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作成日:2026/04/13
一般健康診断の検査項目が変わります 【令和9年4月1日施行】
法改正 労働安全衛生
一般健康診断の検査項目が変わります
【令和9年4月1日施行】
血清クレアチニン検査の追加・喀痰検査の廃止・肝機能検査の名称変更
──事業者が今から準備すべきことを解説
厚生労働省は、労働安全衛生規則を改正し、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目を見直すことを決定しました。改正省令案について労働政策審議会から「妥当」との答申を得ており、改正安衛則・告示は令和9年(2027年)4月1日に施行・適用される予定です。

今回の改正は、腎機能低下の早期発見のための新規検査項目の追加や、実態に即した検査項目の見直しなど、約20年ぶりの実質的な健診項目の改正です。すべての事業者に影響がありますので、早めの準備が必要です。
📌 改正の3つのポイント
血清クレアチニン検査を追加(腎機能低下の早期発見が目的)
喀痰(かくたん)検査を廃止(安衛則の改正により廃止)
肝機能検査の名称を変更(GOT→AST、GPT→ALT、γ-GTP→γ-GT)

改正の概要

❶ 血清クレアチニン検査の追加

一般健康診断の検査項目に、腎機能低下者を把握するための血清クレアチニン検査が新たに追加されます。

追加の対象となる健康診断は以下のとおりです。

・雇入れ時健診(安衛則43条)
・定期健診(安衛則44条)
・特定業務従事者健診(安衛則45条)
・海外派遣労働者健診(安衛則45条の2)

ただし、関連告示も併せて改正され、40歳未満で医師が必要でないと認めるときは省略可能とされます。これは、現行の貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図検査と同様の取扱いです。

💡 なぜ追加されるのか:日本の勤労世代(20〜65歳)において慢性腎臓病(CKD)患者は推計250万〜500万人にのぼり、現行の尿検査(尿蛋白)だけでは発見が困難なタイプの腎疾患も存在します。血清クレアチニン検査の追加により、CKDの早期発見・早期治療介入が可能となり、末期腎不全(人工透析)への進行抑制が期待されています。なお、検査追加による事業者の費用負担増は1人あたり約60円程度と試算されています。
❷ 喀痰(かくたん)検査の廃止

結核の早期発見のために実施されてきた喀痰検査が、安衛則の改正により廃止されます。

喀痰検査は、胸部エックス線検査で結核の発病のおそれがあると診断された者に対して実施される検査ですが、結核罹患率の大幅な低下等の状況変化を踏まえた見直しと考えられます。

💡 実務への影響:喀痰検査は現行制度でも省略可能な場合が多く、実際に実施している事業場は限定的です。廃止により健診の運用がシンプルになります。
❸ 肝機能検査の名称変更

肝機能検査の名称が、国際的に使用されている表記に合わせて変更されます。検査内容自体に変更はありません。

現行の名称 改正後の名称
GOT AST
GPT ALT
γ-GTP γ-GT

💡 実務への影響:健康診断結果通知書や個人票の様式・帳票の名称欄を更新する必要があります。健診機関からの結果報告書のフォーマット変更にも対応が必要です。

事業者が準備すべきこと

📋 対応チェックリスト
【健診機関との確認】
✅ 委託先の健診機関に、令和9年4月以降の健診項目変更への対応状況を確認する
✅ 血清クレアチニン検査の追加に伴う健診費用の変更の有無を確認する
【社内帳票・システムの更新】
✅ 健康診断個人票(様式第5号)の検査項目欄を更新する
✅ 肝機能検査の名称変更(GOT→AST、GPT→ALT、γ-GTP→γ-GT)を帳票・データベースに反映する
✅ 定期健康診断結果報告書(様式第6号の2)の改正様式への対応を準備する
【産業医・衛生管理者との連携】
✅ 産業医に改正内容を共有し、血清クレアチニン値に基づく就業上の措置の判断基準を確認する
✅ 40歳未満の労働者に対する血清クレアチニン検査の省略基準について、産業医と方針を協議する
【従業員への周知】
✅ 新たに追加される検査項目(血清クレアチニン)の目的を従業員に説明する
✅ CKD(慢性腎臓病)に関する健康教育・啓発の機会を設ける

改正前後の検査項目比較

現行(令和9年3月31日まで) 改正後(令和9年4月1日から)
@ 既往歴・業務歴の調査 変更なし
A 自覚症状・他覚症状の有無の検査 変更なし
B 身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査 変更なし
C 胸部エックス線検査および喀痰検査 C 胸部エックス線検査
(喀痰検査を廃止)
D 血圧の測定 変更なし
E 貧血検査 変更なし
F 肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP F 肝機能検査(AST・ALT・γ-GT
(名称変更)
G 血中脂質検査 変更なし
H 血糖検査 変更なし
I 尿検査 変更なし
J 心電図検査 変更なし
(該当なし) K 血清クレアチニン検査(新規追加)
※40歳未満は医師の判断で省略可
⚠ 施行日に注意
改正安衛則・告示の施行・適用日は令和9年(2027年)4月1日です。令和9年4月1日以降に実施する健康診断から新しい検査項目が適用されます。それまでに健診機関との契約内容の確認、社内帳票の更新、産業医との方針確認を完了させておきましょう。

根拠法令

・労働安全衛生法66条(健康診断)
・労働安全衛生規則43条(雇入れ時の健康診断)
・労働安全衛生規則44条(定期健康診断)
・労働安全衛生規則45条(特定業務従事者の健康診断)
・労働安全衛生規則45条の2(海外派遣労働者の健康診断)
・労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和9年4月1日施行予定)
・労働安全衛生規則第44条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部改正(告示)
⚠ 免責事項
本記事は、公開された法令・報道等に基づく一般的な情報提供を目的とするものであり、個別具体的な法的助言を構成するものではありません。改正省令・告示の正式な公布内容は、官報等にてご確認ください。個別の対応については、専門家にご相談ください。
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執筆者
三重 英則(みえ ひでのり)
社会保険労務士法人T&M Nagoya 代表社員
特定社会保険労務士・経営心理士・経営法曹会議賛助会員

※本記事の内容は令和8年4月時点の情報に基づいています。改正省令の正式公布後に内容が変更される可能性があります。