あなたの会社では、月に何時間くらいから「今月は残業が多いな」と感じますか?
この「残業が多い」と感じる感覚、実は役職によって大きな差があることが、MENTAGRAPH社が実施した調査によって明らかになりました。
今回は、管理職と非管理職(一般社員)の間で浮き彫りになった、残業時間に対する認識のギャップについて、調査結果をもとに詳しく解説します。
n調査概要
本記事で参照する調査の概要は以下の通りです。
・ 調査元: MENTAGRAPH株式会社
・ 調査期間: 2023年6月26日〜7月3日
・ 調査対象: MENTAGRAPHサービス登録者(企業の人事担当者、管理職、一般社員など)
・ 有効回答数: 234人
・ 調査方法: インターネット調査
n「残業が多い」と感じる基準、一般社員は「月20時間」から
まず、非管理職である一般社員が「残業が多い」と感じ始める時間について見ていきましょう。
調査結果によると、最も多かった回答は「月20時間から」で、全体の31.1%を占めました。これは、1日の所定労働時間を8時間、月の勤務日数を20日と仮定すると、毎日1時間程度の残業が続く状態に相当します。
次いで多かった回答は以下の通りです。
・ 月30時間から: 25.5%
・ 月40時間から: 18.1%
この結果から、一般社員の半数以上(56.6%)が、月の残業時間が20時間または30時間を超えたあたりから、負担に感じ始めていることがわかります。
n 管理職が「残業が多い」と感じるのは「月40時間」から
一方、部下をマネジメントする立場にある管理職は、残業に対してどのように感じているのでしょうか。
管理職で最も多かった回答は「月40時間から」で、28.2%でした。一般社員で最多だった「月20時間」と比べると、20時間もの差があります。
管理職の回答の内訳は以下のようになっています。
・ 月30時間から: 25.6%
・ 月20時間から: 17.9%
管理職は、一般社員よりも長い時間の残業を許容している傾向が見られます。これは、自身の業務量の多さや責任の重さから、ある程度の残業を「仕方ない」と考えている層が一定数いることの表れかもしれません。
n 認識のギャップが職場に与える影響
今回の調査で最も注目すべき点は、一般社員が「多い」と感じ始める残業時間(20時間)と、管理職が「多い」と感じ始める時間(40時間)との間に、大きな隔たりがあることです。
この認識のギャップは、職場において以下のような問題を引き起こす可能性があります。
・ 業務量の割り振り: 管理職が「まだ大丈夫だろう」という感覚で業務を割り振った結果、部下が心身ともに大きな負担を感じてしまう。
・ コミュニケーション不足: 部下は「残業が多くて辛い」と感じていても、「上司は平気そうだから言い出しにくい」と感じ、不満を溜め込んでしまう。
・ 離職リスクの増大: 残業に対する負担感や、上司との認識のズレが積み重なり、エンゲージメントの低下や離職につながる。
上司と部下が円滑な関係を築き、健全な職場環境を維持するためには、お互いの「感覚」の違いを理解し、客観的な「時間」という指標に基づいてコミュニケーションを取ることが非常に重要と言えるでしょう。
n まとめ
今回の調査結果は、役職や立場によって「残業」というものに対する捉え方が大きく異なることを示唆しています。
管理職の方は、「自分たちの基準」が必ずしも部下と同じではないことを認識し、定期的な面談などを通じて部下の業務負荷を正確に把握する努力が求められます。また、一般社員の方も、自身の状況を客観的な数字で具体的に伝え、上司に相談することが大切です.
健全な労務管理と生産性向上のためにも、あなたの職場の「残業」について、一度見直してみてはいかがでしょうか。
出典: ITmediaビジネスオンライン(2025年9月9日掲載記事)
「残業多い」と感じる基準、管理職は40時間 非管理職は何時間から?:MENTAGRAPH調べ