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作成日:2026/02/04
退職理由の変化と退職代行利用の実態 ― 長時間労働から成果圧力へ

近年、退職代行サービスを利用して退職する労働者の存在が注目されています。株式会社パーソル総合研究所が20258月から9月にかけて実施した調査によると、5年以内に離職経験のある正社員のうち5.1%、約20人に1人が退職代行を利用している実態が明らかになりました 。

特に注目すべきは離職要因の変化です。かつては長時間労働が主な理由でしたが、現在では「求められる成果が重すぎる」「受けている評価に納得できない」といった精神的負荷が上昇しています 。過去6年間で月に40時間以上の残業をする離職者は半減しており、労働時間そのものよりも、上司からの期待や成果主義に伴うプレッシャーが離職の引き金となっています 。

 

退職代行の利用者像は、20代から30代の若年層が約5割を占め、前職の在籍期間が1年未満の割合が約4割と、一般の離職者に比べて早期離職の傾向が強いのが特徴です 。利用の背景には、直属の上司との関係悪化やハラスメント経験が多く、利用者全体の約4割が上司からのハラスメントを経験しています 。一方で、利用者の性格特性としては外向性や開放性が高く、決して無責任なわけではありません 。むしろ「自分がいなくなると業務が滞るのではないか」という強い責任感や、周囲への「申し訳なさ」を抱えつつも、上司への恐怖心や相談相手の不在によって代行サービスを選ばざるを得ない状況が示唆されています 。

 

利用後のトラブルについては、勤務先との金銭トラブルが23.1%と最多ですが、全体の約半数は特にトラブルなく退職できています 。運営主体は民間企業が44.2%、労働組合が30.8%となっており、サービスの選択肢も広がっています 。

 

本調査は、現在の職場環境における「人間関係の希薄化」にも警鐘を鳴らしています。現役の正規雇用者の61.4%が「社内にキャリア相談できる相手がいない」と回答しており、上司一人がコミュニケーションの窓口となることで、その関係が崩れた際に行き場を失う構造が見て取れます 。

 

人事・労務管理への示唆

企業は退職代行の利用を「個人の資質の問題」と片付けるのではなく、組織内の育成支援体制やコミュニケーション構造を見直す機会とすべきです。具体的には、ハラスメントの早期発見・対応はもちろん、バディ制度やメンタリング導入による「上司以外にも話せる網の目のような相談環境」の構築が、離職リスクの低減の一つの手段として有効と考えます 。また、成果を求めるだけでなく、納得感のある評価フィードバックを仕組み化し、従業員が孤立せずに成長を実感できる環境づくりが求められているとも考えます 。


【出典:株式会社パーソル総合研究所「離職の変化と退職代行に関する定量調査」