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作成日:2025/06/17
【群馬県労働委員会、運送会社のビラ配布後の従業員聴取を不当労働行為と認定】

群馬県労働委員会(新井博会長)は、合同労働組合が運送会社の営業所前でビラ配布を行った後、会社がそのビラを受け取った従業員に対して行った事情聴取について、不当労働行為であると認定しました。この聴取は反組合的な意図に基づいていたとして、会社による支配介入に該当するとの判断が下されました。

 

Ø  背景

令和4年12月、組合と同社は雇用契約に関する問題で団体交渉を開催。その後、組合は令和5年1月9日と10日の朝に会社の営業所前でビラを配布しました。9日には、会社がビラを受け取った従業員19人に対して聴取を行い、そのビラも回収しました。

 

Ø  会社の主張

会社は、従業員の車を止めるなどの危険行為があったことを理由に、安全管理上の必要性から聴取を実施したと主張しました。しかし、群馬県労働委員会は、組合に対して危険行為を避けるよう要請した事実がなく、聴取後の行動にも特に対応が見られなかったことから、会社の主張を認めませんでした。

 

Ø  労働委員会の判断

同労委は、ビラ配布が組合活動として認められるものであり、聴取が「会社が組合活動に対して警戒感を抱いていることを示すもの」と評価。結果として、この行為が不当労働行為であると判断し、ポストノーティスなどの命令が下されました。

 

Ø  ポストノーティスと不当労働行為の認定

ポストノーティスとは、従業員に対して会社が不当な行為を行ったことを公表し、再発防止の意図で行われる通知です。今回のケースでは、会社の行動が組合活動に対する不当な干渉として認定されたため、ポストノーティスを命じられました。もし会社が、例えば、事前に組合に対して、聴取を行う際の安全管理上の必要性を真摯に説明し、聴取後の実態確認から会社として何を問題視したか等についてまで説明をおこなっていれば、今回のような判断を受けることはなかったでしょう。

 

 

この事例は、企業における労使関係において、労働組合活動に対する配慮と適切な対応が求められることを改めて示したものと思います。