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作成日:2025/07/08
【社労士解説】厚労省が「スポットワーク」の労務管理に注意喚起 〜企業に求められる対応とは?

単発・短時間勤務の「スポットワーク」の活用が広がる中、厚生労働省は202574日、業界団体であるスポットワーク協会に対し、企業の適切な労務管理を求める通知を行いました。これを受け、大手仲介アプリのタイミーも、9月から「応募時点で労働契約が成立する」運用へとサービス方針を変更します。

 

◆厚労省通知の背景とポイント

 厚労省による通知は、全国の労働局に寄せられている相談(賃金不払い、求人内容との相違など)を受けたものです。同省は、スポットワークが「直接雇用」の形態で行われることを前提に、企業が労働基準法などの法令を遵守する必要性を強調しています。

 

同時に公表されたリーフレット「『スポットワーク』の労務管理」(厚労省)では、使用者向けに次のような留意点が示されています。

 ◆厚労省リーフレットの主な内容(使用者向け)

1.

項目

使用者が留意すべき点

労働契約の成立時期

求人への応募完了時点で労働契約が成立する場合が多い

労働条件通知書の交付

労働基準法15条に基づき、労働条件を明示した書面等を交付する義務

キャンセル対応

使用者側の都合で契約解除する場合、休業手当の支払い義務が発生

労災補償

契約成立後、通勤中の事故も労災保険の「通勤災害」の対象

(出典:「『スポットワーク』の労務管理」(厚生労働省))

 

◆タイミーの運用変更(20259月〜)

タイミーは「勤務当日のチェックイン時に契約成立」から「求人応募完了時点で契約成立」に方針転換します。この変更により、

  • 使用者都合のキャンセルは原則不可
  • 不可抗力以外の中止は休業手当(平均賃金の60%)の支払い対象
  • 労働者側キャンセルのペナルティ規定も24時間前へ緩和

といった運用ルールが適用されます。

 

◆企業に求められる対応ポイント

1. 労働条件通知書の適正交付

 雇用契約成立後、速やかに書面等で労働条件を通知

2. キャンセル時のリスク管理

 不可抗力でない場合、休業手当支払い義務を認識

3. 労災保険の加入確認

 スポットワーカーも労働者として労災対象

4. 社内フローの見直し

 スポットワーカー受入時の契約・就業管理体制の構築

 

◆まとめ:スポットワークは「特例」ではない

スポットワークは柔軟な雇用形態ですが、労働関係法令の適用を免れるものではありません。厚労省も「適切な労務管理の徹底」を企業に求めており、対応を誤れば未払賃金や労災トラブルなど法的リスクに発展する可能性があります。

 

三重総合社労士事務所では、スポットワーカー受入れに伴う契約管理や就業規則の見直し支援を行っています。制度変更の今こそ、自社の運用を点検しませんか。

 

📌 参考資料

 [厚生労働省『スポットワーク』の労務管理(リーフレット)]