しかし、今回の労働安全衛生法改正で以下の条文が追加されます。
第66条の8の3
事業者は、第六十六条の八第一項(*1)又は前条第一項の規定による面接指導(*2)を実施するため、
厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者(*3)を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。
*1 第66条の8第1項 → 「長時間労働者に対する医師の面接指導」
*2 前条第1項の規定による面接指導 → 「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に就く労働者に対する医師の面接指導」
*3 次条第1項に規定する者 → 「高度プロフェッショナル制度の対象者」
この条文の趣旨は、『新労安衛法第66条の8の3に規定する労働時間の状況把握とは、労働者の健康確保措置を適切に実施する観点から、
労働者のいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものである。』と示されています。
(H31.3.29基発0329第2号)
そして、当該通達に、上記の労働基準法にかかるガイドラインで「労働時間把握の適用除外」とされていた、
管理監督者等の責任者や専門型裁量労働制、企画型裁量労働制、事業外労働に関するみなし労働時間制が適用される従業員も、
その把握をしなけれれならない、とされております。
そして、条文内の「厚生労働省令で定める方法により・・・労働時間の状況を把握しなければならない」という表記は、
労働時間の把握の方法について、当該条文に「厚生労働省令で定める方法」という委任の文言が明記されたことから、
これは法的根拠を持つことになると考えられ、その方法とは、
「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)
の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない」
と、当該通達に記載されています。
なお、同通達において「その他の適切な方法」も記載されていますが、それによる付帯措置も掲げられていますので、併せて確認する必要があります。
労働安全衛生法は、もともと労働基準法に定められていた章が独立したものであり、様々な考え方は労働基準法に即しているということも確認しておくと、理解が早いと思います。