2025年9月、厚生労働省より「令和6年度の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況について」が公表されました。
この報告書は、労働局が企業に対して実施した相談対応・是正指導の集計をまとめたものです。対象となる法律は、以下の4つです。
(1)男女雇用機会均等法
(2)労働施策総合推進法(パワハラ防止)
(3)パートタイム・有期雇用労働法
(4)育児・介護休業法
令和6年度は、全体で【202,311件の相談】、【44,436件の是正指導】が実施されました。
とりわけ注目すべきは「パートタイム・有期雇用労働法」に関する是正指導の増加です。
【1】是正指導の約6割が「パート・有期雇用」に集中
今年度の是正指導の内訳を見ると、パートタイム・有期雇用労働法に基づく指導が28,299件(全体の63.7%)と、過半数を大きく占めました。
中でも多かった指導項目は次のとおりです:
(1)第6条第1項【労働条件の文書交付等】:6,899件
(2)第14条第1項【待遇差の理由説明義務】:4,612件
(3)第13条【通常労働者への転換】:3,821件
(4)第8条【不合理な待遇の禁止】:3,653件
これは、非正規労働者の処遇改善が企業経営にとって「避けられない課題」となっていることを示唆しています。
【2】相談件数最多は「育児・介護休業法」
相談全体の半数以上(51.3%)にあたる103,821件が、育児・介護休業法に関するものでした。
育児休業をはじめとする育児関連の相談が多く、働く親を取り巻く環境への対応が企業に強く求められています。
【3】パワハラ防止措置に関する指導も2,720件
労働施策総合推進法に基づく指導件数は2,720件にのぼり、パワハラ対策の実施義務違反が主な内容です。
研修・体制整備・相談対応の仕組みは、単なる努力義務ではなく「法令遵守項目」として問われています。
【4】是正指導された企業の「9割以上」が改善済
報告書によれば、是正指導を受けた企業の90%以上が年度内に改善措置を講じたとされています。
これは、是正指導が「行政指導にとどまらず実質的な改善圧力」となっている現状を物語っています。
【社労士からの提案】“うちは大丈夫”の先にあるリスク
こうした是正件数の多さは、企業が「知らないうちに違反状態にある」可能性を示しています。
特に、以下のような企業様は要注意です
(1)非正規社員が一定数以上在籍している
(2)処遇制度に説明義務を明示していない
(3)ハラスメント防止研修を行っていない
(4)育児・介護に関する制度が整備不十分
三重総合社労士事務所では、パート・有期雇用者向けの待遇規程の整備支援や、説明義務を果たすためのツール提供、ハラスメント対策体制の整備などをサポートしています。
自社の雇用環境を整えることは、「労使トラブルの未然防止」だけでなく、「採用力・定着力の強化」につながる重要な経営戦略です。
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