査は、平均給与の過去最高更新という明るい見出しの裏で、年収600万円超が全体の4分の1にとどまる分布の実態、女性・中小企業・特定業種に集中する構造的な格差を示しています。中小企業の経営者にとって重要なのは、平均値に一喜一憂することではなく、自社の賃金分布がこの全国データのどこに位置し、採用したい人材層の期待水準とどれだけ乖離しているかを把握することです。賃金は最大の労務コストであると同時に、最大の採用・定着投資でもあります。統計の公表を機に、一度自社の賃金体系を棚卸ししてみてはいかがでしょうか。
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自社の賃金水準・賃金体系の点検は当法人にご相談ください 当法人では、給与監査顧問や就業規則作成・改訂を通じて、統計データを踏まえた賃金体系の点検・手当設計の適法性確認・男女間賃金差異の把握を支援しています。 お問い合わせはこちら |
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根拠法令・主な出典 ・国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査−調査結果報告−」(令和7年9月公表) ・国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査結果について」(報道発表資料・令和7年9月) ・女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)/2025年6月11日公布の改正法(2026年4月1日施行:常時雇用101人以上の企業への男女間賃金差異・女性管理職比率の公表義務拡大) ・参考記事:安達さやか(LIMO&ファイナンス編集部)「【2026年最新】年収600万円超の割合は?国税庁データで見る日本の平均給与477万5000円」(2026年7月5日配信) |
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【免責事項】本記事は、公開時点の公表統計・法令に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。統計値は標本調査に基づく推計値であり、他の賃金統計(賃金構造基本統計調査等)とは調査対象・集計方法が異なるため数値は一致しません。実際の対応にあたっては、最新の情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。 |
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