作成日:2024/12/20
2025年施行予定の人事関連法改正について解説
2025年施行予定の人事関連法改正について解説
2025年は、多くの人事関連法令の改正が予定されており、企業はこれらに対応した就業規則の整備が求められます。本記事では、施行が予定されている法令の改正内容と、企業が留意すべきポイントを分かりやすく解説します。
1. 育児・介護休業法の改正(2025年4月1日・10月1日施行予定)
育児・介護休業法および次世代育成支援対策推進法が、より柔軟な働き方を実現するために改正されます。以下の内容が順次施行される予定です。
2025年4月1日施行
- 残業免除対象範囲の拡大:3歳以上、小学校入学前の子どもを持つ親も残業免除の対象となります。
- 子の看護休暇の対象拡大:学校行事への参加なども休暇取得の対象に含まれます。
- 育児休業取得状況の公表義務化:従業員300人超の企業では、育児休業の取得状況を公表する義務が課されます。
- 介護離職防止策の強化:介護者への個別周知や意向確認、情報提供が義務付けられます。
2025年10月1日施行
- 育児期の柔軟な働き方の導入:企業は従業員の意向に応じた柔軟な働き方を導入する義務を負います。
- 妊娠・出産期の支援強化:仕事と育児の両立を支援するため、従業員の意向を聴取し、それに基づいた配慮を行うことが求められます。
2. 高年齢者雇用安定法の経過措置終了(2025年3月31日)
高年齢者雇用安定法に基づく特例措置が終了し、2025年4月1日以降、希望者全員を対象とした継続雇用制度の適用が義務化されます。これにより、2013年以前に労使協定を締結していた企業も例外なく、全ての希望者を対象にした制度運用が必要となります。
3. 雇用保険法等の改正(2025年4月1日・10月1日施行予定)
雇用保険制度の見直しが行われ、以下のような新たな施策が導入されます。
2025年4月1日施行
- 自己都合退職者の失業給付制限解除:教育訓練を受けた場合、給付制限が解除されます。
- 育児休業給付率の改定:保険料率の引き上げや弾力的な仕組みの導入が行われます。
- 新たな給付制度の創設:「出生後休業支援給付」や「育児時短就業給付」が設けられます。
- 高年齢雇用継続給付率の引き下げ:給付率が15%から10%に引き下げられます。
2025年10月1日施行
- 教育訓練休暇給付金の導入:労働者が学び直しやスキルアップを図るための給付制度が新設されます。
4. 障害者雇用促進法の改正(2025年4月1日施行)
障害者雇用促進法の改正により、以下の義務が新たに適用されます。
- 障害者雇用の除外率引き下げ:これまで除外されていた業種でも一定の障害者雇用が必要となる可能性があります。
- 企業の雇用義務強化:障害者雇用に向けた体制整備が一層求められます。
5. 改正労働安全衛生法の施行(2025年4月1日施行)
労働者の安全を確保するため、以下のような措置が義務付けられます。
- 危険箇所での退避や立入禁止措置の拡大:作業従事者だけでなく、現場にいる全ての関係者が対象に含まれます。
- 請負人への保護具使用義務の周知:一人親方や下請業者に対しても保護具の使用義務が課されます。
まとめ:企業が準備すべき対応
2025年施行の法改正では、育児支援、高齢者雇用、障害者雇用、労働安全対策など、多岐にわたる領域での対応が求められます。これらの改正に対応するためには、以下のような準備が必要です。
- 就業規則の見直し:改正内容を反映した規則整備が重要です。
- 従業員への周知と研修:新たなルールや制度を従業員に分かりやすく伝える機会を設けましょう。
- 社労士や専門家の活用:法改正の影響を最小限に抑えつつ、適切な運用を行うための助言を受けることが有効です。
これらの改正内容を正しく理解し、早めの対応を進めることで、企業としての信頼性向上と労働環境の改善を図ることができます。