労務に関するお悩み | 企業の抱える様々な労使間の紛争・労働問題を解決に導く

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見直しが必要な就業規則

今、多くの企業において、就業規則の改正は必要と考えます。
真っ先に浮かぶのが、「年次有給休暇の付与義務」の規定は改正が必要でしょう。
その他、法律改正が行われると、それに適応した内容に変更しなければ、それは労働基準法第89条を問われる場合があります。
そして、多くの企業は、就業規則、賃金規程、育児介護休業規程、嘱託規程等の名称で定めていると思いますが、その場合、「就業規則」だけではなく、例えば育児・介護休業法は2017年10月に改正されていますが、この場合、育児介護休業規程が、その内容に合致していなければ変更が必要となります。
よって、法改正が行われる場合は、多くがその変更処理が必要となり、見直しが求められます。

また、当職においても、複数重要なポイントがあると考えておりますが、一つここで紹介するのであれば、やはり「定義」は重要なポイントになると考えます。
多くの企業の就業規則には、必ずと言って良いほど、第1章の総則において従業員の定義を定めている傾向があり、その該当条項で、正社員、契約社員、パートタイマー、嘱託等の定義の内容が記されています。
しかし、多数の規則において、各種身分に関する定義・説明内容に問題があると考えます。
ここの定義は、別の頁で触れますが、日本版同一労働同一賃金論にも関わってくると考えますので、やはり大切と考えます。
ここから派生して、賃金規程においても、その規定の在り方に工夫する対応が求められると考えます。

厚生労働省において、2019年4月以降に施行される労基法等の規定を踏まえたモデル就業規則が公開されておりますが、新たにWEB上で就業規則と賃金規程を作成するツールも公開されていますので、自社で作成をする場合はこれを利用することも一つです。
(「スタートアップ労働条件」 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/index.html)。

なお、当職は、企業の担当者の方と一緒に確認しながら、逐条解説を行いつつ、必要に応じて従業員代表者等を交えて考え、規則規程を制定して参ります。
多くの企業から好評を得ている当職の提案する「規則規程」を、その目で確認してみてください。

1.労働契約締結の場面

企業の担当者が、一番最初に従業員に対して対応を行うのが、労働契約締結の段階、つまり、採用の場面です。
ここは、今後、その従業員と末永くお付き合いをできるか否かを見極め、採用した後は、会社の社業に貢献してもらうべく、その一旦を任せるのですから、それを見極めるため、とても大切な場面です。
この採用の場面は、非常に重要ですから、きっちりとした対応が求められます。一旦採用してしまうと、解雇は、日本においては、企業にとって、なかなか難しい側面があるからです。
そうであれば、面接の時点において、確認する事項、取り付ける書面、会社の要望等を明確に伝え、短い面接時間中にできる限りの対応をしておくことが、このご時世、不可欠です。
しかし、当職がこれまで確認していると、人手不足も相俟ってか、確認しなければならない事項を確認せず、採用後にそれが発覚し、どうすればよいのか、という相談が後を絶ちません。
この様な事態を招かないための企業対応が必要です。

2.労働条件変更の場面

労働条件の変更については、2つの対応が考えられます。一つは、就業規則によって労働条件を変更する場合、もう一つは、個別に労働者の同意を得て変更する場合です。
労働条件の変更については、原則、後者の同意の原則が法で定められております(労契法第8条)。つまり、従業員の同意(真意であること)が得られれば、労働条件は不利益変更であったとしても、変更できます
ただし、従業員から同意を得る場合、有利な面だけを説明し、不利な面を隠して説明し、同意書に署名を貰ったとしても、それは従業員が本当に理解した上で署名したものではく、本人の真意である同意とは認められないと判断されるリスクがあります(最近の裁判例として、東京地裁 H30.5.30判決 ビーダッシュ事件他)この点は非常に注意しなければなりません。
一方、就業規則による労働契約の変更はどうなのでしょうか。 従業員に有利な変更は争いにはなりませんよね、普通。問題は、不利益に変更する場合です。
労働契約法には、第9条と第10条にその定めがあり、原則、労働者合意のない就業規則による労働条件の不利益変更はできない、しかし、一定程度の要件を満たすことで、従業員の個別同意なくして不利益に変更することもできることを定めています。
この後半の10条については、企業規模等によって、その求められる程度は、自ずと異なるものと考えておりますが、企業側の一定程度の対応は求められると考えます。
その際、従業員に対して、きちんとした対応、例えば、説明や質問に対する回答は、当然に行う必要があります。
なお、不利益変更は、それが非常に問題がある様に言われることがあります。確かに、企業側が、不利益な変更だけを行使するのは問題であることが多いと思います。
そうではなく、不利益変更するにおいても、①不利益の程度を抑える、②代替の提案、といった「不利益の程度を極力小さくする」という対応は、企業側には必要と考えます。

3.服務規律違反等発生にかかる場面

企業は、ほぼ全ての就業規則に「服務規律」の条項や、「服務規程」として別規程を設けています。当職がこれまで確認してきた就業規則に、その程度に差はありますが、オフィス内、工場内、事務所内の行動ルール、会社として求める活動ルール、内容は様々ですが、会社の従業員として活動するために、集団的なルールを設けています。これらの項目がない就業規則は見たことがありません。
これは、集団生活の場において、従業員同士が円滑に業務を進められるよう、また、企業において、必ず遵守してもらう必要のある事項であって、例外なく、服務規律の内容を守ってもらうことにより、企業の発展を目指すものと考えます。
しかし、この服務規律を守らない従業員が、継続雇用の過程において、発生することがあります。
その服務規律違反に程度の差はありますが、企業としては、きちんとその場面場面において、対応をしていかなければ、折角定めた服務規律が機能しなくなり、あるいは、Aさんは罰してBさんは罰しない、という不公平も発生することが、これまでも何度も見てきました。
企業は、服務規律違反を確認した場合、都度、当該従業員に対して、対応を行う必要があります。

4.労働契約解消の場面

労働契約の終了場面では、①従業員からの申入れによるもの、②会社側からの申入れによるもの、が大きく分けられ、①は通常自己都合退職、②は解雇があります。
先ず、①の場面で紛争に発展することはないと考えられがちですが、最近は、退職の撤回届を提出していたとしても、それは労働者の真意に基づくものではないため、退職の撤回を要求してくるという問題も、何件も確認しております。
特に退職勧奨に絡んだ場面が目立ちます。

最近の新たな傾向として「退職代行会社」から、自己都合退職ではありますが、従業員に代わって会社に退職を申入てくるケースも確認されました。代替人を連れてこない限り退職をさせて貰えない、暴力を振るわれる、(根拠のない)金銭請求をされるという、どうしても代行業者等の介入が必要と考えてもやむなしという例も聞きますが、そういう例とはほど遠い態様であっても,退職代行会社から退職の申入がなされたことを、当職も確認しております。

次に、②の場面、つまり、会社側から労働契約の解消を申し入れる際に紛争に発展しています。冒頭でもお伝えしておりますが、日本では、一旦採用してしまうと、会社側から解消、特に解雇は、なかなか難しいのが現状です。特に、会社が解雇を実施した場合、労働者から「その解雇は不当だ」と言われて、紛争に発展しているケースが、最たる例ですね。
『不当解雇』のキーワードが、ネット検索でも非常に目立ち、様々な例や事案が紹介されており、解雇を発動する場面では、企業は、それなりの対応と戦略が必要な時代になっています。
事項都合退職の在り方もそうですが、会社側から労働契約を解消する場合は、実務でどの様に対応していくのか、検討が必要です

5.その他の場面

昨今、メジャーな言葉となってきた「メンタルヘルス」が例としてあります。これは、休職をさせる場合において、会社の就業規則等に定められた方法や対応に沿って、きちんと進める必要がありますが、ほとんどの中小企業においては、機能していないことが多いと実感しております。
最たる例が、労働者が診断書を持ってきて会社を休ませてほしいという申し入れがあり、会社は、それに対して何の対応もせず、ただただ欠勤させており、数か月後復職したいという申し入れに対して、会社は辞めさせたいという考えから、トラブルに発展しているケースです。
これは紛争に発展する典型例ですが、メンタルヘルスに限らず、休職を検討するにおいては、そのポイントごとに、きちんと対応していくことが、トラブル回避の最善策と考えます。
当職に相談を寄せられた内容をみると、その対応の問題の共通事項があります。それは、休職させる際に、その休職の説明がなされていないことです。
いつからいつまでが休職、休職期間中の処遇、復職を希望する際の手続、復職出来ない場合の取扱等々、何も説明されておらずいきなり休ませてしまっており、従業員は、休職期間中や復帰まで、自分はどうなるのか全くわからない状態で過ごしており、休職期間満了直前になって復職できないとし、紛争になるという展開です。

企業側の対応方法に問題があることも多いので、適正な手続を実行すべきところです。

労働者と何らかの紛争に発展してしまった場合

労働者と何らかの紛争に発展してしまった場合、適切な対応をしなければなりません。
放置は絶対にタブーです。迅速に対応して、誠実な対応が紛争の激化を回避できることが多くあります。勘違いしないでいただきたいことは、相手の要望に100%答えることが誠実な対応、ということではありません。
労働者からの主張・要望に対して、会社が考え得る、取り得る内容・対応をきちんと行うことが、誠実対応の一つと考えます。
そこで、当職は、次の4つの対応でもって、企業側の対応を一緒に行って参ります。

1.面接交渉補佐

労働契約締結後、労働契約を継続していく過程で、上記に掲げる場面を含め、何らかの問題が生じた場合、企業担当者と一緒に、当職も同席をして、紛争の対象となる労働者への対応を一緒に行います(なお、当職が単独で対応することは、法律上できません。ただし、次の「あっせん代理業務」を除きます。)。
労働問題は、当事者間において解決をすることが、何より一番良いと考え、企業も労働者も、同じように考えていると感じております。単に物売った・買ったの話ではなく、人対人の関係ですから、当事者間の話し合いによる解決が望ましく、訴訟等では、一定の結果を得るまでに、非常に長い期間がかかってしまうのが現実です。
そこで、紛争になってしまった際、もしくは紛争になりそうな段階において、当職も一緒になって、面接交渉を実施して、対応して参ります。

なお、面接交渉の局面の多くは、紛争に発展する前の段階、すなわち、会社から何かしらのアクションを起こすときに対応することが多くあります。
この面接交渉補佐は、もう一つの対応として、紛争に極力発展しないことを目指して行うことも多くあります。当職は、これまでの経験から事案に適切であると考える対応を実施して参ります。
当事者間の話し合いの段階での解決、つまり紛争発展回避の実現に向けての対応を、当職は、お手伝いをさせていただきます。

2.あっせん代理業務

あっせん制度は、紛争当事者の間に公平・中立な第三者として学識経験者が入り、双方の主張の要点を確かめ、双方から求められた場合には両者が採るべき具体的なあっせん案を提示するなど、紛争当事者間の調整を行い、話合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度です。あっせん案はあくまで話し合いの方向性を示すものであり、その受諾を強制するものではありません。
特定社会保険労務士は、会社の委任を受け、代理人として活動することができますので、当職は、企業の要望に応じて、代理人として対応いたします。

あっせん制度は、各都道府県労働局、雇用機会均等室(調停)、労働委員会及び各都道府県社会保険労務士会が組織する労働紛争解決センターにおいて、利用が可能です。
概ね、制度内容は同じと思っていただいて構いません。簡単な流れは下図をご覧ください。

3.労働審判補佐業務・民事調停補佐業務

面接交渉補佐、又はあっせん制度で紛争が解決できなかった場合や相手方があっせん等の話合いによる解決に応じる可能性が低い場合で、相手方が裁判所における手続きを行ったとき、当職が、労働審判制度または民事調停制度による解決の補佐を致します。

裁判所に対しては、①労働審判、②民事調停、③通常訴訟の提起がありますが、当職は、①と②の補佐業務を対応いたします。
なお、ご自分で手続きをされるのではなく、弁護士を代理人に立てたいという場合には、当事務所と協力関係にある法律事務所をご紹介致します。

労働審判制度とは以下のような制度です。
  1. 事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルの解決に利用できます。
  2. 雇用関係の実情や労使慣行等に関する詳しい知識と豊富な経験を持つ労働審判員が、中立かつ公正な立場で、審理・判断に加わります。
  3. 原則として3回以内の期日で審理(調停を含む)を終えます。
  4. 調停を試み、調停による解決に至らない場合には、審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続きの中で現われた諸事情を踏まえ、事案の実情に即した判断(労働審判)を行い、柔軟な解決を図ります。
  5. 労働審判に対する異議申立てにより、労働審判が失効した場合や、労働審判委員会が、労働審判を行うことが不適当であると判断し、労働審判事件を終了させた場合等は、訴訟へ移行します。

民事調停制度とは、以下のような制度です。
  1. 民事調停は、当事者同士が話し合い、お互いが譲り合って解決することを目的としています。
  2. 民事調停は、通常、簡易裁判所で行われます。手続は非公開で行われるので、他人には知られたくないような場合でも安心して事情を話すことができます。解決までに要する期間も比較的短く、申立手数料も訴訟に比べて安くなっています。
  3. 裁判官1名と調停委員2名以上とで構成される調停委員会によって手続が進められます。この調停委員会の中心的存在である調停委員は、民間から選ばれた良識のある人達が担っています。

上記対応にかかる費用について

当職が支援させていただく場合の費用については、原則、次のとおりです。
ただし、面接交渉補佐に関する対応は、原則、顧問契約をお願いしております。

1.面接交渉補佐 70,000円~(顧問料の金額により、変動いたします。)
2.あっせん代理業務 100,000円~
3.民事調停補佐業務 200,000円~
4.労働審判補佐業務 300,000円~
※上記各費用についても、顧問契約の締結を前提とした場合は、相談に応じますので、お気軽にご相談ください。

※上記費用に消費税は含まれません。また、交通に費用が生じる場合、当該費用の実費をご負担いただきます。その場合は、事前に打合せの上、決定させていただきます。

合同労組(ユニオン)とは、どのような組織ですか

合同労組(ユニオン)とは企業の枠を超えて組織されている労働組合で、正社員のみならず、パートタイマーやアルバイト、派遣社員等、様々な身分の労働者が加入することができ、個人の問題を団体交渉等によって訴えてくるものです。
企業の多くは、何故、自社の社員の問題を、第三者である者を交えて対応なければならないのか、といった質問がありますが、判例をみても団体交渉権の有無が争われるケースがありますが、基本的には団体交渉権があるとして対応すべきです。放置や一切対応しない、という言動は、後々、大変な事態を招きかねないので、避けるべきです。

合同労組(ユニオン)は企業内組合と違って、駆け込み的に労働者が加入する例がほとんどなので、企業とともに歩むまたは企業と闘って労働条件を確保していくといったことはまずありません。端的にいえば金銭闘争になることがほとんどです。この場合法律解釈や和解交渉の方法、法廷闘争に進む場合の見通し等を勘案した適切な対応が望まれます。

どの様な理由で合同労組(ユニオン)に加入するのですか

在職中の労働者であっても退職後の労働者であっても、理由は様々です。在職中の労働者であれば、給料を一方的に下げられた、退職を強要されている、ハラスメントを受けている等々や、退職後の労働者であれば、解雇された、契約を打ち切られた、残業代の請求(これは在職中もあり得ます。)等があるでしょう。

合同労組(ユニオン)に加入する場合、その共通項は、労働者自身の身に迫った厳しい現実に対して、身の保全のために加入する、ということかと思います。
全ての事案がそうとは言いませんが、会社が労働者の事情を一切配慮することなく、半ば横暴的に事を進めてしまった時に、労働組合に加入することが多いと感じています。
そうすると、合同労組(ユニオン)との対応を回避するためには、紛争に発展しないような企業の対応の仕方を考える必要があります。しかし、労働者の主張の言いなりになりなさい、ということでは決してありません。
労働者にとって何か不利益的な側面があると考える場合、それなりの対応の仕方、理論を構築した上で、事前の準備をしっかり行い、真摯な姿勢で対応することは、もはや不可欠な時代といえるでしょう。

団体交渉に対しての主なポイント

(1)会社の応接室や就業時間中に団体交渉を開催しないこと

会社の会議室や就業時間に団体交渉を要求してくることがあります。もしそのようにしてしまうと、会社の施設内、就業時間中の労働組合活動を認めた、というような主張展開をされるリスクが考えられますので、会社内、就業時間中の団体交渉の開催は避けた方が良いです。
やはり、有料である会社外の施設で、終業時刻以降に対応するようにすべきと考えます。

(2)団体交渉の場で書類にサインをしてしまうこと

団体交渉を行う過程において、団体交渉の場で、書面に署名を要求してくるケースがあります。そして、当該書面に署名しないことが、あたかも不当労働行為であるような言い回しをして、署名を要求してくることもあります。
書面の内容をよくよく検討せず、その場で安易に署名をしてしまうと、それは「労働協約」の締結という効果を持ち、とても大きな効力を有することになります。一度労働協約を締結してしまうと、簡単には破棄どころか変更もできないこともありますし、今後の労務管理において大きな影響を与えてしまう結果になりかねません。
この様な場合、会社に一度持ち帰って対応することが大切です。この対応が、直ちに不誠実団交となることはありえません。会社は組織ですから、当然に時間をかけて協議しなければならないものです。
よって、内容が不明若しくは理解ができない場合、その場で書類に署名をすべきではないですし、その場で署名する必要もありません。

(3)決算報告書等の提出を安易に応諾すること

合同労組(ユニオン)は、会社の諸規程を始め、決算報告書等さまざまな書類の提出を要求してきます。必ずしも要求される書類をすべて提出する義務はありません。
就業規則は従業員に積極的に開示し理解をさせるべきと考えますが、決算報告書等には、会社を経営していく上で、重要な機密事項が多く含まれています。これらの資料をすべて提出しなければならない根拠はありません。回答すべき事項に必要な情報を適宜口頭にて提示すれば十分に足ります。
ただし、交渉内容によっては、人件費や販管費等について、団体交渉の過程の中で必要であれば開示することも必要です。

(4)野次や罵声にひるまないこと

合同労組(ユニオン)によっては、不当労働行為には当たらない使用者の行為について「それは不当労働行為にあたる」「労働委員会に申立をしますよ」など発言すること、又は不当労働行為にあたると考えるというニュアンス的な主張があります。
そのような発言を受けて、企業の担当者は恐ろしくなってしまい、労働組合のいうとおりに労働協約を結んでしまうことがあります。
それを知ってわざとそのような発言をすることもありますが、本当に該当することもありますので、内容の見極めが必要ですが、その野次や罵声にひるまずに冷静になって対応することが大切です。

(5)結果的な交渉の打ち切りもあり得ること

団体交渉において企業に求められるのは、合同労組(ユニオン)の主張を受け入れ同意することではなく、合同労組(ユニオン)の主張を確認したうえで、会社の意見を誠実かつ明確に伝え、相手に納得してもらうよう真摯に対応することです。そして、団体交渉が進む中で、双方の妥結点を見出し、決着を見る、という展開となります。
しかし、場合によっては、双方の意見が全く落ち着かず、交渉が決裂することも考えられます。
団体交渉を開催したら、絶対に合意に至らなければならないと考えるかもしれませんが、決裂も十分に考えられるものです。また、団体交渉を行うにあたり、決して決裂することを恐れる必要はありません。
団体交渉を重ねても平行線から一向に改善が見られない場合等、団体交渉を打ち切ることもあります。しかし、企業側から、あまりこの様な姿勢で対応することは望ましいとは考えません。企業側は、合同労組(ユニオン)に対して、何度も何度も説得するくらいの気持ちで臨み、何とか妥結を試みる姿勢を貫くことが大切と考えます。
それは、決裂したの場合や団交を打ち切った場合、ビラ配りや旗振り、街宣活動、そして、訴訟への発展等も考えられますので、そこまで見越したうえで対応を考えないと非常に危険です。
不誠実団交や団交拒否が問題があることは 言うまでもありませんが、不必要に決裂を恐れ妥協する必要は全くありません。労働委員会であっせんの申し出をするぞ、不当労働行為で訴えるぞ、等合同労組(ユニオン)は脅し文句をいうこともありますが、それに怯むことなく、団体交渉を継続する姿勢が大切と考えます。

組合員に対しての主なポイント

(1)労働組合をやめるよう説得すること

労働組合に加入した従業員に脱退を誘導することは典型的な不当労働行為なので、絶対にしてはならない言動です。労働組合に入るようは従業員は決意したうえでのことなので、簡単にやめることは考えられませんし、合同労組(ユニオン)の恰好の攻撃材料を与えてしまいます。
また、会社の経営者は発言していなくても、管理者が独断で、組合員に対して脱退を促す言動をとってしまった場合、これも不当労働行為として糾弾されることがあります。この場合、使用者側の労働組合に対する対応や発言の時期・内容などの諸事情で判断されるのですが、それが労働委員会に持ち込まれ不当労働行為として認められると、一定期間のポストノーティス(謝罪文掲載)や金銭の支払いといった結末を招くことも考えられますので、とにかく注意が必要です。
また、会社の社員のみならず、例えば顧問契約を締結した社会保険労務士である外部の人間が脱退を誘導する活動を行った場合も、不当労働行為として認定されることがあります。

(2)労働組合関連の掲示を許可・黙認をすること

複数の従業員が合同労組(ユニオン)に加入し分会ができると、合同労組(ユニオン)関連の文書交付や掲示物を貼る要求がありますが、簡単に承諾すること、そして、絶対に見てみないふりをすることは禁物です。
一回の黙認や放置という行為が、当該行為を認めたという主張がなされてしまい、あるいは慣習だからという主張でもって、次回からも強く要求されます。

合同労組(ユニオン)との団体交渉に見られる事案について

合同労組(ユニオン)に労働者が加入した後、団体交渉でとなっている事案の多くは、実際に扱った経験からしても、次のような例が、とても多いと感じます。

  1. 解雇及び雇止め(退職勧奨も含む。)
  2. 未払い残業代請求
  3. 労働条件の変更(特に、賃金額の不利益変更)
  4. パワハラに関するもの(精神疾患と相俟って行われています。)

が圧倒的に多いですね。
そして、労働者が引き続き在職する場合で、合同労組(ユニオン)に加入し続けている場合(通常は、加入を継続します。)は、「企業の日々の労務管理の在り方」と「昇給と賞与の要求」が、定期的に行われます。なお、就業規則やその他会社の労務管理上の問題が存在する場合は、この点も団体交渉の議題として、協議を求められます。

合同労組(ユニオン)に対する当職の支援方法

1.事前の打合せと回答書の作成

合同労組(ユニオン)からの団体交渉の申し入れは、通常、郵送かファクス等で書面が来ます。
そこで、書面に記載されている団体交渉の申入れの協議事項を確認し、団体交渉に出席すべき事案なのかどうか、そして、対応すべき事項を確認し、判断をして、回答書を作成します。
これまでの経験から、事案ごとの適切な回答書の作成を支援いたします。

2.問題点の整理と今後の方向性の決定

次に、事案の問題となっている内容を整理します。相手の協議事項や要求の主旨が何かを明確にして、反対に当方が主張するポイントは何か、回答に対する合同労組(ユニオン)とるであろう言動等を考察し、今後の方向性をアドバイスいたします。

3.団体交渉への同席

会社側の補佐として団体交渉へ同席します。 団体交渉における法律面でのフォローを行い、会社の担当者と一緒になって対応していきます。

4.その後の対応

組合員が在職中は、不定期ですが、団体交渉の申入れが継続的に申し込まれます。基本、その申し入れに対しては、会社は対応していかなければなりません。その後の対応も、一緒に対応をしていきます。

なお、訴訟の提起や労働審判の申立がなされた場合、引き続き当職が支援するか、必要に応じて労働問題に詳しい使用者側の弁護士をご紹介させていただき、当該弁護士と連携をして対応をしていきます。

上記対応にかかる費用について

当職が支援させていただく場合の費用については、原則、次のとおりです。
ただし、合同労組(ユニオン)に関する対応は、原則、顧問契約をお願いしております。

1.打合せ費用 無料
2.書類作成費用 1回につき30,000円~(顧問料金に応じて変更します。)
3.団体交渉に同席 1回につき70,000円~(顧問料金に応じて変更します。)
4.その後の支援 上記に準じますが、顧問料金に応じて、決定します。

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