| 裁判例解説(報道ベース) |
「半年の記録から2年半の残業は推定できない」 事業場外みなし制は否定しつつ、残業代請求の大半を退けた東京地裁判決(令和8年8月25日)と、勤怠記録の空白期間のリスク |
| 2026年10月22日|社会保険労務士法人T&M Nagoya 三重 英則(特定社会保険労務士) |
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おはようございます。社会保険労務士法人T&M Nagoya(名古屋市中区)の三重英則です。
「出張の多い従業員には事業場外みなし労働時間制を適用しているから、残業代は払わなくてよい」。そう考えている会社は少なくありません。では、そのみなし制が裁判で否定されたとき、会社は何を失い、何を失わないのでしょうか。労働新聞が2026年10月1日に報じた東京地裁の判決(令和8年8月25日)は、この問いに、会社にとって一見すると逆向きの2つの答えを同時に示しています。
東京都内の理化学機器メーカーで全国各地の気象計測機器の保守・修理に従事していた労働者が、約2年半分の未払い残業代として、割増賃金461万1562円と同額の付加金を請求しました。東京地裁は、会社が適用していた事業場外みなし労働時間制を認めませんでした。ところが、認められた割増賃金は6万7254円、請求額の約1.5%にとどまっています。みなし制は否定されたのに、請求のほとんどは退けられた。この落差の理由を読み解くことが、本記事の目的です。
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| 📌 この記事でわかること |
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✓ 東京地裁(戸室壮太郎裁判官)は令和8年8月25日、気象計測機器の保守・修理業務(FE業務)に適用されていた事業場外みなし労働時間制の適用を否定し、割増賃金6万7254円の支払いを命じたと報じられていること
✓ 労働者は令和3年8月16日から令和6年2月20日までの約2年半分について、割増賃金461万1562円と同額の付加金を請求していたこと。認容額は請求額の約1.5%であること
✓ みなし制否定の理由として、令和7年頃に会社が打刻システムを導入して出張時の労働時間を把握できるようにした点が挙げられ、逐一の業務命令ができない状況は、労働時間の把握を困難にするものではないとされたこと
✓ チャット記録のある半年あまりの平均から記録のない期間を推定する主張は、出張場所・頻度・労働時間に規則性がないとして退けられ、勤怠管理が適切でなかったことを考慮しても、時間外労働の認定は困難とされたこと
✓ 当法人が確認できたのは労働新聞の記事のみであり、判決原文、事件番号、認容された期間の内訳、控訴の有無は確認できていないこと
みなし制を否定されても、記録のない期間の残業代が当然に認められるわけではありません。しかしそれは、勤怠記録を整えなくてよいという意味ではありません。
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| 1 本記事の情報源と限界 |
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本判決は、労働新聞(2026年10月1日にWeb掲載、令和8年10月5日付第3563号2面)の記事で確認したものです。当法人は判決原文を確認できておらず、裁判所ウェブサイトへの掲載も確認できていません。判例集上の事件名も不明のため、本記事では「本判決」と呼びます。確認できていない事項を先に挙げておきます。
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確認できていない事項
1 判決原文、事件番号、事件名。裁判所ウェブサイト等で確認できていません。
2 当事者の情報。記事は「東京都内の理化学機器メーカー」と「労働者」としか書いていません。
3 認容された期間と内訳。記事は「半年分の残業代請求を認容した」とのみ書いています。記録のある令和5年6月から12月に対応するとみられますが、記事は明示しておらず、当法人の推測にとどまります。
4 付加金の結論。労働者は割増賃金と同額の付加金を求めましたが、記事に付加金についての記載はありません。
5 金額の表記。記事の前段には「7万円の支払いを命じた」とあり、後段には6万7254円とあります。前者は後者の概数と読めますが、記事はその旨を明示していません。本記事は6万7254円を用います。
6 みなし制の否定理由のうち報道されていない事情。FE業務の具体的な態様、事業場外みなし労働時間制の運用の細目などは記事にありません。
7 控訴の有無と確定の有無。判決から約6週間後の記事であり、確定したかどうかは分かりません。
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| 2 事案の概要――報道から確認できる範囲で |
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労働新聞の記事によれば、経過は次のとおりです。労働者は、令和3年(2021年)8月に会社に入社し、令和6年(2024年)2月頃まで、全国各地にある会社の気象計測機器の保守・修理業務(FE業務)に従事していました。その間は出張の頻度が高く、月の大半を出張先で過ごすこともあったとされています。会社はFE業務に就く従業員に事業場外みなし労働時間制を適用しており、出張時の労働時間の管理はしていませんでした。
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| 時期 |
報道されている事実 |
| 令和3年(2021年)8月 |
労働者が入社。FE業務(全国各地の気象計測機器の保守・修理)に従事 |
| 令和3年8月16日〜令和6年2月20日 |
労働者が割増賃金を請求した期間(約2年半)。時間外・深夜・休日労働の割増賃金計461万1562円と同額の付加金を請求 |
| 令和5年(2023年)6月 |
FE業務の従事者と上長の判断で、ビジネスチャットツールによる勤怠報告を開始。自宅や宿泊先を出る際に「出発します」、作業終了時に「現場終わりました」などのメッセージを送信。記録があるのは同年12月まで |
| 令和6年(2024年)2月頃 |
FE業務を離れる。現在は一時的にカスタマーサポートセンターで修理・入出庫業務に就いている |
| 令和7年(2025年)頃 |
会社が主導して、始業・終業時刻を打刻するシステムを導入。出張時の労働時間を把握できるようになった |
| 令和8年(2026年)8月25日 |
東京地裁が、みなし制の適用を否定し、割増賃金6万7254円の支払いを命じる |
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現場の作業では、天候や機器の状況によって臨機応変な対応が求められ、出張時の業務の進め方にはFE業務の従事者に広範な裁量が与えられていました。労働者は作業の終了後、自宅へ直帰するか、宿泊先に帰着していたとされています。労働者は、FE業務は事業場外みなし労働時間制の適用要件を欠いていると主張しました。
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| 項目 |
報道されている内容 |
| 請求した期間 |
令和3年8月16日〜令和6年2月20日(約2年半) |
| 請求した金額 |
時間外・深夜・休日労働の割増賃金計461万1562円と、同額の付加金 |
| 認容された金額 |
割増賃金計6万7254円(請求した割増賃金の約1.5%) |
| 付加金の結論 |
記事に記載なし(確認できていません) |
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| 3 争点 |
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報道から読み取れる争点は、2点に整理できると考えられます。第1は、FE業務に事業場外みなし労働時間制を適用できるかです(労働基準法38条の2)。第2は、みなし制が適用されない場合の実際の労働時間をどう認定するかです。具体的には、チャットの記録がある半年あまりの平均労働時間から、記録のない期間の時間外労働を推定できるかが争われました。第1の争点でみなし制が否定されると、実労働時間に基づく割増賃金の計算が必要になり、第2の争点が生じる構造です。
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| 4 裁判所の判断 |
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労働新聞の記事によれば、東京地裁(戸室壮太郎裁判官)は次のように判断しました。判決原文ではなく、記事の要約であることをお断りしておきます。
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報道されている判断の骨子
1 令和7年頃に会社がシステムを導入し、出張時の労働時間を把握できるようにした点を踏まえれば、請求期間においても、労働者の労働時間を把握できた。【みなし制】
2 作業の進行の確認や、逐一業務命令を下せない状況であったことは、労働時間の把握を困難にするものではない。【みなし制】
3 わずか半年間の労働時間を基に、それ以外の2年もの労働時間を推定することは、およそ適当ではない。毎月の出張場所や頻度、労働時間に規則性もなく、推定計算は認められない。【労働時間の推定】
4 会社の勤怠管理が適切でなかったことを考慮しても、具体的な時間数を認定し得るだけの十分な証拠は見出せず、労働者が時間外労働に従事したと認めるのは困難である。【労働時間の推定】
そのうえで、事業場外みなし労働時間制の適用を否定し、割増賃金計6万7254円の支払いを命じました。
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| 5 判決の読み解き――みなし制の否定と、請求額の落差 |
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前提として、枠組みを確認します。労働基準法38条の2第1項は、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合に、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなすと定めています(その業務の遂行に通常所定労働時間を超えて労働することが必要な場合は、通常必要とされる時間労働したものとみなされます)。みなしが認められるのは、事業場外で働いているだけでなく、「労働時間を算定し難いとき」に限られます。最高裁は、阪急トラベルサポート(第2)事件(最高裁第二小法廷平成26年1月24日判決)で、添乗員の業務についてこの要件に当たらないと判断しています。また、協同組合グローブ事件(最高裁第三小法廷令和6年4月16日判決、労働判例1309号5頁)は、解説資料によれば、日報による報告があることを重視して要件を否定した原審について、日報の正確性を担保する具体的な事情などを検討していないとして、原審を破棄し差し戻したとされています。当法人は両判決の原文を今回確認しておらず、解説に基づく整理です。報道の範囲では、本判決も会社が労働時間を把握できたか否かを軸にしたと読めますが、判決が何を引用したかは分かりません。
第1に、会社が把握できる状態を作ると、その評価は過去の期間にも及び得るという点です。報道によれば、会社が令和7年頃に導入した打刻システムが、令和6年2月までの請求期間の判断で考慮されました。システムの導入は請求期間の後であり、導入後の把握可能性が、導入前の期間の「算定し難いとき」の評価とどう結びついたのかは、報道からは分かりません。考えられる読み方は、導入によって会社が出張時の労働時間を把握する手段を現実に持ち得ることが示され、請求期間でも同様の把握が可能だったと評価された、というものです。これは当法人の推測であり、判決原文で確かめる必要があります。この読み方が正しいとすれば、みなし制を適用している会社が勤怠システムを導入した時点で、導入前の期間についてもみなし制の維持が難しくなるおそれがあることになります。
第2に、現場に任せていることは、算定し難いことの理由になりにくいという点です。報道によれば、現場の作業には臨機応変な対応が求められ、出張時の業務の進め方には広範な裁量が与えられていました。それでも裁判所は、作業進行の確認や逐一の業務命令ができない状況は、労働時間の把握を困難にするものではないとしたと報じられています。「見ていない」「細かい指示はしていない」という運用の実態は、それだけでは「算定し難い」の根拠にならないと考えられます。
第3に、みなし制の否定と、請求額の大きさは別の問題だという点です。労働者の請求は461万1562円、認容されたのは6万7254円で、割合は約1.5%にとどまります。差が生じたのは、みなし制が否定されると割増賃金を実際の労働時間に基づいて計算する必要が生じ、その労働時間を、記録のない期間については労働者の側が具体的に示さなければならなかったためと考えられます。労働者は、チャットの記録がある令和5年6月から12月までの平均労働時間を基に、その他の期間の時間外労働を推定すべきだと主張しました。担当業務の内容や量に違いはなく、同程度の時間、会社の指揮監督下にあったという主張です。しかし裁判所は、労働実態に共通性がなく、出張場所や頻度、労働時間に規則性もないとして、半年あまりの平均で2年もの期間を推し量ることを認めませんでした。
第4に、勤怠管理の不備は、会社を免責するものではないという点です。裁判所は、会社の勤怠管理が適切でなかったことを考慮に入れたうえで、なお具体的な時間数を認定するだけの証拠が足りないとしました。管理の不備が問題にされなかったのではなく、考慮されてもなお足りなかった、という判断です。また、記事は「半年分の残業代請求を認容した」と伝えています。記録のある半年間に対応するとみられますが、前述のとおり記事は明示していません。仮にそうであれば、記録が残っている期間については支払いが命じられたことになります。ただし、これは推測です。
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| 6 実務への示唆――4つの点検項目 |
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本件を自社に引き付けるなら、次の4項目です。いずれも、本件の事実関係を離れた一般的な実務として整理しています。
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点検1 みなし制の適用は、いまの勤怠把握の実態に照らしても維持できるか
事業場外みなし制を適用している従業員について、チャットでの出発・終了の報告、車両や端末の位置情報、業務アプリのログ、メールの送受信など、会社が労働時間の手がかりを現実に得ているものを洗い出してください。本件の会社でも、令和5年6月にチャットでの報告が始まり、令和7年頃には打刻システムが導入されていました。手がかりが増えるほど、「算定し難い」という説明は苦しくなると考えられます。協同組合グローブ事件の解説によれば、報告手段があること自体ではなく、その正確性を担保する事情が検討されるため、手がかりの有無と、その正確性の両方を確認する必要があります。
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点検2 「把握していない」ことと「把握できない」ことを区別して説明できるか
報道によれば、本判決は、逐一の指示ができない状況は把握を困難にするものではないとしています。会社が実際に把握していないことと、把握できないことは別です。みなし制の適用理由を書面にするとき、「業務の性質上、会社が労働時間を把握する手段がない」と言えるのか、「把握していない」にとどまるのかを、自社の事実で切り分けてください。
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点検3 みなし制をやめて打刻管理に切り替えるとき、過去の期間のリスクを整理しているか
勤怠システムを導入すれば、導入後の労働時間は把握できます。一方、本判決の報道が示す方向(当法人の推測を含みます)によれば、導入前の期間についてもみなし制の適用が否定され、割増賃金の請求を受ける可能性があります。賃金請求権の消滅時効は、現行法では当面3年です(労働基準法115条、同法附則143条3項)。切り替えの前に、過去3年の出張・深夜・休日の実態と、手元に残っている記録を整理し、請求を受けた場合にどの程度の金額になり得るかを試算しておくことをお勧めします。
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点検4 記録の空白期間を、「請求されない期間」と考えていないか
本判決では、記録のない期間の時間外労働は認められませんでした。しかし、これを「記録がなければ払わなくてよい」と読むのは危険です。第1に、本判決は地裁の判断であり、控訴の有無を確認できていません。第2に、推定が退けられた理由として、出張場所・頻度・労働時間の規則性のなさが挙げられています。逆にいえば、勤務のパターンに規則性のある従業員については、推定が認められる余地があると考えられます(当法人の推測です)。第3に、会社が勤怠を管理していなかったことは、裁判所に考慮される事情になります。「記録がないから大丈夫」ではなく、記録がなくても説明できる運用を目指す必要があります。
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| 7 当法人の視点 |
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「みなし制を入れているから大丈夫」と「記録がないから請求されても認められない」。この2つの安心は、本判決を読むかぎり、どちらも会社を守りませんでした。前者は否定され、後者は今回の事実関係のもとで通ったにとどまる可能性があります。
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当法人の見解
本判決から企業が学ぶべきことは、「記録がなければ請求は通らない」ではなく、「みなし制の適用理由は、会社が現に持っている把握手段に照らして、いつでも説明できなければならない」という順序です。本件では、会社が後から打刻システムを導入したことが、みなし制の適用を否定する方向で考慮されたと報じられています。勤怠管理を改善することが、過去の期間のリスクを顕在化させ得るという点は、改善する側の会社にとって見落としやすいと考えます。
反対の見方もあります。労働者側の立場からは、労働時間の管理は使用者の責任であり、管理を怠った不利益を労働者に負わせるのは公平でない、記録のある期間の実績から他の期間を推計する方法は、立証の現実的な手段である、という主張が考えられます。同種の推計を認めた裁判例があるかどうかは、当法人は今回確認していません(要・人手検索)。本判決の推定否定は、本件の労働実態に規則性がなかったという事実関係に依拠していると読むのが穏当です。使用者側の立場からは、会社が令和5年にチャット報告を始め、のちにシステムを導入したのは労働時間管理を改善する努力であり、それが過去のみなし制の評価を不利にするなら、改善の動機を損なう、という指摘もあり得ます。当法人はこの指摘にも理由があると考えますが、本判決が実際にそのような論理を採ったのかは、原文を確認しなければ分かりません。
簡易な確かめ方を1つ挙げます。みなし制を適用している従業員を1人選び、直近1か月について、会社が把握できた始業・終業の手がかり(チャット、打刻、メール、システムのログなど)を日ごとに書き出してください。手がかりが毎日のように残っているなら、「算定し難い」という説明が自社の事実に照らして成り立つか、書面で説明を試みてください。説明できなければ、適用の見直しを検討する時期だと考えられます。なお、この読みは、判決原文で、みなし制の否定が報道されていない別の事情に依拠していたと分かった場合には、成り立たなくなります。
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| まとめ |
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東京地裁は令和8年8月25日、気象計測機器の保守・修理に従事していた労働者への事業場外みなし労働時間制の適用を否定し、割増賃金6万7254円の支払いを命じたと報じられています。会社が令和7年頃に導入した打刻システムを踏まえ、請求期間でも労働時間を把握できたとされ、逐一の業務命令ができない状況は把握を困難にするものではないとされました。一方、チャット記録のある半年あまりの平均から2年半分の残業を推定する労働者の主張は、出張場所・頻度・労働時間の規則性のなさを理由に退けられ、請求額461万1562円に対して認容額は約1.5%にとどまりました。ただし、判決原文、認容された期間の内訳、付加金の結論、控訴の有無は確認できていないため、本記事は報道に基づく整理です。
当法人は「経営者と共に歩き、最善の解を導き出す」ことを使命としています。みなし制の適用を続けるか、打刻管理に切り替えるか。その判断の前に、自社の把握手段と過去の期間のリスクを、経営者と一緒に整理してまいります。賃金・勤怠の点検については給与監査顧問、労働時間制度の規程整備については就業規則作成・改訂のページもご覧ください。
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【根拠法令】
労働基準法38条の2(事業場外労働のみなし労働時間制)、37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)、114条(付加金)、115条(時効)、同法附則143条3項(賃金請求権の消滅時効に関する経過措置)
【参考判例】
本件:東京地方裁判所令和8年8月25日判決(戸室壮太郎裁判官)。当法人は判決原文を確認できておらず、事件番号と確定の有無は不明です。/阪急トラベルサポート(第2)事件(最高裁判所第二小法廷平成26年1月24日判決)/協同組合グローブ事件(最高裁判所第三小法廷令和6年4月16日判決、労働判例1309号5頁)。後の2件は原文を今回確認しておらず、解説資料に基づく記述です。
【出典・参考資料】
労働新聞社「労働時間 半年の記録基に推定できず 2年半残業代請求で 東京地裁」(労働新聞ニュース、2026年10月1日。労働新聞令和8年10月5日付第3563号2面掲載)。記事のURLは確認できていません(要・人手検索)。/協同組合グローブ事件の解説:有斐閣「判例Direct〈労働法〉」https://yuhikaku.com/articles/-/57791(判決の出典表示を確認)/同事件の解説を掲載した法律事務所ニュースレターhttps://ohebashi.com/jp/newsletter/rodoNewsletter202409_3_P6-7.pdf
【免責事項】
本記事は2026年10月時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言を構成するものではありません。本記事で取り上げた事案は、判決原文ではなく労働新聞の記事に基づいて構成しており、判決の詳しい理由づけ、認容された期間の内訳、付加金の結論、事件番号、控訴の有無と確定の有無は確認できていません。当事者の事情について、報道にない事実を補ってはいません。具体的な事案については、弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
なお、紛争性のある事案の交渉代理および訴訟代理は、弁護士法72条により社会保険労務士の業務範囲外です(特定社会保険労務士による個別労働関係紛争のあっせん代理等の法定の例外を除きます)。当法人は、みなし制の適用理由と勤怠把握の実態の整理、勤怠管理の設計、割増賃金の試算、規程の整備を担い、請求を受けた場面や訴訟になった場面では、提携する弁護士と連携して対応いたします。
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| この記事を書いた人 |
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三重 英則(HIDENORI MIE)
社会保険労務士法人T&M Nagoya 社員(特定社会保険労務士)
特定社会保険労務士/経営心理士/経営法曹会議賛助会員(SRP認証番号第160175号)
法律事務所で約7年間、使用者側・労働者側双方の労働紛争を経験。年間350件以上の相談に対応し、20年以上にわたる紛争解決の実績を持つ。IPO労務監査、M&A労務デューデリジェンス、団体交渉対応など高難度案件を専門とし、「経営者と共に歩き続ける」伴走型の支援を提供している。
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