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作成日:2025/06/18
◆「カスハラ対策法」ホムペジ掲載用まとめ(改正法対応版)

202564日、顧客などによるカスタマハラスメント(以下「カスハラ」)への対策を、全ての事業主の「雇用管理上の措置義務」として明記する方向で、労働施策総合推進法の改正案が参議院で可決・成立しました。施行は公布後1年6か月以内、早ければ202610月頃と見込まれています。

 

1.制度化の背景

カスハラは、従来、刑法や軽犯罪法などの範囲での個別規制にとどまり、横断的な法整備がありませんでした。

東京都が202410月に全国初の「カスハラ防止条例」を制定・施行(202541日)、法整備の追い風となっています。
組合・労働現場からの声を背景に、202564日に国会での法整備が実現しました。

 

2.改正法の主な規定と対応すべきポイント

改正項目

内容のポイント

企業(事業主)の対応

@  雇用管理上の措置義務化

従業員が就業中にカスハラにさらされないよう、

相談対応・抑止策など必要な仕組み整備を義務化(法331項)

相談窓口・対応体制の整備、

マニュアル化・文書化、報告

・記録体制構築

A  不利益取扱禁止規定

カスハラ相談等を理由とする解雇・不利益な扱いを禁止(法332項)

不利益取扱い防止の啓発、

処分実施時の客観的記録と

根拠整理

B  協力義務(努力義務)

他の事業主や国の啓発活動への協力義務(法333項・34条)

協力姿勢の明文化、研修・

広報体制の整備

C  国の指針整備

厚労大臣が措置義務の実効性確保のための指針を策定(法334項)

指針に基づく体制構築、

社内展開と周知

D  労働者・顧客の努力義務明記

関心と理解を促進し注意を払うよう求める(法34条)

研修に顧客対応含む、

社内掲示・広報に活用

 

3.カスハラとは?

「社会通念上許容される範囲を超え、従業員の就業環境を害する顧客等の言動」と法律上定義されます。例として:

l 返品や交換を強要

l 従業員への暴言・身体的嫌がらせ(唾・物の投げつけなど)

l 土下座や長時間の威圧的叱責など

 

4.今後のスケジュル

(1)202564日:改正法成立

(2)202610月頃まで:政令で施行日指定(公布後16か月以内)

今後:厚労省の指針策定、社内マニュアル公開、研修コンテンツの充実、運用状況の内部検証が必要です。

 

5.企業に求められる対応(早期取組例)

(1)社内方針の策定・周知(トップメッセジ・社内掲示)

(2)相談窓口と対応フロの整備・文書化

(3)対応マニュアル・報告様式の整備

(4)管理監督者・社員向け研修の実施

(5)記録・調査体制の構築(事実確認と対応履歴)

(6)指針発出後の体制再点検と反映

 

6.まとめ

今回の改正は、従来の条例やマニュアルだけでは不十分とされたカスハラ対策を、国として義務化したものであり、事業主には責任と体制整備が強く求められます。特にBtoC業務を行う企業にとっては、早期対応が重要です。2026年施行に向け、今のうちから相談窓口やマニュアル、研修体制などの整備に着手されることをおすすめします。

 

ご不明点や具体的な体制作りのご相談は、三重総合社労士事務所までお気軽にお問い合わせください。