労働契約における「退職日」をめぐって、東京地裁が企業側の指定を“実質解雇”と認定した判決が示されました(令和7年5月22日判決)。
本件は、退職日を労働者が申し出た日よりも早めに企業が設定し、実際に退職させたという事案。裁判所はこの対応について、労働者の真意による同意がなかったとし、解雇予告手当および同額の付加金の支払いを命じました。
この判決のポイントは以下の通りです:
このような判断は、「形式的な同意」があったとしても、それが実質的な合意か否かを厳しく問うものです。労働契約終了時の同意文書には、署名・押印があったとしても、説明責任や不利益の有無、本人の納得度が欠けていれば、無効と判断されるリスクがあります。
【三重総合社労士事務所からの視点】
企業が労働者の退職希望日よりも前倒しで退職日を指定する場面は、特にトラブルの多い局面です。「退職合意書」や「誓約書」などを用いたとしても、その運用や手続きが適正でなければ、今回のように“解雇”とみなされかねません。
実際、当職が相談を受けた事案ですが、年次有給休暇未消化分の私用回避目的や感情的になって退職日を前倒しにしようとしたことがありました。この時も、この裁判例と同様に、労働者が退職日を指定した後、会社が一方的に退職日を早めると、それは解雇と判断されるリスクがありますよ、とアドバイスをしてきたのですが、そこに契約書同には「真の同意論」が求められています。
当事務所では、以下のような支援を通じて企業のリスクを最小限に抑えるサポートを行っています:
退職にまつわるトラブルは、企業の信用にも大きく影響するものです。企業の意向と労働者の権利のバランスを取りながら、法的リスクを回避するための適切な設計と対応が求められます。
「形式ではなく、真の合意か?」
この問いに、企業が自信を持って答えられる体制づくりを、私たちが伴走支援いたします。