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作成日:2026/06/22
年次有給休暇取得率「66.9%」で過去最高、年間休日112.4日も過去最多

労務トピックス 2026.06.㉒《環境依存文字》

年次有給休暇取得率「66.9%」で過去最高、年間休日112.4日も過去最多

令和7年「就労条件総合調査」(2025年12月19日公表)が示す“休みやすさ”の前進と、政府目標70%・社労士の実務対応

📌 この記事のポイント

● 令和7年調査で年休取得率は66.9%、昭和59年以降で過去最高(10年連続の上昇)。
● 年間休日総数も1企業平均112.4日で過去最多。「休みやすさ」が軒並み改善。
● 政府目標「2028年までに70%」まで残り約3.1ポイント。達成は射程内。
● ただし平均値には産業間格差(最高75.2%〜最低50.7%)あり。自社の実数把握が重要。

「日本は有給休暇が取りにくい」――長くそう言われてきました。しかし、その実態は着実に変わりつつあります。厚生労働省が2025年(令和7年)12月19日に公表した「令和7年就労条件総合調査」によれば、年次有給休暇の取得率は66.9%と、昭和59年以降で過去最高を更新しました。年間休日総数も過去最多となり、「休みやすさ」をめぐる指標が軒並み改善しています。

本記事では、この調査結果の要点を整理し、政府目標との距離、そして社労士が顧問先に提案すべき実務対応を解説します。

1. 令和7年就労条件総合調査の要点

1-1. 調査の概要

就労条件総合調査は、企業の労働時間制度・賃金制度・休暇制度などの実態を毎年把握するために厚生労働省が実施している基幹的な統計調査です。今回の令和7年調査は、全国の常用労働者30人以上の民営企業(約6,450社)を対象とし、令和7年1月1日時点(年間については令和6年ないし令和5会計年度)の状況について、2025年12月19日に結果が公表されました。

1-2. 年次有給休暇(令和6年実績)の主要数値

項目 令和7年調査(令和6年実績) 前年調査
労働者1人平均付与日数 18.1日 16.9日
労働者1人平均取得日数 12.1日(過去最多) 11.0日
取得率 66.9%(過去最高) 65.3%

取得率は前年の65.3%を1.6ポイント上回り、昭和59年以降で過去最高を記録しました。年休の取得率は10年連続して上昇を続けています。

1-3. 年間休日総数も過去最多

● 1企業平均の年間休日総数:112.4日(前年112.1日)

● 労働者1人平均の年間休日総数:116.6日(前年116.4日)

いずれも昭和60年以降で過去最多となりました。

2. なぜ取得率は上がり続けているのか

取得率の継続的な上昇には、複数の要因が重なっていると考えられます(以下は当法人による分析・見解を含みます)。

2-1. 「年5日取得義務」の定着

2019年4月施行の働き方改革関連法により、年10日以上の年休が付与される労働者について、年5日の確実な取得が使用者に義務付けられました。この義務化が、企業に取得促進の仕組み(計画的付与、取得状況の管理、上司からの取得勧奨など)を導入させる強い契機となったことは、取得率上昇の構造的な背景として説明できます。

2-2. 人手不足下での「定着策」としての休暇整備

慢性的な人手不足のなか、休暇の取りやすさは採用力・定着率に直結します。休みやすい職場づくりが、人材確保のための経営戦略として位置づけられるようになったことも、取得率上昇を後押ししていると考えられます。

2-3. 付与日数自体の増加

今回の調査では付与日数も16.9日→18.1日と増えています。勤続年数の長い層の比率変化や、法定を上回る年休付与を行う企業の存在などが影響している可能性が想定されますが、正確な要因分析には産業別・規模別の詳細データの精査が必要です。

3. 政府目標「70%」まであと一歩 ― しかし“格差”は残る

3-1. 政府目標との距離

政府は、過労死等防止対策大綱において、年次有給休暇取得率について「2028年(令和10年)までに70%以上」という目標を掲げています。今回の66.9%は、この目標まで残り約3.1ポイントに迫る水準であり、達成は射程内に入りつつあるといえます。

3-2. 平均値の裏にある“ばらつき”に注意

66.9%という数字は全体の平均値です。今回の概況でも、取得率には産業間の差が表れています。取得率が最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の75.2%、最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の50.7%と、産業によって24ポイント以上の開きがあります。

一般に、年休取得率には企業規模間・産業間の格差が存在するといわれます。大企業に比べ中小企業で取得率が低い傾向、業種によって取得しやすさに差がある傾向は、従来の各種調査でも指摘されてきました。自社・顧問先の取得率を「平均値」と安易に比較せず、自社の実数で把握することが重要です。

4. 社労士が顧問先に提案すべき実務対応

「世の中の取得率が上がっている」ことは、裏を返せば「自社が低いままだと、採用・定着の競争で見劣りする」ことを意味します。次の実務対応が考えられます。

✓ 取得促進のためのチェックポイント

@ 年5日取得義務の確実な履行:年10日以上付与される全労働者について、基準日から1年以内に5日を確実に取得させているか。未取得者には使用者による時季指定を忘れず行う。違反は労基法違反として是正勧告・罰則の対象となり得ます。
A 計画的付与制度の導入:労使協定により、年休のうち5日を超える部分を計画的に割り振り、取得義務の履行と業務の平準化を同時に実現。一斉付与・交替制付与・個人別付与から自社の業態に合った方式を選択。
B 時間単位年休の活用:労使協定により年5日の範囲内で時間単位取得を認め、通院・育児・介護など「半日や数時間だけ」のニーズに対応し取得のハードルを下げる。
C 取得状況の「見える化」と管理:年休管理簿の整備は法的義務。加えて部署別・個人別の取得状況を可視化し、取得の少ない部署・管理職へ働きかける。
D 採用・定着メッセージへの転換:実績が向上したら求人票・採用ページで積極的に発信し、人材確保に活かす。

5. まとめ ― 「休みやすさ」は経営指標になった

令和7年就労条件総合調査が示したのは、年休取得率66.9%・年間休日112.4日というダブルの過去最高(最多)という、日本の働き方の着実な前進です。政府目標70%も視野に入りつつあります。

一方で、この“追い風”は、対応が遅れた企業にとっては“逆風”にもなります。世の中全体が休みやすくなるほど、自社の遅れが採用・定着の現場で際立つからです。

年休取得は単なる法令遵守のコストではなく、人材を惹きつけ、つなぎとめるための経営投資です。法定義務の確実な履行を土台に、計画的付与・時間単位年休・取得の見える化といった具体策を組み合わせ、「休みやすい職場」を経営の競争力へと転換していく――その伴走こそ、これからの社労士に求められる役割と考えます。

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出典・参考資料

・厚生労働省「令和7年 就労条件総合調査 結果の概況」(2025年12月19日公表)
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/index.html
・厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況(PDF)」
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/gaikyou.pdf
・社会保険労務士PSRネットワーク「令和6年の年休の取得率66.9% 過去最高を更新」
 https://www.psrn.jp/topics/detail.php?id=39252

◆ 根拠法令

労働基準法第39条(年次有給休暇/第7項:使用者による時季指定義務/第9項:年休管理簿)、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(2019年4月施行)

◆ 免責事項

本記事は2026年6月19日時点で確認できた公開情報に基づき作成しています。統計値の詳細・最新値は厚生労働省の公式資料をご確認ください。個別企業への適用は各社の実情に応じた検討が必要です。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、特定の事案に対する助言ではありません。

執筆者

三重 英則 (社員/特定社会保険労務士)

経営心理士/経営法曹会議賛助会員/SRP認証番号 第160175号
社会保険労務士法人T&M Nagoya(名古屋市)