2025年8月7日に人事院より発表された給与改善勧告により、通勤手当の非課税限度額の一部について2025年4月付での遡及的な引き上げが見込まれています。
◆ 引き上げの概要(予定)
(1)新設区分(2026年4月〜):自動車等通勤者向けに「65 km以上〜100 km以上」の距離区分を追加し、上限を66,400円に引き上げ
(2)既存区分の見直し(2025年4月から遡及適用):現在「60 km以上」の区分が、200円〜7,100円の幅で引き上げ予定
(3)駐車場等利用手当(2026年4月〜):月額最大5,000円の新設
特に、2025年4月からの遡及適用については年末調整の際に所得税の調整が必要になる可能性があります。国税庁からの通知や税務署との確認をお忘れなく。
対象となる企業・担当者の方は、通勤手当に関する制度変更が、給与計算や税務処理にどのような影響を与えるか把握し年末調整の前には最新情報の確認と社内連携を進めましょう。
【Q&Aでわかる】2025年以降の通勤手当・非課税限度額の改正ポイント
2025年から順次変更が予定されている「通勤手当の非課税限度額」について、企業の労務担当者や経理部門の方が押さえておきたいポイントをQ&A形式でまとめました。
n Q1. 何が変わるのですか?
ü A1. 主に以下の3点です。
@ 自動車等による通勤者向けに、通勤距離「65km以上〜100km以上」の新しい区分が設けられ、非課税限度額が最大66,400円に引き上げられます。(2026年4月から適用予定)
A 現在「60km以上」の区分についても、非課税限度額が200円〜7,100円程度引き上げられます。(こちらは2025年4月に遡って適用予定)
B 自動車通勤者に対し駐車場代などの実費を最大月5,000円まで非課税とする新制度が創設されます。(2026年4月から適用予定)
n Q2. なぜこのような変更が行われるのですか?
ü A2. 国家公務員の給与改善に関する人事院勧告(2025年8月7日)を受けて、民間企業でも通勤手当の非課税枠が見直される流れです。特に遠距離通勤者の負担軽減が主な目的です。
n Q3. 変更はいつから適用されますか?
ü A3. ポイントは次の通りです:
C 2025年4月から遡って適用される項目あり(A)
D 2026年4月から新制度が開始(@・B)
とくにAの遡及適用は2025年末の年末調整や所得税処理に影響を与える可能性があります。
n Q4. 実務にどんな影響がありますか?
ü A4. 次のような対応が求められます:
E 年末調整での非課税限度額の再計算
F 給与計算システムや就業規則の見直し
G 社内通達の更新
H 該当従業員への説明・通知
n Q5. 会社として今やっておくべきことは?
ü A5. 現時点でできる対応は以下のとおりです:
I 最新の国税庁通達や税理士等のアドバイスに目を通す
J 通勤距離や手当額の現状把握
K 就業規則に「非課税上限額を支給する」としており、かつ、「非課税限度額の金額そのものが定められている場合」は、変更する必要がある
n Q6. 今後の情報はどこで確認すべきですか?
ü A6. 国税庁のWebサイトなどで、最新の情報を逐次確認することが重要です。
【まとめ】
2025年以降、通勤手当の非課税限度額に大きな見直しが予定されています。とくに「遡及適用」と「新設手当」については実務対応のタイミングに注意が必要です。
情報収集を怠らず、社内体制の整備を早めに進めておきましょう。