| 労務管理・テレワーク テレワークガイドラインの実務活用と 働き方改革の新潮流【2026年版】 2026年4月15日 | 社会保険労務士法人T&M Nagoya |
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| コロナ禍を経て定着したテレワーク(在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務)は、現在では多くの企業で当たり前の働き方となりました。しかし、実際の運用においては、労働時間管理、費用負担、安全衛生、コミュニケーションなど、さまざまな課題が残されています。 本記事では、厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の内容を整理し、実務上の活用ポイントを解説します。 |
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1. テレワークガイドラインの位置づけ
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| ▍ガイドラインの概要 厚生労働省は、令和3年(2021年)3月25日に「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を改定しました。その後も令和6年度版のパンフレットを公開するなど、運用の普及に努めています。 このガイドラインは、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことができる良質なテレワークを推進することを目的としています。テレワークの導入と実施に当たり、労務管理を中心に、労使双方にとって留意すべき点や望ましい取り組みが明らかにされています。 なお、ガイドラインは法律そのものではないため法的強制力はありませんが、労働基準法や労働安全衛生法の解釈に基づく内容であり、労基署の調査の際に指摘される可能性があります。 |
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| ▍テレワークの3つの形態 ガイドラインでは、テレワークを以下の3つの形態に分類しています。
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2. テレワーク導入時の労務管理のポイント
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| ▍(1)労働条件の明示 テレワークを導入する際は、就業規則等において以下の事項を明確に定める必要があります。
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| ▍(2)労働時間の把握 テレワーク下でも、使用者には労働時間を適切に把握する義務があります(労働安全衛生法66条の8の3)。 ガイドラインが示す把握方法は以下のとおりです。 @ 客観的な記録による把握 パソコンの使用時間の記録、クラウド勤怠システムの打刻等による方法です。 A 労働者の自己申告による把握 自己申告の正確性を担保するためのルール整備が必要です。必要に応じて実態調査を行い、正確な労働時間の把握に努めることが求められます。 |
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| ▍(3)中抜け時間の取扱い テレワーク中に、私用のために一時的に業務から離れる「中抜け時間」の取扱いについては、以下の方法が考えられます。 ● 休憩時間として扱う ― 始業・終業時刻の繰り下げ等で調整 ● 時間単位の年次有給休暇として扱う ― 労使協定があれば可能 企業としては、あらかじめ取扱いを就業規則等で明確にしておくことが望まれます。 |
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| ▍(4)通信費・光熱費の負担 在宅勤務では、通信費、電気代、備品等の費用が発生します。これらの費用をどちらが負担するか、明確にする必要があります。 ● 会社負担 ― 定額の在宅勤務手当として支給する方法が一般的です。 ● 従業員負担 ― 業務に必要な費用を従業員に負担させる場合は、就業規則への明記が必要です(労基法89条5号)。 |
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3. 長時間労働対策
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| テレワークでは、仕事と生活の境界が曖昧になりやすく、長時間労働のリスクが指摘されています。ガイドラインでは以下の対策を推奨しています。 (1)時間外・休日・深夜のシステムアクセス制限 業務用システムへのアクセスを時間外・休日・深夜に制限することで、時間外労働を物理的に抑制する方法です。 (2)メール送付の抑制 時間外・休日・深夜に業務上のメールを送付することを組織的に抑制します。 (3)勤務時間外のサテライトオフィス使用制限 サテライトオフィスの使用時間を限定することで、長時間労働を防ぐ取り組みです。 |
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4. 安全衛生の確保
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| ▍(1)作業環境の整備 テレワーク(特に在宅勤務)では、作業環境が労働者の自宅に依存するため、適切な作業環境を確保することが課題です。 ガイドラインでは、以下のチェックリストの活用を推奨しています。 ● 事業者用チェックリスト ― テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのもの ● 労働者用チェックリスト ― 自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのもの
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| ▍(2)メンタルヘルス対策 テレワークでは、孤立感やストレスを感じる労働者が増える傾向があります。以下のような対策が有効です。 ● 定期的な1on1ミーティング ― 上司と部下の個別面談を定期開催 ● 雑談機会の創出 ― オンラインでの雑談タイムの設定 ● ストレスチェックの実施 ― 2025年5月の改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場でも義務化が決定済み(施行は公布後3年以内、最長2028年5月まで) ● 産業医面談の機会確保 ― オンライン面談の活用 |
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5. 労働災害(労災)の取扱い
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| ▍在宅勤務中の労災認定 在宅勤務中のけがや病気も、業務起因性と業務遂行性が認められれば労災として認定されます。
労働者がテレワーク中に負傷した場合、速やかに労基署へ相談し、労災申請の可否を判断することが重要です。 |
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6. 中小企業におけるテレワーク導入の課題
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| ▍課題@ ICT環境の整備 中小企業では、テレワークに必要なICT環境(VPN、クラウドサービス、セキュリティ対策等)の整備がコスト面で課題となることがあります。
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| ▍課題A 対面コミュニケーションの減少 テレワーク導入により、対面でのコミュニケーションが減少し、業務上の意思疎通や人間関係の構築が難しくなるケースがあります。 ● 週1〜2日の出社日設定(ハイブリッドワーク) ● オンラインでの朝礼・定例会議 ● チャットツールの活用 |
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| ▍課題B 評価制度の見直し 「働いている姿が見えない」テレワーク環境では、従来のプロセス重視の評価制度が機能しにくくなります。成果主義への移行や評価基準の明確化が求められます。 なお、ガイドラインでは、テレワークで働く人とオフィスで働く人とで不合理な評価差をつけることは不適切であるとしています。 |
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7. 2026年以降のテレワークを取り巻く動き
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| ▍(1)労働基準法改正の動向 厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」は2025年1月に報告書を公表し、約40年ぶりとなる労基法の大幅改正に向けた提言を行いました。テレワークに関連する論点も含まれています。
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| ▍(2)「場所にとらわれない働き方」の拡大 テレワークの普及は、ワーケーション(休暇中の一部勤務)、地方移住しながらの都市部企業勤務など、場所にとらわれない働き方を可能にしています。これに伴い、通勤手当の取扱いや労働時間管理などの新たな課題も生じています。 |
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8. まとめ ― テレワークを「制度」から「文化」へ
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テレワーク導入から数年が経過した現在、多くの企業で以下のような課題が顕在化しています。
これらの課題を解決するには、単にテレワークを「制度」として運用するだけでなく、企業文化として根付かせる必要があります。経営層のコミットメント、継続的な改善、そして従業員の声を反映する仕組みが不可欠です。 社労士として経営者の皆様にお伝えしたいのは、テレワークは「特別な働き方」ではなく「当たり前の選択肢の一つ」となりつつあるということです。自社の業種・業務内容に応じた最適な運用を模索し続けることが、人材確保・定着の競争力につながります。 |
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根拠法令・参考資料
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