2025年8月4日、厚生労働省・中央最低賃金審議会は「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安」を答申しました。今回の目安に従って各都道府県で改定が行われた場合、全国加重平均は1,118円(前年度比+63円/上昇率6.0%)となり、目安制度開始以来の「最高額・最高幅」の更新が見込まれます(令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について)。
――― 目安のポイント ―――
◆ 引上げ額の目安
Aランク:+63円(埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪)
Bランク:+63円(28道府県)
Cランク:+64円(13県)
◆ ランク別の引上げ率(加重平均)
Aランク 5.6%/Bランク 6.3%/Cランク 6.7%
◆ 今後の流れ
▽ 地方最低賃金審議会での調査・審議
▽ 各都道府県労働局長が10月頃までに地域別最低賃金額を決定・公示
▽ 発効(例年10月〜11月上旬)
――― 企業・人事ご担当者への示唆 ―――
1. 予算・人件費シミュレーションの前倒し
最低賃金下限を時給換算するアルバイト/パートだけでなく、正社員や契約社員の日給・月給者にも影響が及ぶ場合があります。直近の賃金分布を洗い出し、10月発効を想定したコスト試算を進めましょう。
2. 賃金テーブルの構造見直し
下限上昇で「等級間の逆転」や「新人と既存社員の賃金差縮小」が起きる可能性があります。等級基準や評価制度を合わせてアップデートし、処遇バランスを保つことが重要です。
3. 同一労働同一賃金リスクの再点検
最低賃金改定に伴い、パート・有期雇用者の基本給や各種手当とのバランスが崩れることがあります。待遇差説明義務への対応もセットでご確認ください。