厚生労働省は令和5年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。
1.脳・心臓疾患に関する労災補償状況
●請求件数;1,023件(前年度比 +220件、+27%) うち死亡件数;247件(前年度比 +29件)
●支給決定件数;214件(前年度比 +20件、+10%) うち死亡件数;56件(前年度比 +2件)
2.精神障害について
⑴ 請求件数の大幅増加: 精神障害の請求件数が3,575件と33%増加しており、特に精神的ストレスが深刻化していることを示しています。
コロナ禍の影響が大きい可能性があります。
⑵ 自殺関連の増加: 自殺や未遂の件数が前年度比で29件増加しており、精神的負担が労働者に及ぼす影響が重大であることがわかります。
⑶ 支給決定件数の増加: 支給決定件数が24%増加し、精神障害に対する労災認定が進んでいることを示しています。
これも、労働者の権利意識の向上や制度の浸透が影響していると考えられます。
3.総じて・・・
⑴ 過労やストレスの深刻化: 脳・心臓疾患および精神障害の両方で請求件数と支給決定件数が増加していることから、
過労や職場のストレスが依然として深刻な問題であることが伺えます。何らかの対策が求められるところと考えます。
⑵ 新型コロナウイルスの影響: 特に精神障害の請求件数が大幅に増加していることから、新型コロナウイルス感染症の拡大が労働者のメンタルヘルスに
大きな影響を与えている可能性があります。そして、生活環境や働き方の変化がストレス要因となっていることが考えられます。
⑶ 労働環境の改善の必要性: これらのデータは、労働環境の改善が急務であることを示しています。
企業は労働者の健康管理を強化し、過労やストレスを軽減するための対策を講じる必要があると考えられます。