|
裁判例解説 外国人雇用 妊娠を告げた技能実習生に「帰国」を迫れば違法 問われたのは「結論」ではなく「実習を続ける道を検討したか」。妊娠の申出があった日に経営者・人事担当者が取るべき初動を整理します 2026年9月8日|社会保険労務士法人T&M Nagoya |
おはようございます。社会保険労務士法人T&M Nagoya(名古屋市中区)の三重英則です。
2026年8月4日、福岡地方裁判所小倉支部(千賀卓郎裁判長)は、妊娠を理由に退職と帰国を迫られたと訴えたフィリピン国籍の元技能実習生の請求を一部認め、実習先の社会福祉法人と監理団体などに対し、未払賃金を含む314万円余の支払いを命じました。報道によれば、判決は、妊娠した実習生については実習先や監理団体などに実習を継続できるよう必要な措置を取る義務があるにもかかわらず、継続が可能かどうかやそのための手続の調査を全く行わなかったと指摘しています。
技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ移行しますが、妊娠・出産を理由に外国人労働者を職場から排除してはならないというルールは、制度が変わっても変わりません。本記事では、報道で確認できた範囲で判決の内容を整理したうえで、外国人材を受け入れる企業と監理団体が、妊娠の申出を受けた時点で何をすべきかを解説します。
|
本記事の情報の範囲について 判決文は、本記事執筆時点(2026年8月24日)で裁判所ウェブサイトの裁判例検索や労働判例誌に掲載されておらず、当法人は判決文を直接確認できていません。以下の事実関係と判決の要旨は、共同通信・朝日新聞・RKB毎日放送・西日本新聞の報道、および原告を支援した市民団体が公表した資料に基づく再構成です。報道間で数値が異なる箇所は、その旨を明示しています。判決文で確認できていない事項は第5章にまとめました。 |
|
📌 この記事の要点 ・妊娠を理由とする解雇・退職強要・帰国の強要は、技能実習生に対しても違法です。判決は、技能実習法などが禁じる不利益取扱いによって「技能実習生として保護されるべき権利」を侵害したとして、不法行為の成立を認めました。 ・判決が問題にしたのは、実習を継続できるかどうか、そのための手続をどうするかを全く調査しなかった点です。制度上用意されている一時中断・再開などの選択肢を検討しないまま帰国という結論に直行したことが、違法評価の核心と読めます。 ・本人が署名した帰国同意書は、会社を守りませんでした。判決は、強制的に雇用関係を終了させるとの発言を行ったうえで署名させたことを問題視しています。 ・監理団体の理事の「産休を取ればフィリピン人の評価は落ちる」といった発言について、判決は、妊娠自体を非難したり中絶など特定の選択に誘導したりすることは許されないと述べました。 ・雇用主ではない監理団体にも賠償責任が認められました。実習実施者だけの問題ではありません。 |
原告は、フィリピン国籍の女性(判決時29歳)で、介護職種の技能実習生として福岡県内の特別養護老人ホームで働いていました。被告は、この施設を運営する社会福祉法人(実習実施者)と、大分県内の監理団体、およびその関係者と報じられています。原告を支援した市民団体の資料では、被告は施設・監理団体・監理団体理事2名とされています。法人名はいずれの報道でも公表されていません。
報道と支援団体資料から再構成した経緯は、次のとおりです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2019年9月 | 来日し、福岡県内の特別養護老人ホームで介護職種の技能実習を開始 |
| 2021年4月 | 妊娠が判明 |
| 2021年5月 | 監理団体の理事らに妊娠を報告し、里帰り出産の後に復職して契約期間満了まで働きたいという意思を伝える。以後、実習の中断を告げられ、帰国を勧められる。理事から「産休を取ればフィリピン人の評価は落ちる」などの発言があった |
| 2021年5月下旬 | 実習先から帰国同意書への署名を求められ、自身の意に反する旨を訴えたうえで署名。翌月以降、勤務シフトに入れられなくなる |
| 2021年8月末 | 退職し、帰国 |
| 2022年10月12日 | 実習先の社会福祉法人・監理団体などを被告として提訴。提訴先は福岡地裁行橋支部と報じられ、その後小倉支部に移送されたと支援団体が報告している |
| 2026年8月4日 | 福岡地裁小倉支部判決。未払賃金を含む314万円余の支払いを命じる(請求の一部認容) |
請求額と認容額は、報道によって表記が異なります。判決文で確認するまでは、次の幅で理解しておく必要があります。
| 項目 | 報道内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 請求額 | 約570万円(提訴直前) | 共同通信(2022年10月12日) |
| 約620万円 | 西日本新聞(2022年10月15日)、朝日新聞(2026年8月4日) | |
| 約640万円 | 共同通信(2026年8月4日) | |
| 未払賃金と慰謝料を合わせて約645万円 | RKB毎日放送(2026年8月4日) | |
| 認容額 | 314万円(余) | 朝日新聞、RKB毎日放送 |
| 未払賃金を含む約310万円 | 共同通信 |
請求額の差は、訴え提起後の請求の拡張や遅延損害金・弁護士費用の扱いの違いによる可能性がありますが、理由は確認できていません。認容額については、314万円余という数字が複数の報道で一致しており、共同通信の「約310万円」はその概数と理解するのが自然です。なお、支援団体の資料によれば、原告の請求は未払賃金のほか、出産手当相当額、技能実習2号満了までの賃金相当額、技能実習3号への移行の期待権侵害、慰謝料、弁護士費用で構成されていたとされます。認容額の内訳は確認できていません。
技能実習生は、実習実施者との間で雇用契約を締結して業務に従事します。したがって、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法といった労働関係法令が、日本人労働者と同様に適用されます。出入国在留管理庁も、技能実習生には日本人労働者と同様に労働関係法令等が適用され、婚姻・妊娠・出産等を理由とする解雇その他の不利益取扱いや、私生活の自由の不当な制限は法に基づき認められないと明示しています。
男女雇用機会均等法9条3項は、事業主は、女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、産前産後休業を請求し又は取得したことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。外国人であることを理由に適用が除外されることはありません。
不利益取扱いの典型例として、厚生労働省の指針は、解雇、雇止め、退職や非正規への契約変更の強要、降格、就業環境を害すること、不利益な自宅待機の命令などを挙げています。本件で報じられた「帰国同意書への署名を求める」「勤務シフトから外す」という対応は、この類型に照らせば、退職の強要および就業環境を害する行為に当たり得るものです。また、最高裁は広島中央保健生協事件(最高裁第一小法廷平成26年10月23日判決)で、妊娠中の軽易業務転換を契機とする降格を原則として同項に違反すると判断し、厚生労働省はこれを受けて、妊娠等を契機とする不利益取扱いは原則として違法であるとの解釈を示しています。
技能実習制度の下では、実習実施者が労働関係法令等に関し不正又は著しく不当な行為をした場合や、監理団体が適切に実習監理を行わない場合、技能実習計画の認定の取消しや監理許可の取消しといった行政処分の対象となり得ます。処分を受けると欠格事由に該当し、5年間、新規の技能実習生の受入れや監理事業を行うことができません。これは損害賠償とは別の、事業の存続に直結するリスクです。
法務省(出入国在留管理庁)・厚生労働省・外国人技能実習機構は、2019年3月11日に「妊娠等を理由とした技能実習生に対する不利益取扱いについて」と題する注意喚起を連名で発出して以降、2021年2月16日、2022年12月23日、2023年4月3日と繰り返し法令遵守を呼びかけてきました。2023年4月3日付けの文書では、2017年11月1日から2022年3月31日までの間に、妊娠・出産を理由とすることが確認できる技能実習実施困難時届出が1,434人分あったことも示されています。本件で問題となった2021年5月の時点で、すでに2回の注意喚起が出ていたことになります。
ここが実務上最も誤解されている点です。産前産後休業などにより技能実習の実施が困難になった場合、実習実施者は技能実習実施困難時届出書を提出して技能実習を一時中断し、その後同じ実習実施者の下で再開することができます。2023年4月1日以降の申請については、中断後の再開手続は技能実習計画の変更認定申請で行えるよう簡素化されました。つまり、妊娠は制度上「実習の終了事由」ではなく「一時中断の事由」として想定されているのです。妊娠中・出産後の技能実習生には、加入する健康保険から出産育児一時金が支給されることも、入管庁の資料に明記されています。
あわせて、入管庁は監理団体に対し、入国後講習や監査の際に、婚姻・妊娠・出産等を理由に解雇等がされることはないこと、妊娠した場合の休業制度や支援制度、相談窓口について技能実習生に分かりやすく説明し、必要に応じて地域の多言語対応の相談窓口を周知するよう求めています。さらに、妊娠・出産を理由に技能実習を中断又は中止して帰国することとなった場合には、本人が「妊娠等に関連した技能実習期間満了前の帰国についての申告書」を作成し、監理団体等が保管する運用が2023年4月から導入されています。帰国という結論に至った場合でも、本人の意思確認の記録が求められる設計になっているということです。
|
▼ 妊娠した技能実習生について制度上とり得る選択肢 産前産後休業の取得(労働基準法65条1項・2項)、妊娠中の軽易な業務への転換(同条3項)、産前産後休業期間とその後30日間の解雇禁止(同法19条)、技能実習実施困難時届出書の提出による一時中断と出産後の再開(変更認定申請)、中断中の在留期間更新申請、育児休業の取得可否の検討。これらを検討した記録があるかどうかが、本件では決定的な意味を持ちました。 |
判決文を確認できていないため、以下は各報道が伝える判決の要旨を整理したものです。
判決は、技能実習法などが禁じる不利益な取扱いをしたことによって、原告が技能実習生として保護されるべき権利を侵害したと指摘し、不法行為の成立を認めました。均等法9条3項が明示的に適用されたのか、技能実習法のどの規定が根拠とされたのかは、報道からは判然としません。
共同通信によれば、判決は、実習生が妊娠した場合、実習先や監理団体などは実習が継続できるよう必要な措置を取る義務があるのに、継続が可能かどうかや、そのための手続などの調査を全く行わなかったと指摘しました。また、強制的に雇用関係を終了させるとの発言を行い、帰国同意書に署名させたことも問題とされています。
当法人は、ここが本判決の核心だと考えます。判決は「妊娠した実習生を帰国させた」という結論だけを捉えたのではなく、第2章で見た制度上の選択肢を検討する過程が存在しなかったことを問題にしています。裏返せば、継続の可否を真剣に検討し、その記録を残したうえで、本人の自由な意思により帰国が選択されたのであれば、法的評価は異なり得たということです。もっとも、これは報道から読み取れる判決の構造に基づく当法人の解釈であり、判決文で検証が必要です。
朝日新聞によれば、判決は、妊娠を告げられた監理団体の理事が「産休を取ればフィリピン人の評価は落ちる」などと述べたことや、「みんなに何があるかわからないけど、それでいいですね」と、中絶を選ばなければ不利益を受ける可能性があると示唆したことに触れ、妊娠自体を非難したり、中絶など特定の選択に誘導したりすることは許されないと指摘しました。
この判示は、解雇や帰国強要といった処遇上の不利益とは別に、妊娠・出産という私生活上の決定に受入れ側が介入する発言それ自体を違法と評価したものと読めます。支援団体の資料によれば、被告側の口調は声を荒げるような恫喝的なものではなく、むしろ穏やかであったとされています。穏やかな口調であっても、内容が特定の選択への誘導であれば違法評価を免れないという点は、面談を担当する管理者や監理団体職員にとって重要な示唆です。
被告側の具体的な主張は判決文で確認できていません。以下は、報道と支援団体の資料から想定される受入れ側の反論を、当法人が整理して評価したものです。
| 想定される受入れ側の反論 | 当法人の評価 |
|---|---|
| 妊娠中は移乗・入浴介助などの介護業務ができず、実習計画どおりの実習ができない | 実習計画の遂行が困難であることは「一時中断」の理由にはなっても「終了・帰国」の理由にはなりません。軽易業務への転換(労基法65条3項)と、実施困難時届出による中断・再開の制度が用意されています。支援団体の資料では、軽作業への変更では実習の要件を満たさないとの説明があったとされますが、判決はそもそも継続可否の調査自体がなかったと評価しました。 |
| 本人が帰国同意書に署名している | 判決は、強制的に雇用関係を終了させるとの発言の下で署名させたことを問題視しました。労働者の同意の有無について、最高裁は山梨県民信用組合事件(最高裁第二小法廷平成28年2月19日判決)で、同意に至った経緯や情報提供の内容に照らし、自由な意思に基づくと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するかを問うとしています。賃金・退職金の不利益変更に関する判例ですが、同意の任意性を厳格に見る発想は本件のような場面にも通じると当法人は考えます。 |
| 解雇はしていない。本人が退職した | 勤務シフトから外し、雇用関係が事実上終了する状況を作出すれば、解雇の形式を取らなくても退職の強要や就業環境を害する不利益取扱いに当たり得ます。厚生労働省の指針も、退職の強要と就業環境を害することを不利益取扱いの例に挙げています。 |
| 監理団体は雇用主ではない | 判決は監理団体にも賠償を命じました。監理団体は技能実習法および同法施行規則に基づき、実習実施者への監査・指導と技能実習生からの相談対応を担う立場にあります。本件では理事自身の発言が違法と評価されており、雇用主でないことは免責の理由になりませんでした。 |
他方で、本判決の射程には限界もあります。第1に、本判決は地方裁判所支部の判決であり、控訴の有無は本記事執筆時点で確認できていません。確定していない可能性があります。第2に、判決文が公表されていないため、均等法9条3項の直接適用の有無や、技能実習法上の根拠規定、認容額の内訳、被告ごとの責任の配分は不明です。第3に、314万円余という認容額は未払賃金を含むものであり、慰謝料としてどの程度の額が認められたのかは分かりません。判決の重みを過大にも過小にも評価しないよう、これらの点は判決文または労働判例誌への掲載を待って確認する必要があります。
|
1.判決文そのものと事件番号。裁判所ウェブサイトの裁判例検索への掲載、労働判例誌への登載は、本記事執筆時点で確認できていません。 2.被告となった社会福祉法人・監理団体の名称。報道では所在地(福岡県内・大分県内)のみです。 3.正確な請求額と、報道間で数値が異なる理由。 4.認容額314万円余の内訳(未払賃金・慰謝料・逸失利益・弁護士費用)と、被告ごとの責任の配分(連帯か個別か)。 5.均等法9条3項が明示的に適用されたか、技能実習法のどの規定が根拠とされたか。 6.福岡地裁行橋支部から小倉支部への移送の経緯。支援団体の報告のみで、裁判所の公表資料では確認できていません。 7.控訴の有無。判決後、社会福祉法人は判決内容を確認していないとしてコメントを控えたと報じられています。 |
本判決が突いたのは、妊娠の申出があった直後の初動の不在でした。外国人材を受け入れている企業と監理団体は、事案が起きてから考えるのではなく、申出があった日に何をするかをあらかじめ決めておく必要があります。以下は当法人が整理した一般的な確認項目であり、個別の事案では在留資格の状況や実習計画の内容に応じた判断が必要です。
|
✓ 妊娠の申出があったときの確認項目 1.「妊娠したら帰国」を前提にした文書がないか 社内の説明資料、監理団体のマニュアル、送出機関との契約書に妊娠を理由とする帰国や違約金の定めがあれば、それ自体が不利益取扱いの意図を示す証拠になり得ます。技能実習生の妊娠を禁止する条項は公序良俗に反し無効と判断した裁判例(富山地裁2013年7月17日判決)があることは、国会の質問主意書でも言及されています。 2.本人の希望を母国語で確認し、記録する 実習を続けたいのか、里帰り出産を希望するのか、日本での出産を希望するのか。本人の意思を通訳を介して確認し、日付とともに記録します。 3.継続の選択肢を検討した記録を残す 産前産後休業、軽易業務への転換、実施困難時届出による一時中断と再開、在留資格の取扱い、育児休業の可否。「検討したが困難だった」と「検討しなかった」では、法的評価がまったく異なります。 4.帰国の話を持ち出す前に、制度上の手続を確認する 入管庁が公表している「技能実習生が妊娠等した場合の基本フロー及び各種手続について」を、実習実施者と監理団体の双方が確認してから本人と面談します。 5.同意書は免罪符にならないと理解する 帰国や退職の合意書を取り交わす場合でも、母国語の書面、通訳の同席、検討期間の確保、外部相談窓口の告知を記録とともに整えてください。言語の壁、在留資格への不安、来日費用の借入れといった事情は「断れない構造」を作ります。同意の任意性は、日本人労働者の場合よりもさらに厳しく見られると当法人は考えます。 6.面談担当者の発言そのものが不法行為になり得る 「評価が落ちる」「中絶したらどうか」といった発言は、善意の助言のつもりでも違法と評価されます。監理団体の職員、施設の管理者、現場のリーダーに対する研修が必要です。 7.監理団体は自らの記録を点検する 相談対応の記録が残っているか、実習実施者への監査で妊娠・出産に関する対応を確認項目に入れているか、多言語の相談窓口が実際に機能しているか。監理許可の取消しを受ければ5年間監理事業ができず、損害賠償より事業存続のリスクが大きい場面です。 |
本件の実習先は特別養護老人ホームでした。介護分野は外国人材への依存度が高く、女性労働者の比率も高い分野です。同時に、移乗介助や入浴介助など身体的負荷の大きい業務が含まれるため、妊娠中の軽易業務転換の実効性が問われます。これらの業務を外した勤務をどう組むか、実習計画上どう整理するかを、事案が起きる前に監理団体と協議して設計しておくことをお勧めします。
技能実習制度は、令和6年法律第60号により、2027年4月1日に育成就労制度へ移行することが政令(令和7年政令第340号)で確定しています。育成就労計画の認定に係る施行日前申請は2026年9月1日から外国人技能実習機構で受付が始まります。制度移行にあたって、妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止が緩和されることはありません。むしろ育成就労では本人の意向による転籍が一定の要件の下で認められるため、妊娠・出産への対応が不適切な受入れ先からは人材が離れていく構造になると考えられます。妊娠・出産をめぐる対応の巧拙は、法的リスクであると同時に、人材確保力の差になっていきます。
外国人材の受入れに当たっては、就業規則に母性健康管理や産前産後休業の規定が整備されているか、外国人労働者にも適用される建付けになっているかの点検も欠かせません。当法人の就業規則作成・改訂および労働紛争解決のページもご参照ください。
第1に、技能実習生にも日本人労働者と同じ労働法の保護が及びます。「実習だから」「外国人だから」という理屈は通りません。第2に、問われるのは結論ではなくプロセスです。判決は、継続可能性の調査を全く行わなかったことを問題にしました。制度上とり得る選択肢を検討し、その過程を記録することが、そのまま法的防御になります。第3に、同意書は結論を守りません。署名の存在ではなく、署名に至る過程の任意性が見られます。
外国人材を受け入れている企業、監理団体、登録支援機関の経営者・人事担当者の方は、まず「妊娠の申出があったときの初動手順」を1枚にまとめるところから始めてください。この判決が突いたのは、まさにその初動の不在でした。
|
外国人材の妊娠・出産対応、マタニティ・ハラスメントの申告対応、就業規則の点検はお任せください 特定社会保険労務士が、初動フローの設計から監理団体との調整、紛争化した場合の対応まで伴走します。まずはお気軽にご相談ください。 |
|
【根拠法令・参考資料】 ・男女雇用機会均等法9条3項、同法施行規則2条の2 |
|
【免責事項】 本記事は2026年8月24日時点の公表情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。本記事は判決文を直接確認したものではなく、報道および原告支援団体の公表資料に基づく再構成を含みます。認容額・請求額・当事者名・適用条文等については、判決文または労働判例誌への登載を待って確認してください。個別の対応に当たっては、必ず社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。 |
|
AUTHOR / 執筆者 三重 英則(みえ ひでのり) 社会保険労務士法人T&M Nagoya 社員 特定社会保険労務士(SRP認証番号 第160175号)/経営心理士/経営法曹会議賛助会員 当法人は、名古屋を拠点に「経営者と共に歩き、最善の解を導き出す」をミッションとして、就業規則の整備・労務監査・労働紛争対応・人事制度設計まで、中小企業からIPO準備企業までを伴走支援しています。 |