| 緊急注意喚起 令和7年9月から集団指導が強化されます ――同一労働同一賃金、「知らなかった」は通用しない時代へ 2026.03.30|社会保険労務士法人T&M Nagoya 代表 三重英則 |
| 経営者の皆さまに、非常に重要なお知らせです。 厚生労働省が令和4年12月から推進してきた「同一労働同一賃金の遵守徹底」の取組みについて、令和7年9月から運用が大きく変わることが明らかになりました。 具体的には、労働基準監督署や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、職業安定部が開催する説明会において、集団指導を活用した要請の実施が新たに追加されました。企業に対し、自主点検票の配布を通じてさらなる遵守の徹底を求めるものです。 この動きは、昨年7月に発出された通知に基づくものであり、昨年6月の閣議決定「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」に端を発しています。いわば、政府全体の方針として同一労働同一賃金の実効性確保に本腰を入れたということです。 |
| ⚠ 御社は大丈夫ですか?今すぐ確認してください |
| 以下に1つでも該当する場合、法違反のリスクがあります。 ✔ パート・有期社員の基本給が、正社員の6割未満である ✔ 正社員には賞与を支給しているが、パート・有期社員には支給していない ✔ 通勤手当の取扱いが正社員とパート・有期社員で異なる ✔ 待遇差の説明を求められたことがなく、準備もしていない ✔ 退職金・家族手当・住宅手当が正社員のみに支給されている |
| 何が変わるのか?――集団指導の新たな運用 |
| 今回の運用変更のポイントを整理します。 |
| これまでの運用 | 令和7年9月以降の運用 | |
| 1 | 個別企業への指導が中心 | 集団指導(説明会等)を活用した一斉要請を実施 |
| 2 | 任意のヒアリング | チェック方式の自主点検票を配布し、企業に自己申告を求める |
| 3 | 基本給の差について明確な基準なし | 「パート・有期の基本給は正社員の6割未満か」を明示的にチェック |
| 4 | 待遇差の説明義務の周知は限定的 | 説明義務の実施状況を5択で確認(準備状況まで問う) |
| 5 | 部局間の連携は限定的 | 労基署・均等部(室)・職安部の部局横断で情報連携 |
| 特に注目すべきは、「6割」という数字が明示されたことです。これは、パート・有期社員の基本給が正社員の6割未満である場合に、行政として特にリスクが高い状態であると位置づけていることを意味します。 また、待遇差の説明義務については、「これまでに聞かれ、説明を行ったことがある」「聞かれたことはないが、準備はしている」「聞かれたことはなく、準備もしていない」「聞かれたことはあるが、説明していない」「わからない」の5択で確認されます。「準備もしていない」企業は、行政の"注目リスト"に載る可能性があると考えるべきでしょう。 |
| 自主点検票で問われるポイント |
| 集団指導で配布される自主点検票は、企業の対応状況を可視化するための重要なツールです。主な確認項目は以下のとおりです。 |
| 点検項目 | 確認される内容 |
| 基本給 | 正社員とパート・有期で差があるか/差がある場合、パート・有期の基本給は正社員の6割未満か |
| 賞与 | 正社員とパート・有期で差があるか/パート・有期には支給していないか |
| 通勤手当 | 取扱いの違いの有無(ある・ない・わからない・手当がない)の4択で確認 |
| 待遇差の説明義務 | 説明の実施状況・準備状況を5段階で確認 |
| さらに――ガイドラインの大幅見直しも同時進行中 |
| 集団指導の強化に加えて、もう一つ見逃せない動きがあります。同一労働同一賃金ガイドラインそのものが初めて見直されるということです。 令和7年11月に労働政策審議会で示された見直し案では、退職手当、家族手当、住宅手当、無事故手当、褒賞、夏季冬季休暇の6項目が新たに追加されました。これは、近年の最高裁判決(日本郵便事件、メトロコマース事件等)の判断を踏まえたもので、令和8年度中の運用開始が予定されています。 |
| ガイドライン見直しで新設される主な項目 | |
| 退職手当 | 職務内容等により待遇差が「不合理と認められる」場合があると明記。長期勤続の有期社員への不支給はリスク大。 |
| 家族手当 | 契約更新を繰り返す等、継続勤務が見込まれる場合は正社員と同一の支給が必要。 |
| 住宅手当 | 転居を伴う配置変更がある場合は同一支給が必要。名目だけの理由での差別は問題。 |
| 無事故手当 | 同一の業務内容であれば、雇用形態にかかわらず同一支給が求められる。 |
| 夏季冬季休暇 | 正社員と同様の有給の夏季冬季休暇の付与が求められるケースあり。 |
| 褒賞 | 勤続年数等に応じた褒賞について、雇用形態による不合理な差が問題に。 |
| ◆ つまり、こういうことです。 「集団指導の強化」と「ガイドラインの見直し」は、車の両輪です。ガイドラインで基準が厳格化され、集団指導でその遵守状況が一斉にチェックされる。 「うちはまだ指摘されていないから大丈夫」という考えは、もはや通用しません。 |
| これまでの動きと今後のスケジュール |
| 時期 | 出来事 |
| 令和4年12月 | 厚労省が同一労働同一賃金の遵守徹底の取組みを開始 |
| 令和7年6月 | 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」閣議決定 |
| 令和7年7月 | 厚労省が運用変更にかかる通知を発出(基発0731第1号ほか) |
| 令和7年9月 | 集団指導を活用した新運用がスタート |
| 令和7年11月 | ガイドライン見直し案を労政審に提示(退職手当・家族手当等を新設) |
| 令和7年12月 | 労政審部会がガイドライン見直しの報告書案を了承 |
| 令和8年度中 | 改正ガイドラインの運用開始(予定) |
| T&M Nagoyaはすでに動いています |
| 当法人では、この動きを受け、すでに顧問先企業様への対策支援を開始しております。 私たちの経営理念は「顧客のために」、そしてMISSIONは「経営者と共に歩き、最善の解を導き出す」こと。 同一労働同一賃金の問題は、一度の対応で終わるものではありません。賃金制度全体の設計、就業規則の見直し、待遇差の説明資料の整備――すべてが連動しています。だからこそ、「点」ではなく「線」で、経営者の皆さまと共に歩き続けることが重要なのです。 当法人では、年間350件以上のご相談、20年以上の紛争解決経験を活かし、以下のような包括的な支援を行っています。 |
| 当法人の同一労働同一賃金対策支援メニュー | |
| @ | 待遇差の総点検・リスク診断 基本給・賞与・手当・福利厚生・教育訓練の全項目について、正規・非正規間の待遇差を洗い出し、法的リスクを評価します。 |
| A | 待遇差の説明資料の整備 パートタイム・有期雇用労働法第14条2項に基づく説明義務に対応するための資料を作成。「聞かれたらすぐに説明できる」体制を構築します。 |
| B | 賃金制度・手当体系の再設計 ガイドライン見直しに対応した賃金制度の再構築。退職手当・家族手当・住宅手当を含めた包括的な見直しを支援します。 |
| C | 就業規則・賃金規程の改定 制度変更に伴う就業規則・賃金規程の改定支援。不利益変更が伴う場合の合意形成プロセスもサポートします。 |
| D | 行政対応・紛争予防 集団指導への事前対策、自主点検票への対応方針の策定、万一の是正指導・紛争発生時の対応まで、一貫してサポートします。 |
| 経営者が今すぐ取るべき3つのアクション |
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| 「うちは大丈夫か?」と少しでも不安を感じたら 今すぐご相談ください。 社会保険労務士法人T&M Nagoya は、経営者と共に歩き続けるパートナーです。 「あの人に相談すれば何とかなる」――そう言っていただけるよう、 誠実に、深く考え、伴走し続けます。
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| 【根拠法令・参考情報】 ・パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第8条(不合理な待遇の禁止)、第9条(差別的取扱いの禁止)、第14条第2項(待遇差の説明義務) ・「『同一労働同一賃金の遵守の徹底に向けた取組について』の一部改正について」(令和7年7月31日、基発0731第1号、職発0731第2号、雇均発0731第4号) ・「『同一労働同一賃金の遵守の徹底に向けた取組の具体的な運用について』の一部改正について」(令和7年7月31日、基監発0731第7号、職需発0731第1号、雇均有発0731第1号) ・同一労働同一賃金ガイドライン見直し案(令和7年11月21日、第27回労働政策審議会同一労働同一賃金部会資料) ・「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」(令和7年6月閣議決定) 【免責事項】 本記事は2026年3月30日時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言を構成するものではありません。具体的な対応については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。 |
| この記事を書いた人 |
| 三重 英則 社会保険労務士法人T&M Nagoya 代表社員 特定社会保険労務士/経営心理士/経営法曹会議賛助会員 法律事務所で約7年間、使用者側・労働者側双方の労働紛争を経験。年間350件以上の相談に対応し、20年以上にわたる紛争解決の実績を持つ。IPO労務監査、M&A労務デューデリジェンス、団体交渉対応など高難度案件を専門とし、「経営者と共に歩き続ける」伴走型の支援を提供している。 |